2..アンドロギュノス
「音声催眠Inner Heaven ~ アンドロギュノスの夢」2部
声:小笠原 麦 作:もちだ弁慶
【アンドロギュノス、トランス誘導】
準備は…出来ていますね?
それでは早速(さっそく)催眠を始めていきましょう。
その場でゆっくりと、あお向けに寝てください。
あなたが最も楽な姿勢を保(たも)てるように、両足を肩幅(かたはば)に、軽ぅく開(ひら)いて…。そして二の腕と腋(わき)との間隔も、少しだけ開(あ)けた状態にします。
「手の平の向き」は、上向きでも、下向きでも構いません。
これであなたの「両足と両腕」は、床側に対して、カタカナの「ハの字の状態」になっているはずです。
いいですね?
ではここで、目を閉じてください。
《一呼吸置く》
そうです…。
その姿勢のまま、あなたは両肩の力を、すぅぅ~っと抜いていきましょう。
すると「腕の力」が自然に抜けて…同じように体中(からだじゅう)の余分な力も、みるみる内に…抜けてゆくのが分かります。
「顔の力」、「首すじの力」が、すぅぅ~っと抜ける…。
「背中から腰にかけての力」も、すぅぅ~っと抜けてゆく…。
「太もも、ふくらはぎ、左右のつまさきの力」まで、すぅぅ~っと抜けて…。
あなたはまるで、「糸の切れた操り人形」のように、だら~んとした状態になります。
体(からだ)全体がいつもより、ずっしりと「重たく」感じます。
お腹(なか)が上下に動く呼吸の感覚も、いつもより明確に感じられるかもしれません。
あなたが息を吸うたびに、体中(からだじゅう)に必要な「栄養分」が、どんどん補給されてゆきます。
そして息を吐(は)くたびに、もう使われて要らなくなった「余分な空気」が、どんどん抜けてゆきます。
あなたは「そうして」体中(からだじゅう)の力を抜き、ただ普通に呼吸をしているだけで…とても心が落ち着いて、リラックスした状態になります。
しばらくその「穏(おだ)やかで楽な呼吸」を、感じてみましょう…。
《しばらく無音》
はい…。
ではここで一旦(いったん)、目を開(あ)けてください。
気持ち良かったですね?
《一呼吸置く》
私が3つ数えると、あなたは再び目を閉じて…今よりもっと気持ちのいい、楽な状態になります。
3、2、1…。
《パチンと指を鳴らす》
すぅぅ~っと目を閉じてしまう、とても気持ちいい。
穏(おだ)やかな時間にゆったりと、包(つつ)まれていくような感覚…。
安らぎを感じます…。
【深化】
今からあなたの耳には、私の用意した「小さな鐘(かね)の音色(ねいろ)」が聴こえます。
この音を聴くと、あなたは今までにも増して…私の言葉のすべてを、「気持ち良く受け入れられる」ようになります。
そして次第に深い「催眠の世界」へと、入(はい)ってゆくことができるのです。
では、いきましょう…。
鐘(かね)が鳴ります。
《チーン×3回》
とても綺麗な音です…。
空気に消え入(い)る「音の先」まで…。
直接あなたの心に染み渡る、透明な波形(はけい)。
《チーン》
あなたはこの「鐘(かね)の音色(ねいろ)」と、「私の声」とともに…。
すごぉ~く「気持ちのいい世界」へと…降りてゆきます。
《チーン》
あなたの心の内側へ向けて…。
まるで温かい海の中へ、深ぁ~く呑み込まれて行くように…。
ゆっくりと沈む…。
《チーン》
もう、何も考えない…。
その身も心も、あなたのすべてが、すぅぅ~っと「何か」に…。
引かれていくような感覚…。
《チーン》
それはとても居心地のいい、別世界(べつせかい)への「入り口」であるということに…。
あなたは気づいています。
《チーン》
ぼんやりとした大きな「まぁるい入り口」が浮かんで…。
あなたは包み込まれるように…どんどんと「そこへ」…。
吸い寄せられてゆく。
《チーン》
あなたはもっと「自由」になります。
これまでに経験したことのないほどの…「幸せ」や「悦(よろこ)び」、そして「快楽」を求めて…。
《チーン》
私が10から1まで数えて、最後にゼロと言うと、あなたは完全に「催眠状態」になります。
10、9(きゅう)、8、7(なな)、6、5(ごぉ)、4(よん)、3、2(にぃ)、1…ゼロ。
《しばらく無音》
【溶け合うイメージ誘導】
あなたは丸い形をした、エネルギー体(たい)です…。
ふわふわとした球体(きゅうたい)となって、宙(ちゅう)に浮かび…漂(ただよ)っています。
ふわりふわりと、ただ目的もなく…そうして「あてどなく」漂(ただよ)っているだけの存在ですが…とても自由。
あなたが一度(ひとたび)そう願うだけで、「上へ向う意識」が…グゥゥ~ンと上昇、どんどん上昇。
そしてあるところまで来ると、今度は「下へ向う意識」が…スゥゥ~っと下降(かこう)、滑(なめ)らかに下降します。
あなたは今、肉体から解き放たれた「無意識の宇宙」の中で、「ただ在(あ)るがままに在(あ)ること」への…悦(よろこ)びを感じています。
その悦(よろこ)びを、二倍にしましょう…。
さぁ、今から3つ数えると、あなたと私の「その体(からだ)」は…。
互いに柔らかく融合(ゆうごう)されて…溶(と)け合います。
3、2、1…。
ゆっくりと混(ま)じりあう…。
私の体(からだ)が、あなたの中へ…。
そしてあなたの体(からだ)が、私の中へ…。
右巻(みぎま)きに左巻(ひだりま)きに…イビツな螺旋(らせん)を描(えが)きながら、ぐるぐる回る…。
あなたと私の「心と体」が…一つになる。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるりぐるり…。
一つになることは、とても気持ちいい…。
確かなはずの「記憶」がゆがんで、不確かで曖昧(あいまい)にカラミ合う…「奇妙なハーモニー」
あなたと私は今までとは別の…「新しい存在」になります。
時空の歯車が狂い出すと、もう元には…。
もどれない…。
5(ごぉ)、6、8、4(よん)、1、7(なな)、3、2(にぃ)、9(きゅう)、9、9、9…ゼロ。
《一呼吸置く》
ふわぁ~っとした気持ちのいい…とても気持ちのいい浮遊感(ふゆうかん)に、包(つつ)まれてゆく…。
果てしなく広がる「快楽のさざ波」が、穏(おだ)やかに緩(ゆる)やかに続きながら…無限ループ。
繰り返し震(ふる)えるような「絶頂(ぜっちょう)の充足感」が…どこまでも気持ちいい…。気持ちいい、気持ちいい…とても気持ちいい。
あなたと私はまもなく、「完全な存在」になります。
どちらか一方(いっぽう)の存在だけでは、決して触(ふ)れることのできない「領域」まで…達(たっ)してゆくことの悦(よろこ)び。
アンドロギュノス…。
二人は今、「完全な存在」です。
「完全な存在」…「完全な存在」…「完全な存在」…。
神の英知(えいち)を「超えて」なを、「完全な存在」…。
アンドロギュノス…。
《雷の音》
巨大な落雷(らくらい)に引き裂かれて…。
あなたと私は、人(ひと)の形(かたち)をした「二つの存在」になります。
あなたは男性の形(かたち)をしています。
私は女性の形(かたち)をしています。
そしてお互いに「不完全」な…「人間」のはじまりです。
【半覚醒への誘導】
さぁ…ここであなたは一旦(いったん)目を覚まします。
私が3つ数えて手を叩くと、あなたは自然と目を開(ひら)いてしまいます。
けれどその「気持ちのいい状態」は、例え目を開(あ)けたあとでも、ずぅ~っとそのまま、変わることはありません。
そして次にあなたは「落ちる」、「落ちてゆく」という言葉をきっかけに、すぐにまた、「催眠の世界」へと…戻ることが出来ます。
3つ数えて手を叩くと、あなたは目を開(ひら)きます。
1、2、3…。
《パンと手を叩く》
どうでしたか?肉体の無い世界は?
どうやら最後に、あなたと私は…「神の嫉妬(しっと)と怒り」の象徴である、「雷(いかずち)」を浴(あ)びて…。
こんなふうに「人の形(かたち)をした肉体をもつ」という…不自由な罰(ばつ)を、受けてしまったようです。
でも、大丈夫…。あなたと私は、きっとどこかで繋(つな)がる存在です。
きっとどこかで…。
繋(つな)がることに興味のあるあなたは、次の音声へと進んでください。
3部へつづく