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第3話 撫猫さんと遊び
交際スタートから一月ぐらい
撫猫さんのお部屋 外は雨がふっているのを雨戸を開けて確認する撫猫さん
撫猫 「今日はあいにくの雨ですね……梅雨に入り雨が多いです……お洗濯もの明日は乾かせるといんですが」
撫猫 「あ……そうです!……書き損じの恋文で……」
簡単にてるてるぼうずを作る撫猫さん
撫猫 「(作るアドリブ)……出来ましたてるてる坊主です……ふふ、お顔は旦那様を参考にしましょう?」
撫猫 「……んー、旦那様のお顔……中々難しいですね……本物を見たいような気がします……ふぇっ」
その時撫猫さんの部屋の前に主人公が
撫猫 「だ、旦那様!?はい、撫猫は部屋におります!どうぞお入りください」
主人公襖を開けて部屋に入ってくる
撫猫 「いかがなさいましたか、旦那様?……え、はぁ、これはですね……」
撫猫 「うふふ、何でもありませんよ……あ、そうです!私も旦那様のお顔を見たいと思っておりました……少し失礼して拝見しますね」
撫猫 「ふんふん……なるほど……ふふ、参考になりました」
撫猫 「あのー、旦那様お顔が真っ赤ですが……え……はっ!私ったら殿方の顔を見つめるなんて大胆なことを!……(撫猫さんも恥ずかしい)」
撫猫 「……そ、そういえば旦那様は私に何か御用でしょうか」
撫猫 「はぁ……お暇、だったんですか?……お外は雨ですもんね……承知致しました。撫猫にお任せください」
撫猫 「お部屋の遊び……んー、そうですねー……これなどいかがでしょうか『鞠(まり)』です」
撫猫 「はい、これを私に投げて頂けますか?」
撫猫 「はーい、旦那様お上手ですよー……んっ……ん……」
撫猫さん取った鞠をコロコロしだす とても上機嫌
撫猫 「ふふ、鞠はいいですね……こうしてころころすると楽しいです……うふ、うふふっ」
撫猫 「(少し幸せころころタイム)……はい、何ですか旦那様?……この後ですか?いつもは一刻ほど私はころころしておりますが?……はっ……旦那様が退屈ですよね!申し訳ありません」
撫猫 「えっと……ではこれなどいかがでしょうか!『おはじき』です」
撫猫 「はい、これはちゃんと二人で遊べますので……まずはこうしておはじきを床に撒きます……間隔は少し空けてくださいね……最初に狙うおはじきとはじくおはじきの間に指で線を引きます……これを「しきり」と言うんですよ……そうしましたらこうやって(徐々にフェードアウト)」
場面転換
撫猫 「はい、これで最後の一つです……そうしたら眼を閉じて指でなぞって……」
撫猫 「おまわし~おまわし~ね~このめ♪……はい、取れました……ふふ、沢山とれました♪」
撫猫さんの圧勝
撫猫 「はっ……申し訳ありません旦那様!私ったら手加減もせず旦那様のお相手を……」
撫猫 「ううっ……ずっと一人で遊んでおりましたので……旦那様、撫猫にもう一度だけ機会をくださいまし」
撫猫 「こ、これなど!いかがでしょうか!『百人一首』です……私が読み上げますので、旦那様が取ってください」
撫猫 「はい、私は下の句を読み上げた後に取らせて頂きます……いかがでしょうか?」
撫猫 「はい♪では取り札をまきますね……んっ……ん……準備が出来ました」
撫猫 「旦那様も用意はよろしいですか?」
撫猫 「ではいきますね一枚目『いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな』……はい、それですね!旦那様お上手です!」
拍手する撫猫さん
撫猫 「ふふ、それは私の好きな歌なんですよ……さぁ次です。いきますよー……『忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで』……あ、ありました!今度は私がとりましたね……さぁ次の歌です……(フェードアウト)」
場面転換
撫猫 「はい、お上手です!……これで全部ですねー……どれ、ひーふーみーやーいつ……んー、今度は旦那様の勝ちですね。おめでとうございます♪」
撫猫 「うふふ、旦那様ったら子供の様に喜んで……札を片付けますね」
撫猫 「あ、手伝ってくださるんですか?……ありがとうございます」
撫猫 「……(少し片付けてる)……あっ」
主人公と手が触れてしまう
撫猫 「……あの、手が触れてしまいましたが」
しばしそのまま固まる
撫猫 「……」
撫猫 「……旦那様(潤んだ様な恥ずかしい様な)」
しかし撫猫さんの恥じらいが爆発してしまう
撫猫 「あ、そろそろいい時間ですね……お夕飯の支度を始めないと!私は食材の確認だけして参りますので」
そそくさと部屋を出てしまう
撫猫 「はぁはぁ……胸の高鳴りが止まりません……旦那様、撫猫はいけない猫で御座います」
撫猫 「あ……てるてる坊主、持ってきてしまいました」
撫猫 「……これは仕舞っておきましょう」
撫猫 「ふふっ……雨が降ればきっとまた旦那様と遊べますから」