初めての膝枕と耳かき
お帰りなさい…!
今そちらへ――あっ…!。
ふふっ、今日は早かったんですねでも、お掃除もお料理も、全部済ませておきましたよ…お腹、空いていますか?
では、もうしばらく、休憩致しましょう。
さ、こちらのソファーへ。
…もちろん、私も一緒ですよ。
貴方の、隣に…あぁ…これが座るという感覚…。
だいぶ慣れてきました……はい、まだ少しだけ戸惑うこともありますけど、初めての頃に比べれば馴染んできたと思います転んでしまう回数も、少なくなりましたし…人になり始めの頃は、かなりご迷惑をお掛けしたかと…けど、今は大丈夫です。
この街に来てから、色々なことを覚えて…貴方の、お役に立てているって、そう思うんです。
…本当は、私もお仕事をしてみたいんですけど…貴方は、いつも反対しますよね。
セフィリアには、家のことをしてほしい…と。
…でも、その方が二人の時間も増えますし。
貴方に、いつもお料理を作ってあげられます…だから、今のままで…良いんですよね?
それが一番、二人にとっての幸せになりますから………そう言えば。
その、ちょっと貴方にしてみたいことがあって…耳かきって言うんですけど…ご存知ですか?
私は、今日初めて知りましたお買い物の時に、耳かき棒という変わった形のものが売っていて…珍しかったので、少しお話を聞いてみたんですけど…これがとっても気持ち良いと言われて…。
お疲れの貴方を、少しでも癒せればと思って…つい、買っちゃいました。
…ダメ、でしたか?
あ、興味…出てこられました?
では、私にお任せくださいね。
ふふっお店の方に、耳かきの、極意…?
というものを教わりましたからきっと、いえ…絶対に、貴方のことを癒して差し上げますねえっと…まずは頭を預けるように、お身体を倒してくださいあ、違います、そっちじゃありませんそうではなくて、こちらに…ですつまり、私の…お膝に、頭を乗せてください……それは…恥ずかしい、ですけど…それでも、そうしたいので…。
お願い、します…私のお膝に、貴方の頭を……んっ、ぁ………はい、ありがとう…ございます…それでは、失礼して…。
こちらから、お耳のお掃除を……ん、はぁ……。
最初は、浅いところから、優しく…んぅ、ふぅ……。
初めて…ですけど、気持ち良く…できていますか?
…ん、ぁ……ふふ、良かったぁ…では、このまま……ん、ふぅ…ん、はぁ……。
もっと、かきかきってして…貴方のこと、癒しますね………ん、ふぅ……。
……ん……んぅ……はぁ………ん、ふぅ…実は…ずっと、してあげたかったんです………ぁ、耳かきの方ではなくて……膝枕、ですよ……以前の時は、貴方の頭を…こうして膝下にのせてあげることなんて、できませんでしたから…人の身体になって、自分で貴方の側に行って…温もりを、分けてあげたかったんです……ん、はぁ……どう、でしょうか。
私の、人の身体…膝枕は、ちゃんと温かくて…。
寝心地…良いですか?
ふふ、ポカポカして柔らかいんですね……嬉しい人として、貴方と触れ合うのが、こんなに幸せなんて……ん、はぁ…耳かきの極意は…膝枕だと、教わったんですけど。
本当…でしたね貴方のお顔…いつも寝ている時より、なんだかゆるーくなって…とっても、気持ち良さそう…愛おしくて、可愛いお顔をしています。
…ん、ふぅ……でも、その、太ももに…すりすりするのは、ダメ…ですよ今はお掃除をしていますから。
……そんな、残念そうなお顔をなさらないで下さい……終わった後なら。
その、良い…ですよ?
…すりすり、しても。
ふふっ…ん、ふぅ。
あ、まだお終いじゃないですよ今度は、もう少し奥の方もお掃除していきますね…膝枕よりも、こっちの方が気持ち良いかも…んっ…ん、ふぅ………かきかき、かきかき…ん、はぁ…。
浅いところよりも、奥の方は…もっと心地良いですか?
良かった…。
では、もぉっと…かきかきって、していきますね…優しく、気持ちを込めて……ん、はぁ……。
……ん、ふぅ…ぁ…少し、集中していたみたいですあまり、喋りすぎるのも、どうかと思ったので…その、耳元で話すと、声が…くすぐったい、ですよねそれが、気持ち良いんですか?
……そう、なんですね。
……え、可愛い…なんて…あの時…私の歌を聴いた時も、そのように褒めてくださいましたよね声が、可愛い、と…私達にとって、声はとても大事なものなので…そう言われると…胸の奥があったかく、なります………でも、それだけでは、なくて…どきっと、高鳴るような感じも……ん、はぁ……やっぱり、そうだったんですね…私は、セイレーンなのに。
人ではない存在が、人に、恋をしています…本来であれば、許されない異種族同士の、結ばれる事のない恋。
もっと、伝えても良いですか。
貴方のことが、愛おしい、と………ふふ。
では……好き。
大好き、ですよ…ずっと、こうして…触れ合いたかった……ん、はぁ…貴方は、私のこと…好き、ですか?
ふふ。
本当の意味で、両想い…ですね……あぁ、幸せ…はい、これで綺麗になりましたよあとは…ん…ふぅぅぅ――…優しく息を掛けて、お終いです…さて、まだ反対のお耳が残っていますので頭の向きを変えていただけますか?
んっ…ぁ、こちらを向かれますと、目が合って…少し、恥ずかしいですねい、いえ、大丈夫ですそれでは、こちらのお耳の方も…まず、浅いところから……ん、んぅ……はぁ……ん、ふぅ……先ほどは、恥ずかしいと、言いましたけど…それ以上に、貴方のお顔を見ていたいんです…だって、大好きな人のお顔ですから…笑顔や、少し眠くなってる時、お料理を食べた時の幸せそうなお顔…どれも、愛おしく感じて…夜、ねむる時は…貴方の寝顔をこっそりと眺めてから、目を閉じているんです……今も、こうして…。
ん、はぁ…貴方の気持ち良さそうなお顔を、私が、今は一人占めです…ふふっ…ん、はぁ……ん……んぅ……ふぅ…え、貴方も…私の寝顔を…?
そんな、もしかして…寝たふりを、していらしたんですか?
もぅ、ずるいですよぅ…寝顔、見られてたなんて…。
頬が熱くなってきちゃいました……ん、はぁ……んっ……ふぇ、可愛いかったん…ですか?
…うぅ。
あ、貴方のお顔だって…今、とーっても、可愛いですよ私の耳かきで、癒されているお顔…大好き、です…ふふ……ん、ふぅ……。
…ん、はぁ……ふぅ。
次は、奥の方も…耳の隅々まで、お掃除していきますね……ん、んぅ……んっ……はぁ………ん、ふぅ…ぁ…今、少しびくっとしましたよね…やっぱり、貴方って…お耳が弱いんですか?
出会った時も、そうでしたよね…貴方の傷を治すために、お耳の側で囁いた時…どこか、気持ち良さそうにされていました…ですから、もしかしたら、と思ってたんですけど……貴方?
聞いていますか?
ふふ、そうでしたかでは、もっと囁いてあげますね…私の声を、一番近くから…貴方だけに…ふふ、大好き…ですよずぅっと、こうしていたいくらい…好き。
…愛しています。
……ん、はぁ………ん、んぅ……ふぅ…そう言えば…。
このような耳かきという行為をされたのは、これが初めてですか?
そうですか…昔、お母様に………では、懐かしく感じるのではないでしょうか…ふふ。
思い出があるのは、素敵ですよね…私は、貴方の昔の頃を知りません……もっと、前に出会っていれば、良かったのに…そうすれば、貴方との思い出を、もっと…たくさん………ごめんなさい、困らせてしまいましたね。
…ん、はぁ………最近、よく考えるんですもし私が、生まれた時から人として…。
女の子で…貴方と出会っていたら。
どうなっていたんでしょう…きっと、色んな楽しいことを、二人でしていたんだろうなって…今も、たくさんの思い出を振り返れるんだろうと…そう、思うんです…人になっていたとしても、、貴方と出会えるかどうか分からないんですが………ん、ふぅ…でも、一つだけ分かることがありますもし、貴方と出逢っていたら…。
必ず、私はまた恋に落ちていました…ふふっ…そう、ですよね。
思い出は、これからたくさん作っていけば良いんです……二人だけの、思い出を……ふふっ。
今、こうして耳かきをしてあげているのも、思い出…ですよね……ん、はぁ…ん…ふぅ…私…今が、幸せです…ん、ふぅ…こちらのお耳も、綺麗になりましたよ最後は…ん…ふぅぅぅ――…はい、これでお終いです…癒されていただけましたか?
ふふ、良かったそれでは、お夕食の支度を…ぁ……もう少し、ですか?
もちろん、私はいつまでも。
良いですよお膝の上で、太ももにすりすりって…したかったんですよね?
…では、いーっぱい、甘えてくださいん…っ、ふぅ…髪の毛が、少しだけくすぐったいですん、ぁ…。
でも、このくすぐったさが、心地良くて…んっ、ふぅ…貴方に、ちゃんと膝枕…できてるって、思えます……ん、あぁ…よし、よし…ふふいつも、お疲れ様です…ごはんの前に、少しだけ…眠っても良いですからね………ん、はぁ…貴方の寝顔…ふふ。
やっぱり、愛おしくて、可愛い………ん、はぁ…よしよし、よしよし…