アメを「舐める」
「別の『月下』(げっか)、をご用意、いたしました。今度はゆうっくり、たんねんにアメの、『月
下』の奇妙(きみょう)を、味わって、くださいまし。」
「では、セーンセ、お口を、開けてください。アーンー。」
「味、ですか?…なんの味か、多分、袋に、書いてあると思うんですけど……なんの味か、書いてま
せんね……なんの味か、わかりませんね……」
「(再び)アーンー。(フフッというようなニュアンスの声)失礼、いたしまーす。」
「余計な言葉は、いりませんね。ぜひ、その舌先で、歯の裏側で、感じてください、味わって、くだ
さいまし、センセ」
「(フフッというようなニュアンスの声)大事に味わってくださり、ありがとうございました。」
「本日のアメの品(しな)は、以上でございます。…さて、歯を、磨きましょう。口をゆすいで、歯
を磨いて、お口をきれい、にするまでが、アメ舐めで、ございます」