トラック2
……聞こえてるよね?
鳥のさえずりが……小川のせせらぎ……
それとも、もう目の前に見えているのかな?
あ、ほら、風が吹き抜けていったよ。
気持ちいい……肌に心地いい風だね。
虫の音……犬の遠吠え……これは……そう、夜の景色。
ねぇ、なんだか大きくなった気がしない?
何が大きくなっているのかは……ふふ、それはキミが一番よく知っているはずだよ。
日の光を浴びながら、鳥のさえずりを聞いたでしょ?
行った覚えのない川のせせらぎを感じた……それから、風に吹かれた。
そしたら次は、夜……虫の音、遠吠え。そう、夜の音を、景色を感じ取ったはずだよ。
昼と夜が一度に訪れているね……本来なら、あり得ないこと。
でも、今のキミならそれができちゃう。
昼も夜も超越――ううん、ここまで来てしまったなら、もう時間も空間だって、関係なくなってるの。
だって、今のキミはこれまでのキミとは違う、でしょ?
聞こえなかったものが、聞こえるようになった……見えないものさえ、見えそうになっている……ううん、本当はもう見えていたのかもしれない。
ね? とっても、敏感になっているんだよ。キミの全ての感覚が冴え渡っている。
でもね、キミは、まだまだ変わっていくの。
登っていくの……高くて、深い、認識を得られるようになるはずだよ。
もっともっと、すごい体験をすることになるはずなの。
感じられないはずのことだって、認識できるそう……これまでは認知できなかった感覚を手に入れらるんだよ……ねぇ、試してみない?
ふふっ、それじゃ……いくよ?
……ちゅ♪ ちゅ♪ ちゅ♪
ねぇ、いまどこにキスをされたと思う?
頬? 頬? 手の甲? こめかみ? やっぱり、唇かな?
ふふふ、全部、正解だよ。
どこにキスを感じても、それは全て正しいの。
ここは、キミの場所だから。
キミが新しく手に入れた世界なの……キミが感じたままのことが全て……それが許される世界……
キミがいるのは、そういう場所。
ううん……キミが新たに辿り着いた場所、かな?
そんな世界で、キミはいま、裸同然でいるの。
そう……生まれたままの姿で、感覚の海をたゆたっているの。
打ち寄せてくる波全てが、キミに与えられる五感……感覚……
でもね、キミは選び取ることができるの。
好きなものだけ、心地良いと思えるものだけ、選んでいいの。
キモチヨクナレルモノだけ、受け取って――……
……ちゅっ♪
キス、続けるよ。
……ちゅっ♪
さあ、どこにキスをしたでしょう?
……キミはどこにされたかったのかな?
感覚を……認識を広げてみて……想像して。キミのイメージが、キミに起こる全てなんだから。
次は、キミが敏感なところ……
ちゅ……っ♪
体が熱くなってきた? それとも、背筋がゾクゾクしてきたかな?
キスを、続けるよ?
キミの弱いところに、どんどんキス、していくね……ちゅっ♪
ちゅっ……ちゅ、ん……はぁ……
弱いところは、どこだろう?
体が、勝手にビクンピクンって、反応しちゃうようなとこに……ちゅ……ちゅっ♪
はぁ……んっ……もっと、刺激的なこと、しよっか?
ちゅ、ちゅっ……キスをして、はぁ……唇でキミの肌をなぞるみたいに、ちゅ、ちゅ……
敏感なところから、ん、ちゅ、はぁ……敏感なところへ、キスを滑らせるの。
っちゅ、ん……はぁはぁ……ちゅっぱ、ちゅ、ちゅ……ん、ちゅ……っ。
キミは、ちゅ、ちゅっぱ……っ、どこに触れられたいのかな? ちゅぷ……ちゅっ、どこに触れてほしいって思っているのかな?
好きな感覚を……ちゅる、ちゅっ、好きな触覚を……ちゅ、ちゅっぱぁ……選んでいいんだよ?
はぁ……ん、ちゅ……キミの好きな気持ちいいを、好きなだけ、受け取って……んっ、はぁ……感じ取って……ちゅっぱ、ちゅぷ……ちゅ。
ちゅ……っ、首筋からゆっくり……唇を、はぁ、ちゅ、ちゅ……鎖骨まで這わしてほしい?
やっぱり、お口が好き? やっぱり、お口が好き? ちゅ……ん、舌を奥まで……ちゅ、ちゅっ、深く入れて……はぁ、はぁ……ちゅぷ、ちゅ、絡め合いたい?
それとも、お腹から……ちゅる、ちゅるり……胸に、舌を這わせて……ちゅ、ちゅぷっ……乳首をころがされるほうが、好き?
それとも、こっち? んっ、ちゅる……ちゅるり、脇腹から腰へ……ちゅ、ちゅぷ、腰から、太ももを通り超して……ちゅぷ、ちゅっ……もっともっと、深いところを……じゅるりっ……ペロペロ、されたいのかな?
ちゅぷ……ぴちゃ、ちゅっ、ちゅぷ……ちゅるる……っ。
ちゅ……っ、はぁはぁ……キミの体、とっても熱くなってきたね。
感覚の海に流されてしまっていたキミの体が、またまた輪郭を宿したの。
でも、これまでは違う……わかるでしょ?わかるでしょ?
ちゅっ……ちゅ、ちゅ……ちゅぱ……っ。
ふふ……体が反応してる……気持ちいいんだ……
ほら、ね?
いまの、たったあれだけで、キミはキミが敏感だって思う場所に、触ってもらえた……そんなふうに認識できるようになれた。
音だけで……目の前に、景色が広がるようになった。
音だけで、触覚を、触れてもらえる感覚を手に入れてしまった――
でも、まだまだ、キミは変われる……変化を続けていくの……どんどん、研ぎ澄まされていく。
心地いいことをより心地よく……気持ちいいことなら、いっそう気持ちよく……
次は、何が起こるかな?
だから、おいで……わたしのところまで、おいで。
早く、おいで……来て? 来てほしいの。一緒に、確かめよう……
ふふ、楽しみだね――