Track 4

右耳を綿棒でお掃除

;3 「ん……(呼吸音)」 ;環境音 ストーブ F.I 「まずは、クリームぬるね? <指ですくう>―― ん……耳の外側から……<塗伸>――耳たぶ――<塗伸>……耳の内側の、まわりのところ……(呼吸音)」 「えへへっ、これ? 緊張するね? はじめてだから綿棒使うし、いたくしないよう気をつけるけど―― もし、痛かったら、すぐいってね?」 「したっけ、はじめるよ~……ん……<耳かき音>―― 最初は、浅いとこ……<耳かき音>――ん…… (呼吸音)」 「あ、これ、結構くっついてとれるねぇ。 えへへ、うれし―― ん……<耳かき音>――ふ、ぁ……<耳かき音>」 「も少し、奥に――<耳かき音>―― そうっと――そおっと――<耳かき音>――」 「え? 『上手』? えへへ、うれしいなぁ、ありがとねぇ」 「パロポロ――<耳かき音>―― 耳かきってしてみたかったけど――<耳かき音>―― ん……(呼吸音)―― したことなくて――はじめて――<耳かき音>――だから」 「あ――うん。いるよ? ミチもハポ――両親、お父さんもおかあさんも―― <耳かき音>……いる、けど――(呼吸音) コロポックルだから、長くは一緒にくらしてないの」 「パロポロが……六十歳になって――<耳かき音>、 一人でだいたい、なんでもできるようになったら…… <耳かき音>――ん――(呼吸音)」 「コロポックルだから、さぁ――<耳かき音> ふたりとも、船に乗って、海の向こうに―― <耳かき音>、旅立ってっいっちゃったべさ」 「『どこに』って……ん……(呼吸音)―― それは、パロポロも知らないの――<耳かき音>―― パロポロが大人のコロポックルになって……(呼吸音) お婿さん、もらったら、わかるようになるって―― 聞いてる――けど――<耳かき音>」 「したっけ、そんなのきっとずうっと先のことだし―― <耳かき音>―― パロポロ、いまよりもっとちっちゃなころは……(呼吸音)…… 耳かきなんて、知らなかったから……<耳かき音>」 「だからパロポロ、これが――へへっ――<耳かき音> はじめての耳かきなんだよー……<耳かき音>。 どう、かな? 上手に、いたくなくできてる――かなぁ――(呼吸音)――」 「そっか、ならよかったべさ。 えへへへへ、ありがとお」 「え? あ、うん。そう……<耳かき音> コロポックルに、みみかきって習慣、ないんだー。 だから、パロポロ、しらなくて――<耳かき音>」 「けど、茂伸にきてから……ん――<耳かき音>―― お隣で、テレビ? っていうの、見せてもらって―― (呼吸音)―― それで、耳かきって、知って――<耳かき音>―― ――楽しそうだな、してみたいなぁって……<耳かき音>」 「え? 『じっさいやってみて』?。 うん……にへへっ―― たのしい、かな? ――<耳かき音>――こういうの」 「したっけ、ね? なんでかな。 ちょっとだけ、なんか――(呼吸音)―― くすぐったいみたいなきもち、する――<耳かき音> おかしいよね、みみかきしてるの――パロポロなのに」 「ん……<耳かき音>……ふ……(呼吸音)―― ね? お客さんは、どう? パロポロの耳かき――<耳かき音>―― 耳だけじゃなく――こころも――(呼吸音)…… くすぐったいかんじ、する?」 「……あ……えへへっ――ならよかったぁ。 おんなじだねぇ。 そっか、パロポロの耳かきもおはなしも、 お客さんのお耳に、あずましいんだねぇ」 「あーよかったー……((呼吸音)―― なんでかな。パロポロ、とってもうれしいよぉ」 「あ、したっけ。したっけ、ね?」 ;3 顔寄せ囁き 「よかったら、お客さんのお話も、きかせてくれる? どんな旅をして、ここにきたのかのお話を――」 ;3 「えへへっ、ありがと。 で? ――<耳かき音>―― うん……うん――<耳かき音>―― へぇ――そうなんだぁ――<耳かき音>」 「それでそれで? ……うん――(呼吸音)―― わ……そんなの――そんなのって――え?」 「あ――そうなんだ――<耳かき音>―― それでそれで? へぇ――わぁっ―― あ、ならよかったねぇ――<耳かき音>―― パロポロも、うふふっ――(呼吸音)―― あのね? すっごくほっとした」 「あ。ちょうどいいかな? ちょっとまってね?」 ;3 顔寄せ 「(ふーーーーっっ)」 ;3 「ん……うん。えへへ、上出来。 とっても綺麗になったべさ。 したっけ、次は反対側だね? ごろーんてして??」