Track 10

ありすと添い寝

;/////// ;Track10 ありすと添い寝 ;//////// ;9/前遠 「アロマランプ、つけますね」 ;SE アルコールランプ着火 ;以降、環境音、ほのかにアルコールランプ燃焼 ;SE 静かな足音(畳、素足) ;1/前 「アロマ、サンダルウッドのブレンドのやつを選んでみました。 白檀(びゃくだん)――とっても落ち着く、静かな香りを、ほんのりと」 「(長い吐息)――疲れますよね、ちっちゃいこの相手は、本当に。 つかれるけど――とっても楽しい」 ;SE 毛布かぶる(ありすとあなたは並んでるふたつの布団にそれぞれ寝てる距離感) ;以降、声届くようにで、けど安眠導入のウィスパー ;3/右 「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 「……あ――もう寝ちゃってる。 ほんっと、早いですよね、寝入っちゃうの。 それだけ疲れ、たまってるんでしょうけど……」 「(呼吸音)(呼吸音)――たぬき寝入りの寝息じゃないですもんね、これ。 ……本当にご苦労さまです」 「…………今日のおて手洗い教室、あなたが手伝ってくれたのって―― もちろん、感染症対策を教える重要性……あなたですもの、わかってくれて、っていうのも、 絶対あるに決まってますけど――」 「だけど、それだけじゃなく……………………」 ;3/右 (接近囁き) 「ほんとはわたしの――相談事とか、話したいこと、あったんでしょう? きっと」 ;3/右 「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 「……ふふっ。むかしっからですもんねー。 すみちゃんにもなっちゃんにも、飛車角さんにだって話せない悩み事とか相談事。わたしにだけはうちあけてくれるの」 「ちっちゃいころは、それが単純にうれしくて。 けど、思春期になったころから……(泣き笑いのような吐息)――あなたに恋して……いたころには、ね?」 「すみちゃんやなっちゃんほどわたしのことが大事じゃないから―― わたしにだったら、嫌われたって軽蔑されたってダメージすくないから…… だからわたしに相談ごとをしてくれてるの? とか、ちょっと病んだみたいなことを思っちゃってた時期もあって――」 「けど、もう全部過去形で。……全部、むかしのことにして。 そうしたら、『ああ』って、わかったような気になったんです。 もちろんそんなの、勘違いかもしれませんけど」 「だけど、わたしは信頼されてる……信頼されてた。 どんな相談をしたって絶対嫌われないって、軽蔑されないって―― あなたは、無意識にわかってた」 「それって……めちゃくちゃ残酷ですよね。 悪意なんて全然なくて、むしろ無邪気で――だからこその、少年じみた残酷さ」 「わたしがあなたを好きだって。あなたは無意識にわかってた。 わかってて、けれどもそれをどうこうしようって気がなかったから―― ほとんど無邪気に、わたしに甘えて……わたしを頼ってくれていた」 「……多分これだな、この構図だなって、わたし――気づいて。 気づいてもね? やっぱり―― 腹がたつとか情けないって思っちゃうとか、そういう気持ちの何百倍も――」 「うれしいな、って。わたし、やっぱり思っちゃったんですよ。 『信頼される』『頼られる』『甘えられる」―― そうできるって、無邪気に思ってもらえるくらい――わたしの恋は、強かったし。 少なくともあなたの無意識には、受け止めてもらえてたんだなぁって、感じましたし」 「それに……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――そこまで、信頼してもらえてたのに。 甘えることが許されるって、あなた、確信してたのに」 「すみちゃんとあなたが結ばれてからは、ただの一度も――男性として、女性のわたしに、甘えたことってなかったから。 異性じゃなくて人間として――信頼されてるんだなぁって……感じるっていうか、もうね、気づいた瞬間、わかっちゃって」 「わたしはあなたの恋人になれなくて。わたしはあなたの奥さんになれなくて。わたしはあなたに女として求められなくて。 だけどわたし以外の誰にも――すみちゃんだってなっちゃんだってえみちゃんだってとおこさんだって飛車角さんだって―― 他の誰もが選ばれなかった……」 「(静かで長い吐息)」 「……あなたの友達。親友に。わたし、いつの間にかなってたんだなぁ、って」 「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;SE 身じろぎ ;SE 頭をそっとなでてあげる ;3/右 (近い) 「だから、ね? 親友、いつだって。わたしはあなたの話を聞きます。 相談ごとでも悩み事でもまっすぐ聞いて、思うことそのまま、返しますから」 ;SE 体制戻して寝転ぶ ;ありすもどんどん眠くなる ;3/右 「だから……ふぁ――なんでも話して……くださいね―― そういう形も……わるく、ないって――わたし、ほんとに――思ってますから……(小あくび)」 「……将来に……つながる……わけじゃなし…… それで、なにが……かわるってことも……たぶん……ぜったい……ないで、しょうけど――ん……」 「(大あくび)……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 「たのしいんです。あなたの話を聞くことは。 ちっちゃなときから、今日の今日まで……ただ単純に……たのしく……て……ん…………」 「(うとうととする呼吸)*4」 「だから、めざめた……そのあと……も――(うと呼吸)*2」 「あなたの話を……あなたの、声、で…………(呼吸音)――わたしに、きかせて――(呼吸音)――ください、ね――(呼吸音)」 「やくそく、ですよ?――ふぁ――…………おやすみなさい」 「(寝ようとする息。ニュアンス多め。一分ほど)」 「(落ち着いてきて、眠りに入りかかってる呼吸。一分ほど」 「(浅い寝息、一分ほど)」 「(完全に眠りにおちた、穏やかな寝息。一分ほど)」 ;環境音。ゆっくりとF.O.