夏葉の下手っぴ耳かき(右耳)
;SE 風鈴、ちりん
;環境音、縁側
1/前
「えっへへ~ 夏葉の勝ちだたんだねー!
っていうことは~? そうでーす!
おにいちゃんは夏葉のいうこと聞かなくちゃでぇす!」
「おにいちゃんに何してもらっちゃっかな~
夏休みの宿題にしようかな?
草むしり当番かわってもらっちゃおうかな~」
「なぁんて、うふふっ!
ほんとはね? 最初から決めてたの!
おにいちゃんにしてほしい――
っていうか、夏葉にされてほしいこと」
1/前 →「って!?」だけ;9/前遠
「夏葉はね~、おにいちゃんにね~。
えへへ! 耳かきされてもらっちゃいます! って!?」
;9/前遠
「ちょっ!? なんで逃げるの!?
平気! 耳かき! 怖くない!! 多分!!」
「そりゃ、いっつもおにいちゃんの耳かきしてるのはすみちゃんですし?
だから夏葉まだ、だれの耳かきもしたことないけど――」
1/前
「でも! 夏葉おにいちゃんの妹だから!
たぶんなんでも結構器用にこなせちゃうし!
最初のうちは慎重にするし!
ぜーったいにおにいちゃんに痛い思いさせたりしな――あっ!」
;SE ビンタ、右頬
;SE 蚊が飛び去る音 (ぷい~ん)
1/前 左上の方をみあげながら 「って」で顔戻す
「ああ――蚊、逃げちゃった――
って、おにいちゃん、大丈夫? 刺されてない?
わ! ほっぺすごく赤くなっちゃって――――え?」
「あ……あははっ、それは、ついとっさだったから。
だって、ほら、蚊にくわれたら、おにいちゃんかゆいし、かわいそうでしょ?」
「あ~……えーと。痛くしちゃってごめんなさい。
けど! 大丈夫!
みみかきでは、夏葉、ちゃんと慎重だから。
ぜったいぜったい、今度こそ痛くしないから!」
1/前→;9/前遠→;16/左前遠(できるだけ遠くまで)
「だから! 夏葉!
みみかきとかゆみどめ、とってきまーす!」
;SE 風鈴 チリン
;3/右
「じゃ、おにいちゃん。(ひざぽんぽん)
はぁい――どうぞ」
;SE 横たわる
;3/右
「……(呼吸音)――えへへ。
おにいちゃんを夏葉がひざまくらしてあげるなんて――」
「……なんだか、むかしと反対だね~。
うふふっ、夏葉、本当ににおねえさん」
「ちっちゃいときのこと、夏葉、忘れちゃったけど……
今のあんまり、やっぱり思い出せないけど――ね?」
:SE 風鈴
「この縁側のことはなんだか、おぼえてるみたいな気がするの。
おにいちゃんに、ひざまくらしてもらって、ご本よんでもらったこととか――」
「……(呼吸音)……(呼吸音)――
そのときのおにいちゃんの声。
鼓膜の奥に、こころの奥に、なんだか残ってる気がするの」
「『むかしむかし、あるところに』って――
うふふっ、おにいちゃんは覚えてる?」
「あとね、手――やさしい手。女の人の手。
すみちゃんの手よりも指がずうっとながくて、
あったかくって、優しい手」
「夏葉のことをずうっとなでなでしてくれて、
虫にさされちゃったときには――あ、そうだった」
「刺されたところ、早くしないとだよね。
夏葉、かゆみどめ塗ってあげるね?」
「ちっちゃなとき――夏葉がしてもらったのとおんなじに――
ん……最初は、爪で――バッテンつけるね?
ん……(呼吸音)――しょっ――うん!」
「そしたら~ (SE 軟膏の蓋開け)――んしょ――
ちょっと足りない? ん……(軟膏を指に出す)――このくらい? かな?」
;3/右 接近囁き
「それじゃ、おにいちゃん? ぬりぬりするね~」
;3/右
「ん……(呼吸音)(軟膏塗り伸ばし)
ぺとぺと、ぬりぬり (呼吸音)(軟膏塗り伸ばし) のばーし、のばーし――うん!」
;*耳ではなく、ほっぺに
「(ふーーーーっ)(ふーーーっ)(ふーーーーっ)
どう? お兄ちゃん。ひんやりする?
かゆいの、少しはおさまってきた?」
「……(呼吸音)――えへへっ! それならよかったね~!
じゃああ、次は本番の――こぉら! にげないの~っ!」
「夏葉もちゃんと考えてるから!
ほら、見て、これ!
いきなり硬いのだと夏葉もこわいから、ちゃあんと綿棒ももってきてるの」
「これなら、怖くないでしょお?
――(呼吸音)――
でしょ!えっへへー! さすが夏葉のおにいちゃん!」
「じゃ、いくよ? 最初はゆっくり、慎重に――
耳のふちのとこから、ためすから」
;3/右 接近
「(ふーーーーーーーーっ)」
;3/右
;以下、指示あるまで(耳かき音)は綿棒
「……ん……っと(耳かき音)――んん? (耳かき音)ん……ん~~↓ (耳かき音)――」
「ん……(耳かき音)――このっ――(耳かき音)――
むぅぅ~((呼吸音)――って、あ、いけないいけない」」
「あのね、おにいちゃん。
とれないとこ、痛くしないように気をつけるから、
ちょっと、ゴシゴシってこすってみてもいーい?」
「――うん。わかった。
そーっとそーっと、ゆっくりゆっくりゆっくりこするね――(吐息)」
「(すううっ)――ん……っと――
そーっと、そーっと――(耳かき音)――
ん……(呼吸音)――(耳かき音)――」
;だんだんムキに
「ん……(耳かき音)――あれ? (耳かき音)――
んん~~っ――(耳かき音)――ん~っ! って、ひゃ!? え!? なに、おにいちゃん」
「あ! ……あぅ~ごめんなさい。
夏葉、うん。ちょっとムキになっちゃいそうだった」
「『そういうときには?』……うん……うん――(呼吸音)――うん! わかった」
「『とりづらかったら無理せずに、別の角度をためしてみる』だね!
そっか、そだよね、おんなじとこからやろうとするから、ムキになっちゃうんだよね」
「じゃなくて、工夫! 無理をしないで工夫する!
えへへ~! さすがおにいちゃん!!
『ムキにならない』だと夏葉うっかりしちゃうけど、
『工夫する』なら、うっかりしないでできると思う!」
「それじゃ、あらためてもう一回。
(すううっ)くふう。工夫。工夫。工夫!」
「んっ……(呼吸音)――別の角度、別の角度……って――(耳かき音)――あ、そか! お耳ひっぱれば、
ん――(SE 耳ひっぱり)――うん!」
「これで、こっちから――(耳かき音)――あ! ぽろっていった!!! とれた!
けど……耳の穴の奥の方に、おっこっちゃった……」
「ね、おにいちゃん。これって――(呼吸音)――
あ、うん! えへへっ! ありがと、おにいちゃん!」
「それじゃあ夏葉、棒の耳かき解禁するねー!
"無理をしないで工夫する!"
夏葉、おそわったことをちゃあんと守って、
絶対、痛くしないでやるね?」
;息を整え集中
「(呼吸音)……(呼吸音)……(呼吸音)――。
(深呼吸)――うんっ!」
;以下、(耳かき音)は竹製耳かき
「それじゃあ。するね? ん…………(耳かき音)。
(呼吸音)――ん……(耳かき音)――あれっ?
――(耳かき音)――む~~っ」
;独り言
「じゃなくて! 工夫!
角度を変えて、りきまないで――(すうっ)」
;集中
「ん――(呼吸音)――……。ん――(耳引張り)――
えと、おにいちゃん、ちょっとだけ――
ちょっとだけお顔、夏葉の近づく方に傾けて?」
「あ、うん! これなら――(耳かき音)――っ!
あとは……慎重に――慎重――――に――よしっ!
やった、とれたー!!!!!」
;SE ティッシュを抜きとり、それで耳かきふく
「えへへっ! そしたら、もーちょっと奥の方もいってみるね?
慎重に、力まないで、痛くしないように」
;3/右 接近 囁き
「(ふーーーーーーーっ!) あ、おにいちゃんビクってなった。えへへへ~ (ふっ!)」
;3/右
「じゃ、するね? ん……(呼吸音)(耳かき音)――
ふ……(呼吸音)(耳かき音)――んー――(耳かき音)……(耳かき音)」
「……やっぱり、お兄ちゃん――ん――(耳かき音)――
お耳……綺麗……(耳かき音)――」
「お掃除の、しがい、ないけど……(呼吸音)――(耳かき音)
練習、には――(耳かき音)――ん……(耳かき音)……
結構、いい……かな?」
「え? ――(呼吸音)――あはは、ないよー――
(耳かき音)――耳かき、誰かに――(耳かき音)――
おにいちゃん以外の誰かにする予定なんて、ぜぇんぜん――(耳かき音)
;独り言、小声のつぶやき
「……きっと、この先もないって思うし」
「えっ!? あ、ううん。なんでもない。けど、ほら――
あ! えみちゃんとかさ、あとは……あと、うん。すみちゃんも」
「家族なんだし、耳かきわたしが――してあげることあるかもって、してあげたいなって、ちょっと思うし。
だから! ――(耳かき音)――」
「だから、おにいちゃんは! ん……(呼吸音)(耳かき音)――
夏葉の、大事な……(耳かき音)――たい、せつ、な――(耳かき音)――」
「練習、台……で――(耳かき音)――あと、ね?
それから……(呼吸音)――」
「今日みたいに。すみちゃんがいないときには――
わたしが、耳かきしてあげる方が……
いいんじゃないかなぁ……とかも、思うし――」
「っ! だよね! やっぱりそうだよね~!
えへへっ、おにいちゃんはほーんと夏葉がいないとダメなんだから!」
「じゃ、残ってるとこも、綺麗綺麗にしちゃうね~
んーーー(耳かき音)――っと――(耳かき音)――
……。(耳かき音)――ん――(耳かき音>」
「あとは、ここ、だけ……(耳かき音)――
ん……(呼吸音)――(耳かき音)――
きれい、に――(耳かき音)――
しーたーら~~――(耳かき音)――
うん! できたぁ!! と、思う!」
;3/右 接近
「(ふーーーーーーーーっ!)」
「どうかな? ん~~((呼吸音)
うん、綺麗! 合格! すごいっ!!」
;明るく。含みをもたせず
「もしとりきれてない感じがしたら、そこはすみちゃんにお願いしてね? 夏葉、一番奥まではおっかないから」
「それじゃあ今度は、反対のお耳ねー?
夏葉がごろーっていったらごーろーんって、
体の向き、反対にしてね?」
「それじゃあ、いくよー? せーーーの!」
;3/右→1/前→;7/左
「ごろーーーーーーーん」
;環境音 F,O.