Track 5

夏葉の下手っぴ耳かき(右耳)

;SE 風鈴、ちりん ;環境音、縁側 1/前 「えっへへ~ 夏葉の勝ちだたんだねー! っていうことは~? そうでーす! おにいちゃんは夏葉のいうこと聞かなくちゃでぇす!」 「おにいちゃんに何してもらっちゃっかな~ 夏休みの宿題にしようかな? 草むしり当番かわってもらっちゃおうかな~」 「なぁんて、うふふっ! ほんとはね? 最初から決めてたの! おにいちゃんにしてほしい―― っていうか、夏葉にされてほしいこと」 1/前 →「って!?」だけ;9/前遠 「夏葉はね~、おにいちゃんにね~。 えへへ! 耳かきされてもらっちゃいます! って!?」 ;9/前遠 「ちょっ!? なんで逃げるの!? 平気! 耳かき! 怖くない!! 多分!!」 「そりゃ、いっつもおにいちゃんの耳かきしてるのはすみちゃんですし? だから夏葉まだ、だれの耳かきもしたことないけど――」 1/前 「でも! 夏葉おにいちゃんの妹だから! たぶんなんでも結構器用にこなせちゃうし! 最初のうちは慎重にするし! ぜーったいにおにいちゃんに痛い思いさせたりしな――あっ!」 ;SE ビンタ、右頬 ;SE 蚊が飛び去る音 (ぷい~ん) 1/前 左上の方をみあげながら 「って」で顔戻す 「ああ――蚊、逃げちゃった―― って、おにいちゃん、大丈夫? 刺されてない? わ! ほっぺすごく赤くなっちゃって――――え?」 「あ……あははっ、それは、ついとっさだったから。 だって、ほら、蚊にくわれたら、おにいちゃんかゆいし、かわいそうでしょ?」 「あ~……えーと。痛くしちゃってごめんなさい。 けど! 大丈夫! みみかきでは、夏葉、ちゃんと慎重だから。 ぜったいぜったい、今度こそ痛くしないから!」 1/前→;9/前遠→;16/左前遠(できるだけ遠くまで) 「だから! 夏葉! みみかきとかゆみどめ、とってきまーす!」 ;SE 風鈴 チリン ;3/右 「じゃ、おにいちゃん。(ひざぽんぽん) はぁい――どうぞ」 ;SE 横たわる ;3/右 「……(呼吸音)――えへへ。 おにいちゃんを夏葉がひざまくらしてあげるなんて――」 「……なんだか、むかしと反対だね~。 うふふっ、夏葉、本当ににおねえさん」 「ちっちゃいときのこと、夏葉、忘れちゃったけど…… 今のあんまり、やっぱり思い出せないけど――ね?」 :SE 風鈴 「この縁側のことはなんだか、おぼえてるみたいな気がするの。 おにいちゃんに、ひざまくらしてもらって、ご本よんでもらったこととか――」 「……(呼吸音)……(呼吸音)―― そのときのおにいちゃんの声。 鼓膜の奥に、こころの奥に、なんだか残ってる気がするの」 「『むかしむかし、あるところに』って―― うふふっ、おにいちゃんは覚えてる?」 「あとね、手――やさしい手。女の人の手。 すみちゃんの手よりも指がずうっとながくて、 あったかくって、優しい手」 「夏葉のことをずうっとなでなでしてくれて、 虫にさされちゃったときには――あ、そうだった」 「刺されたところ、早くしないとだよね。 夏葉、かゆみどめ塗ってあげるね?」 「ちっちゃなとき――夏葉がしてもらったのとおんなじに―― ん……最初は、爪で――バッテンつけるね? ん……(呼吸音)――しょっ――うん!」 「そしたら~ (SE 軟膏の蓋開け)――んしょ―― ちょっと足りない? ん……(軟膏を指に出す)――このくらい? かな?」 ;3/右 接近囁き 「それじゃ、おにいちゃん? ぬりぬりするね~」 ;3/右 「ん……(呼吸音)(軟膏塗り伸ばし) ぺとぺと、ぬりぬり (呼吸音)(軟膏塗り伸ばし) のばーし、のばーし――うん!」 ;*耳ではなく、ほっぺに 「(ふーーーーっ)(ふーーーっ)(ふーーーーっ) どう? お兄ちゃん。ひんやりする? かゆいの、少しはおさまってきた?」 「……(呼吸音)――えへへっ! それならよかったね~! じゃああ、次は本番の――こぉら! にげないの~っ!」 「夏葉もちゃんと考えてるから! ほら、見て、これ! いきなり硬いのだと夏葉もこわいから、ちゃあんと綿棒ももってきてるの」 「これなら、怖くないでしょお? ――(呼吸音)―― でしょ!えっへへー! さすが夏葉のおにいちゃん!」 「じゃ、いくよ? 最初はゆっくり、慎重に―― 耳のふちのとこから、ためすから」 ;3/右 接近 「(ふーーーーーーーーっ)」 ;3/右 ;以下、指示あるまで(耳かき音)は綿棒  「……ん……っと(耳かき音)――んん? (耳かき音)ん……ん~~↓ (耳かき音)――」 「ん……(耳かき音)――このっ――(耳かき音)―― むぅぅ~((呼吸音)――って、あ、いけないいけない」」 「あのね、おにいちゃん。 とれないとこ、痛くしないように気をつけるから、 ちょっと、ゴシゴシってこすってみてもいーい?」 「――うん。わかった。 そーっとそーっと、ゆっくりゆっくりゆっくりこするね――(吐息)」 「(すううっ)――ん……っと―― そーっと、そーっと――(耳かき音)―― ん……(呼吸音)――(耳かき音)――」 ;だんだんムキに 「ん……(耳かき音)――あれ? (耳かき音)―― んん~~っ――(耳かき音)――ん~っ! って、ひゃ!? え!? なに、おにいちゃん」 「あ! ……あぅ~ごめんなさい。 夏葉、うん。ちょっとムキになっちゃいそうだった」 「『そういうときには?』……うん……うん――(呼吸音)――うん! わかった」 「『とりづらかったら無理せずに、別の角度をためしてみる』だね! そっか、そだよね、おんなじとこからやろうとするから、ムキになっちゃうんだよね」 「じゃなくて、工夫! 無理をしないで工夫する! えへへ~! さすがおにいちゃん!! 『ムキにならない』だと夏葉うっかりしちゃうけど、 『工夫する』なら、うっかりしないでできると思う!」 「それじゃ、あらためてもう一回。 (すううっ)くふう。工夫。工夫。工夫!」 「んっ……(呼吸音)――別の角度、別の角度……って――(耳かき音)――あ、そか! お耳ひっぱれば、 ん――(SE 耳ひっぱり)――うん!」 「これで、こっちから――(耳かき音)――あ! ぽろっていった!!! とれた! けど……耳の穴の奥の方に、おっこっちゃった……」 「ね、おにいちゃん。これって――(呼吸音)―― あ、うん! えへへっ! ありがと、おにいちゃん!」 「それじゃあ夏葉、棒の耳かき解禁するねー! "無理をしないで工夫する!" 夏葉、おそわったことをちゃあんと守って、 絶対、痛くしないでやるね?」 ;息を整え集中 「(呼吸音)……(呼吸音)……(呼吸音)――。 (深呼吸)――うんっ!」 ;以下、(耳かき音)は竹製耳かき 「それじゃあ。するね? ん…………(耳かき音)。 (呼吸音)――ん……(耳かき音)――あれっ? ――(耳かき音)――む~~っ」 ;独り言 「じゃなくて! 工夫! 角度を変えて、りきまないで――(すうっ)」 ;集中 「ん――(呼吸音)――……。ん――(耳引張り)―― えと、おにいちゃん、ちょっとだけ―― ちょっとだけお顔、夏葉の近づく方に傾けて?」 「あ、うん! これなら――(耳かき音)――っ! あとは……慎重に――慎重――――に――よしっ! やった、とれたー!!!!!」 ;SE ティッシュを抜きとり、それで耳かきふく 「えへへっ! そしたら、もーちょっと奥の方もいってみるね? 慎重に、力まないで、痛くしないように」 ;3/右 接近 囁き 「(ふーーーーーーーっ!) あ、おにいちゃんビクってなった。えへへへ~ (ふっ!)」 ;3/右 「じゃ、するね? ん……(呼吸音)(耳かき音)―― ふ……(呼吸音)(耳かき音)――んー――(耳かき音)……(耳かき音)」 「……やっぱり、お兄ちゃん――ん――(耳かき音)―― お耳……綺麗……(耳かき音)――」 「お掃除の、しがい、ないけど……(呼吸音)――(耳かき音) 練習、には――(耳かき音)――ん……(耳かき音)…… 結構、いい……かな?」 「え? ――(呼吸音)――あはは、ないよー―― (耳かき音)――耳かき、誰かに――(耳かき音)―― おにいちゃん以外の誰かにする予定なんて、ぜぇんぜん――(耳かき音) ;独り言、小声のつぶやき 「……きっと、この先もないって思うし」 「えっ!? あ、ううん。なんでもない。けど、ほら―― あ! えみちゃんとかさ、あとは……あと、うん。すみちゃんも」 「家族なんだし、耳かきわたしが――してあげることあるかもって、してあげたいなって、ちょっと思うし。 だから! ――(耳かき音)――」 「だから、おにいちゃんは! ん……(呼吸音)(耳かき音)―― 夏葉の、大事な……(耳かき音)――たい、せつ、な――(耳かき音)――」 「練習、台……で――(耳かき音)――あと、ね? それから……(呼吸音)――」 「今日みたいに。すみちゃんがいないときには―― わたしが、耳かきしてあげる方が…… いいんじゃないかなぁ……とかも、思うし――」 「っ! だよね! やっぱりそうだよね~! えへへっ、おにいちゃんはほーんと夏葉がいないとダメなんだから!」 「じゃ、残ってるとこも、綺麗綺麗にしちゃうね~ んーーー(耳かき音)――っと――(耳かき音)―― ……。(耳かき音)――ん――(耳かき音>」 「あとは、ここ、だけ……(耳かき音)―― ん……(呼吸音)――(耳かき音)―― きれい、に――(耳かき音)―― しーたーら~~――(耳かき音)―― うん! できたぁ!! と、思う!」 ;3/右 接近 「(ふーーーーーーーーっ!)」 「どうかな? ん~~((呼吸音) うん、綺麗! 合格! すごいっ!!」 ;明るく。含みをもたせず 「もしとりきれてない感じがしたら、そこはすみちゃんにお願いしてね? 夏葉、一番奥まではおっかないから」 「それじゃあ今度は、反対のお耳ねー? 夏葉がごろーっていったらごーろーんって、 体の向き、反対にしてね?」 「それじゃあ、いくよー? せーーーの!」 ;3/右→1/前→;7/左 「ごろーーーーーーーん」 ;環境音 F,O.