Track 3

③いつもと違う朝

次の日の朝起きると、弟はいそいそとパンツを履き替えていた。 目が合うと気まずそうに風呂場へ直行。 なんてカワイイんだろう……そして私は、なんてイジワルなんだろう。 そして知った。平常時はやはり目立たないんだなと。 勃起すると強烈に膨らみ、パンツを窮屈にする。 なんかかわいそうだなと思った。変化が急激すぎる。 あの大きさは、どう考えても生活に支障が出るはず。 それは、自分の身体でも体験済みだから…… 胸にお尻に太もも……合わなくなった服は捨てるしかない。 なにかイヤなことがあっても、自分の意思で小さくすることもできない。 そしてそれは、ほぼ一生ついて回ることが確定している。 オナニー……知ってるのかな? どう考えても、去年までは無垢そのものだった。 夏休みが終わったあとも連絡とり合ってたけど、そんな素振りなく。 もし……処理の仕方を誰にも聞けず、わからないとしたら……? 射精すればすぐ縮まるって聞いてたけど、実際に見たわけじゃないし。 それに、やっぱり姉弟だから……ちょっとこの話題はナイーブすぎる。 どう扱えばいいのか……自然に任せるしかないのかな? 今年の夏は、ちょっと一筋縄ではいかない気がしてきた。 ………… ……………… …………………… 適当に朝ごはんを食べて、一緒にゴロゴロする。 勃起なし。夜にうずくのかな? 一緒にマンガ読んで、ゲームして…… 午後の講義に出て、帰ってきて…… そのままお買い物いって、弟の好きな食材買って…… 料理して、喜ばれて、心が気持ちよくなって…… なんとなくお風呂は別々に入って、なんとなく気まずい。 そして………また夜がくる。 マンガの読みかけでうたた寝しちゃった弟をベッドに運ぶ。 ……このシリーズずっと読んでる……そんなに好きだったかな? この子には難しいかなと思って、あえて薦めてこなかったのに。 心も身体も、一緒に変化していってるのかもしれない。 ちょっと怖いけど、それ以上に楽しみが増えた気分になった。 プラスに転じていかないといけない。 そうじゃないと、この難局をうまく乗り越えられない気がしていた。 私は今日大学で与えられた課題を黙々とこなしてから…… 電気を消して、ベッドに入った。 昨日の二の舞を踏まないよう、弟に背を向けて……