第3話「神域散策部隊」
[目的地(大きめの神社)に到着した二人]
おお……ここが……
確かに、この参道とか石畳とか、あのアニメで出てきたとこにそっくりだな。
モデルなんだから当然といえば当然なんだろうが、妙な感動があるよ。
……せっかくだから写真撮っとくか……
(携帯のカメラで写真を撮る少女)
いやしかし、駅から結構歩いたな。
観光地なんだったら交通機関くらい用意しとけよな……全く……
お陰でまだ前半なのに体力がほぼなくなってしまったぞ……
(主「ちなみにお社はこの階段の上だよ」)
あー……やっぱそうだよな。この階段を上った先に……はぁ……
ま、乗った船だもんな。ちゃんと行くよ。
(主「まずはここで手を清めないと」)
ああ、なるほど。その前にここで手を洗うんだったな。
見たり聞いたりはないことはないが、こう言うとこに直接来ることなかったからな。
お前は多分詳しいだろ?こういうの。
作法、教えてくれるか?
[手を清めて社に向かう階段を登るふたり]
ふぅ……思ったとおり階段、結構きついな……
でも、目的地は先程から見えてるあの辺りだろう?ならちょうど半分くらいか……
(「ここは神域なのでお静かに」の看板に気づく少女)
※なるほど、神域か……なんだかスピリチュアルな響きだな。
静かだし、木漏れ日が心地いい……
なあ、手って、繋いでても大丈夫なのか?
だって縁結びの神様ってわけでもないだろ?なんだか悪いことしてるみたいな気持ちだ。
ふふ、気にしすぎか。
この前の初詣の時は人もいっぱいいたし、そう言うのに紛れてるから全然気にはならなかったが……
こうも静かだと、神様に見られてるんじゃないかって気持ちになるよ。別に信仰してるってわけでもないけどな。
(石段を踏み外して転びそうになる少女)
おっと……
(とっさにかばう動きを取る主人公)
ん……すまんな。
(主「足、きつい?」)
いや、今のは疲労じゃなくて単純につまずいただけだよ。
段差の長さがまちまちだから、少し踏み外してしまったんだ。
大丈夫だって。あまり子供扱いするな……
今日で一つ歳をとったんだし、お前の次の誕生日までは一つ歳が近くなったんだからな?
もう背は伸びないだろうが……ま、そこはお前好みに育ってると言うことだよ。
んふふ……楽しいな、毎日。
昨日よりも今日、今日よりも明日が幸せで、ずっとこんな毎日に憧れてたんだなって、今になって思うよ。
さあ、行こう。
[社の賽銭入れの前]
(2拍手)(音割れしない程度の音量で実際に手を叩いてくださると嬉しいです)
お前、何を願ったんだ?
(主「こういうのって言ったらかなわないんじゃないっけ」)
はは、わかってるさ。でも、お約束みたいなものだろ?
(主「君は?」)
私か?
私は、まあ月並みではあるが……お前とまた、こうやって旅ができたらなって、な。
結構歩いて足痛いし、しばらくはいいかなって感じでもあるが……そのうち、また機会があれば。
それでお前は……
(主「ほぼ一緒かな」)
ああ、やっぱり。
こう言う時に願うことといえば、隣にいる人間の事になるか。
……うん。嬉しいよ。私のこと、いつも大切に思ってくれて。
私も、お前とずっと一緒に居られるように努力するから……お前も、ずっと健康で、長生きしてくれよ?
(「同じことを思ってるよ」と、少女の頭を撫でる主人公)
ふへへ……撫でるなよ……見られてるぞ。
(少し気恥ずかしいので話題を逸らすための何かを探す少女)
あ、あっちでおみくじ売ってるみたいだな。せっかくだし引いてかないか?
[おみくじの箱の前]
よーし、1等当てるぞ。
あ、そう言うのではなかったな。
100円入れて、おみくじガチャ~……えいっ。
(おみくじを開いて中を確認する少女)
ん……えーっと……あ、小吉だ。
なんか読みにくいな……えと……
旅……行ってよし。
縁談……大きなものに包まれるべし。
転居……今のままでいるのが吉……
そうか。やはりお前は私の居場所ってことだな。ついに神様にも認められてしまったか……ふふふ。
(主人公の方も気になる少女)
お前のはどうだ?
(主「中吉だって」)
ほー……中吉か。なかなかいいんじゃないか。
縁談、誠意が伝わり大吉……なるほどな。
……伝わってるよ、お前の気持ち。
えっと、それで、これってあそこに結んだ方がいいのかな。
(主「諸説あるらしいけど」)
あ、そう言う決まりなわけじゃないのか。
うーん、でも、せっかくだしな。結んでおくか。
それに、持って帰っても無くしてしまいそうだし。
お、どうしたんだ?私のおみくじまで……
(主「こうやって一緒に結んだら面白いかなって」)
……ふふふ。また妙なことを考えたな。
そっか、お前のは中吉で私の小吉を包んでくれるのか。
まるで私たちだな。作法として良いか悪いかは知らないが……
ん……でも、嬉しいよ。
それじゃ、私のも一緒に結んでおいてくれ。
解けないように、しっかりな。
ふふ……暖かいよな、お前は。
じゃあ戻るか。
参道のお店にも寄って行くんだろ?
お前、そう言うの好きそうだもんな。
期間限定イベントみたいなものだし、ワクワクする気持ちは理解できるよ。
ああ、帰りも階段で転ばないよう、ちゃんと手を引いてくれよ。