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第7話 撫猫さんとお見合い
季節はもう秋 今日は撫猫さんと待ち合わせ
撫猫 「もうすっかり秋ですね……こうして気づけば木々も紅葉しています」
撫猫 「そろそろ旦那様との待ち合わせの時間ですね……あ、いらっしゃいました」
そこに仕事帰りの主人公が到着
撫猫 「……いえいえ、私が早く来すぎただけですから……旦那様こそ今日もお仕事お疲れ様でした」
撫猫 「ふふ、そうですね。やはり着物では少々目立ちますが、最近は街にも慣れて参りました」
撫猫 「はい、旦那様のおかげでお買い物ぐらいでしたらこなせる様になりました……それで今日は一体何のお誘いなんでしょうか」
撫猫 「お食事ですか……まぁ!とっても嬉しいです♪」
撫猫 「……どうかされましたか旦那様?」
撫猫 「はい……今日は西欧料理のお店ですか?……初めてなので楽しみです♪」
場面転換
レストランの中、料理も一通り終わり歓談中
撫猫 「はぁ、とっても美味しかったです……あのムニエルという魚料理はぜひ今度挑戦してみたいです……おそらく小麦粉を塗してバターで焼く様なお料理だと思うのですが……細かな調理が気になりますね」
撫猫 「今度お料理本を買ってくださるんですか?……はい、頑張って洋食も覚えますね」
そこに気のいい店員さんが珈琲を持ってくる
店員 「お待たせ致しました……食後の珈琲で御座います」
撫猫 「まぁ、わざわざありがとうございます……あなたは行商さんどうしてここに!?」
店員 「にゃふふ、猫も色々と働かないと立ち行かないご時勢でして……それと……サービスのデザートです」
何故かデザートを出してくれる店員さん
撫猫 「さーびす?……とは何でしょうか?」
撫猫 「おまけ……ですか。どうして私達にしてくださるんですか?」
店員 「ふふ、お客様たちアレですよね?今日はお見合いですよね」
撫猫 「お、お見合い!?」
店員 「撫猫さん、遂に旦那様も覚悟を決めましたか?(ボソ)」
撫猫 「い、いえ私達は……その」
店員 「着物とスーツですからね……一目でわかっちゃいました」
撫猫 「……(恥ずかしい)」
店員 「ふふ、お二人とも照れて初々しいですねぇ」
撫猫 「ど、どうしましょう旦那様……(顔真っ赤)」
店員 「おー、あなたが噂の旦那様ですか……お初にお目にかかります……撫猫さんにはご贔屓にして頂いてます……いつもノロケ話聞いてますよ、にゃふふ」
撫猫 「行商さん!」
店員 「……で、撫猫さんはどうですか?今時こんないい猫中々いませんよぉ?」
店員 「おー、素敵な人ですか(にんまり)……これはこれは……おっと興奮して耳が出そうになった」
撫猫 「旦那様……」
店員 「ふふ、お二人ともうまく行くといいですね♪……では邪魔者はこれにて退散致しますのでごゆっくりどうぞ♪……あ、今後ともご贔屓に~」
撫猫 「行商さん、行ってしまわれました……お見合い……ですか……勘違いをされてしまいましたね」
少し困った様な嬉しいような複雑そうな撫猫さん
撫猫 「は、はい!なんでしょうか旦那様」
撫猫 「へ……いつか私の本当の旦那様になりたいですか?」
珍しく焦る撫猫さん
撫猫 「い、いえ!旦那様は初めてお会いした時からずっと私の旦那様ですからその、その……」
撫猫 「……わかっております。旦那様。……私もそうなればとずっと夢見ておりました」
撫猫 「はい……撫猫も末長くご一緒出来るように交際をしたいです」
撫猫 「……あ、デザートの事をすっかり忘れておりました……ふふ、本当にお見合いになってしまいましたね」
撫猫 「では頂きましょうか……はむ……旦那様、甘露でとっても幸せです」