tsuioku2a
■「旧校舎の裏庭にて」
※※※ドラマパート※※※
(鳥のさえずる声)
(草むらを踏む足音が近づく)
あれ…?
誰かと思ったら、君か。
(横になっていたが起き上がる)
珍しいね、君がこんなところに来るなんて。
午後の授業、もうすぐ始まるんじゃないの?
ああ、僕はサボりだよ。
9月から新しく入った化学の先生と、どうも相性が悪くてね。
とても授業を受ける気になれないんだよ。
うん、単位を落とさないように出席はしておくさ。
大丈夫、サボってるのなんてバレやしないよ。
旧校舎の裏庭なんて、滅多に人が来ない場所だからね。
僕の秘密のリラックススポットさ。
君だって僕が教えなきゃ、こんな日当たりのいい昼寝にぴったりの場所があること知らなかっただろ?
それで?
君はどうしてこんなとこに来たわけ?
早く答えないと、授業始まっちゃうよ?
え?君もサボるの?珍しい………まあ、いいけどさ。
隣、座る?どうぞ。
(トワゴロリと横になる)
ふぁ~あ。
10月に入って雨の日が続いたけど、今日は綺麗な秋晴れだ。
君も横になってみれば?
空を眺めたら悩みごとなんてどこかへいっちゃうよ。
(リスナーが横になる音))
ね、素敵な空だろ?
秋空の曇って一日中眺めてても飽きないよね。
まるで君の顔みたいに、表情がコロコロ変わって。
ふふ、だって君を見てると面白いんだもん。
急に怒ったり、落ち込んだり、笑ったり、すねたり。
同じ部屋になってから君を見てるだけでほんと楽しい。
君は僕といっしょに居て楽しい?
そっか、なら良かった。
え?でも?何?
僕が君を好きか…って?
ああ、うん。
それが君の悩み?
へぇ~ふふふ。
あ、ごめん、笑いごとじゃなかったね。
だってまさかそんな事考えてるなんて思ってもいなかったからさ。
君と一緒にいると楽しいし、君を見ていると飽きないし…
僕は君と過ごす時間がとても幸せなんだ。
でも…うん…なんでもない。
え?はっきり言って欲しい?
うーん、難しいんだよ。
まだちゃんと話せる自信がない。
でもさ…
少年として過ごすこの短い時間に、君と一緒にいられるだけで僕は十分満たされてるんだけどな。