Track 3

■Episode03

「彼にとって……いったい私はどういう存在なのかしら……」 「こんなにも愛しているのに……なぜ、私の愛を受け入れてくれないのかしら……」 「私がこんなに求めているというのに……身体も、心も、プライドも……全て捧げているのに……」 「愛って、なに? 恋って、なに? 想いって……いったい何なの……?」 「愛しているなら、私のように捧げるモノではないの?」 「なぜ、あの方は私の事をみてくれないの? なぜなのっ!」 「……ねぇ、なんで? なんでっ? なんでっ!」 (これまで私が手に入れられないモノなんてなかった) (ずっと、ずっと、欲しいモノは全て手に入った) (当然お父様や末菱財閥(まつびしざいばつ)という家名(かめい)の力あっての部分は否めませんわ) (それでも私は私なりの努力をしてきましたわ) (地位や名声も自分の力で勝ち取ってきた) (私が手に入れられないモノなんてないはずなのに) 「なのに何故……? なぜ、あの方は私のモノにならないの……?」 (私の何がいけないの?) (家柄? 性格? 外見? それとも他の何か?) (少なくとも前者3つに問題があるとは思えませんわ) (自惚れでもなんでも構わない。私が求めるモノはただひとつだけ) 「……愛して欲しいだけですの……」 「……誰よりも、何よりも大切にして欲しいだけですの……」 「……それさえあれば、あの方の為なら何でもしますの……」 「……それだけ愛していますの……」 (……私の身体を奪って……私の心を奪って……私のプライドや生きる意味の全てを奪われました……) (……それを嬉しいとさえ思っている自分が居ます……) 「……だから……愛して欲しいの……」 「……あの方に……あの方だけに……」 「……他の全てを捨てても構いませんわ……」 「……それでも良いから愛して欲しいですの……」 「……私だけを見て欲しいですの……」 (……それができないなら……) 「……生きている意味なんて……ありませんわ……」