Track 2

第2話「旅程:体力補給」

[近所の駅のホーム・電車を待ってる二人] なんだかワクワクするな。 (主「今日は人混み大丈夫?」) ああ、平日だから人少ないし、思ったよりきつくないよ。 一人なら厳しいだろうが、こうやって列車を待っているのも、お前となら苦じゃないさ。 (主「僕も同感」) ふふ、それは何よりだ。 (主「それよりも、足震えてない?」) ん?大丈夫、震えてるわけじゃないよ。 今日は一体どんな景色が見られるんだろうかって、な。 武者震いってやつだよ、きっと。 えっと、指定席の乗り場はここ、かな。 ふふ、一番乗りじゃないか。 (ホームの乗り場で隣同士2列になって待機するふたり) (主「意外と人気ないのかな」) まあ、人が少ないに越したことはないよ、少なくとも私にとっては。 だいぶ慣れて来たとはいえ、やっぱり人混みに揉まれるのはごめんだし、お前と碌に話もできないしな。 お出かけは、ゆったりゆっくりマイペースがいいよな……うんうん。 お前だって、それを理解した上でわざわざ有給を取ってまで平日に予定組んでくれたんだろ? んふふ……そこまでしなくたって、ただでさえ私のために祝ってくれるんだ。お前の予定に合わせてくれて構わなかったのに。 ま、そういうとこもお前らしいよな。ふふ。 だから好き……なんだよな。 (愛しさから少女の方を寄せる主人公) へへ……なんだよ。そんなに抱き寄せなくても、別に寒くないぞ? ん……まあ、このくらいは許してやるよ。今日の主役は私だしな。んふ…… [ちょっと後、車内で駅弁を食べてる二人] (加熱式の牛タン弁当を食べてる少女) もぐもぐ……んむ……ふへへ…… やはり列車の旅といえば駅弁だよな~。こんな旅は初めてだけど。 この、紐を引っ張って温めるタイプの弁当、昔から憧れてたんだよ。 科学反応的なやつだよな。生石灰でも使ってるんだろうか。 (少女の頬についたご飯を手で取る主人公) ん、なんだ?急に頬なんか触ってきて…… (主「お弁当つけてたよ」) あ、ついてたのか。 ほっぺにお弁当なんて、子供みたいなことしてしまったな。ふふ。 だが、多少は浮かれたって構わないだろ? せっかくお前が私のために用意してくれた旅なんだ。 ムッとした顔で過ごすより、日常のことを忘れて気楽に楽しむべきだと思うよ。 はむ……んむんむ、むぎゅ……んふ……(また一口食べる) あったかくて美味しい……弁当なのに、なんだか変な気分だ。 このタイプ、電子レンジで温めたのと熱の通り方が違うからだろうか。 なんと言うか、優しい暖かさで好きだな。 湯気で火傷しそうにはなってしまったが、やはりエンターテイメント性が高いよな、こういうのは。 旅って感じがする……だろ? (主「そうだね」) (主人公のかしわご飯弁当が気になる少女) お前の弁当……それも美味しいか? (主「一口食べる?」) あ、うん……では頂くよ。 (主「はい、あーん」) ん……あーん……はむ、んむんむ、んむ……んぎゅ…… んふふ……こっちも美味しい…… (主「僕にも一口」) お前もほしいのか?ああ、勿論。 はい、あーん……(仕方ないなといった感じで) へへへ。どうだ? (主「美味しい」) そっか、美味しいんだったら、これを選んで良かったよ。 それにしても、いくつくらい駅越えてきたっけ。 結構乗ってるよな。目的地まではどれくらいかかるんだ? (主「もう半分くらいかな」) ふむ……半分くらいか。思ったよりかかるんだな。 特急だとバンバン駅を素通りするから、少し面白いが……乗った時と比べて、段々と人増えてきたよな。 (主「一応観光名所らしいしね」) そっか、聖地とは別に観光名所でもあるのか。 言われてみれば外国人っぽい人も多い…… そりゃあしょうがないか……ん。 ふあぁ……んむ……ちょっと眠くなってきた……昨日はしっかり寝たはずなんだがな…… やはり列車には睡眠の魔力があるようだ……んふふ…… お前の隣で、流れる景色を見ながら、こうやってうとうとして……へへ……幸せだな…… (くてんと主人公にもたれかかる少女に優しくキスをする主人公) ん……んむ……ん…… ……全く、周りに人、いるんだぞ? でも、これくらいならバレないかな。満員ってわけでもないし、座席がおっきいから見られることもなさそうだし…… 私からも……んむ、ちゅ……(同じように主人公にキスをする) へへ…… (再び主人公にもたれかかる) やっぱりここが居場所だなぁ……お前の隣、お前の側が…… フィールドでもダンジョンでも、勿論宿屋でも。 お前にくっついていれば怖くないもんな。 同時編成でMP自動回復スキルも発動するし、やはりお前と私、セットで運用すること前提で設計されているようだ。 まだ旅は始まったばかりだと言うのに、すでに満足感で一杯だよ。 この調子だと帰る頃にはどうなってしまってるんだろうな。ふふふ。 いつも家でダラダラしてるのとはまた違う、ゆったりと流れる時間に身を置くっていうのも……悪くはない……よな……ん……くぅ……すぅ……(徐々に眠りに落ちる感じ) (はっと目を覚ます少女) は……んむ……一瞬寝てた…… いや、あまりにも景色がのどかだったから…… 田舎だよな。山と田んぼと鉄塔……あとポツポツ民家があるくらいで。 お前は都会と田舎、どっちが好きなんだ? (主「どちらにも良さがあるからなぁ」) ん、確かに……どちらも一長一短あると思うが…… (主「君は?」) 私は……どうだろ。 いろんな楽しいものがあるのは都会だと思うし、人が少なくて住みやすいのは田舎なのかもしれないし…… うーん……今の、都会と田舎の中間みたいなとこに住んで、気分次第でどっちにも行けるといいのかもな。 住めば都と言う言葉もあるわけだし、余程じゃない限りは大丈夫だと思うよ。基本引きこもってる訳だしな。 電気とネット回線と、お前がいれば…… ふぅ……ん……そうだな…… お前の笑顔が、私に取っての最高の景色だよ。ふふ。