■2-1.『大学の教授の場合』
☆2-1
失礼します、先生。
お話がある、ということでしたけど……
この前提出した、レポートの件でしょうか?
え?
ええ。はい。おかげさまで。
先生のゼミ、分かりやすいですし、内容も面白くて、楽しいです。
ふふ。知ってますか? 先生って、結構モテるんですよー。
私の友達が、先生って渋くてイケてるし、ゼミ入れて羨ましーなー、って言ってました。
……え?
急に、どうしたんですか? 先生。
それって、いわゆる“アカハラ”ってやつじゃないですかー?
まあ……はい。彼とは確かに、お付き合いしてますけど。
それがどうかしましたか?
……彼の成績、ですか?
それは……本当、なんですか?
でも、彼、出席は毎回してますし、提出物もちゃんと出してますし……問題ないって思いますけど……
……そんな。
ゼミって……確か、必修ですよね?
なのに、単位取れない、なんてことになったら……
彼、卒業できなくなります……。
…………。
でも、彼の話を、なんで私にするんですか……?
しかも、先生の研究室で……?
……あ。
先生……こ、困ります……。
み、耳、触らないで、ください……。
それ……セクハラ、です……。
か、彼の、ために……私が……?
あぁ……そんな……。
私、私……。