洗髪とヘアブロー
【明日梨】……店長?
ぼーっとして、どうしたんですか?
あちらのお客様が、お待ちになってますけど…え、ちょっと…昨日の話は、ダメ。
こんなところで、止めてよ…結局、一緒に帰るだけじゃなくなって…その…夏希と、あの後…申し訳ないって思うなら、お仕事終わった後、少し付き合ってちょっと…やってみたいこと、あるから…じゃあ、また…
【明日梨】これで、二人きり…だね…その、付き合って欲しいことっていうのは…実は、洗髪の練習とか、したくて………うん、ただのバイトじゃなくて。
店長と一緒に働いてる内に私も、美容師目指してみようって思ったで……ダメ、かな?
ほんと?
じゃあ、椅子に座って…あ、夏希は今日、出てこないから。
昨日のことで、少し強めに言っといたのだで、ヘンなことは絶対にしないよ。
もちろん、私も…今は、余計なこと考えんで、リラックス…してねほら、もっと深く座って…ん、大丈夫そうなら、椅子倒すね…寝心地、良い?
じゃあ、濡らしていくねお湯加減、ちょうど良い?
ふふ、良かった今度はシャンプーしていくね痒いところはございませんか?
ふふまさか、この台詞を私が言うなんて…ね…でも、もし美容師になれたら、お客さんにも言わんと…あ。
店長の髪、サラサラで指通り良いね…シャンプーしてるの、私の方なのに。
ちょっと気持ち良いなぁって、思っちゃった店長は、どう?
私の手…気持ち良いかな?
…そっか、癒されるんだ。
ふふ、店長にそう言ってもらえるなんて、嬉しい…自信、ついちゃうな……もちろん、緊張はしてるよ。
…昨日、あんなこともあったし…だけど、相手が店長だから、かな。
丁寧に洗えとる気がする………ん、はぁ…あ、サイドのところ、気持ち良い?
…ふふ。
店長、耳弱いから。
近いところを洗われると、少しびくってなっとる…この、わしゃわしゃ~っていうのが、心地良いんだよね……良いよ。
耳の側でも、もっとしてあげる……ん、はぁ…うん、良く泡立ったかな…じゃあ、すすいでいくね…ん、ふぅ…髪の毛だけじゃなくて、地肌も…優しく労わるように…ん、はぁ…店長の顔、緩んできたね…私も、店長に髪洗ってもらえたら、きっとこんな顔になっちゃうと思う……うん、ここでバイトする前に、一回店長に髪を切って貰った時…私の髪、とっても丁寧に扱ってくれて…シャンプーも、すごく気持ち良かったんだよ…それで、ここのバイト、してみようかなって…ただのお客さんじゃなくて、もっと店長と…近い距離で話せれば…ってって、私…何、言っとるんだろさっきのこと、忘れてって言おうとしたけど…やっぱり、忘れんで、良い……ん、ふぅ。
首の上の方も、泡が残らんように…んっ最後に、リンスを付けるね…また、流していくよ…ん、はぁ…店長の髪、良い匂いする…ん、はぁ…髪に触ってるだけなのに、ドキドキ…しちゃう……でも、手が震えとらんのは…。
こうして触ってると、落ち着くで…かな… ヘン、だよね。
胸の奥はドキドキしとるのに…店長の髪に触れとると、不思議と…ほっとする…きっと、このうるさく鳴ってる心臓の音も…だんだん、静かに……ん、ふぅ…ふふ。
今日は、やけに褒めてくれるね…そんなに気持ち良いんだ……まあ、いつも店長がお仕事しとるとこ、良く見させてもらっとるでこれくらい、ちゃんとできなきゃね…まだ、先の話になるけど。
もっと、色々手伝えるように、なりたいし…はい、これでお終い髪の毛、拭いてくねじゃあ、起こすよ…あ。
店長が髪上げてるの、新鮮だね… へぇ、こういうのも似合っとるんじゃない?
……そう?
私は、か、カッコ良いと思うけど……ふーん。
じゃあ、いつもお風呂上りとか、こんな感じ…なんだ…ああ、いや。
別にヘンなこととか、考えたりしとらんからって、このままだと風邪引いちゃう最後は、ヘアブローしながら、髪を整えるね髪の毛、熱くない?
…ふふ、じゃあこのまま乾かしていくねふぅ。
これで、良し…どうかな。
一応、様になっとった?
そっか、ふふ。
今日は付き合ってくれてありがと…その。
また今度、練習に付き合ってもらっても、良い?
じゃあ、またよろしくね店長のこと、癒せるように――…っていうのも、あるけどもっと巧くなれるように、私、頑張るね