いつもの一日
あら、ふふっ、お帰りなさいお夕食、もうできていますよ。
今日はあったかいシチューを――――あっいえ……その、早く帰って来てくれたのが…嬉しくて。
つい、抱きついちゃいました………ん、すんすん、貴方の匂い…す、すみません。
でも、この匂い…好き、ですすんすん。
ん…っ、はぁ……ご、ごめんなさい。
こうしていたら、シチューが冷めちゃいますねさ、椅子に座ってくださいすぐ、準備しますからね…あぁ、シチューの良い香り…ふふ、貴方のお腹は、泣き虫さんですねでも、大丈夫ですよ。
お代わりもありますし、シチューに合うパンも用意しましたからお腹いっぱいになるまで、一緒に食べましょうね。
ふふっ…では、いただきますん…はむ、もぐ…もぐ…どうでしょうか?
お、美味しい…ですか?
ふふ、それは良かったですお料理は、上手になれるように、たくさん頑張ったので…ん、はむ…んむ、もぐ…もぐ…美味しい…ん、あむ…もぐ……パンを食べていると、貴方に出会った頃を思い出します…動けない私に、パンを食べさせてくれましたよね…あの時、本当はちょっと、恥ずかしかったんですよ…?
ふふっ……では、あの時のお返し、してあげても良いですか?
……良いじゃありませんか。
してみたいです。
貴方のお口に、あーんって……ダメ、ですか?
ふふ、ありがとうございます…では、パンに少しシチューを付けて…――あっすみません…シチューの中に落としてしまいました。
もう1度、別のパンに付けて…はい、あーん美味しいですか?
ふふ、じゃあもっと大きいのを…きっと、貴方なら一口でぱくっと、できちゃいますよね?
はい、あーんふふ、もぐもぐって食べてる貴方も、とても可愛いです…もっと、毎日でもあーんってしたくなっちゃいます……恥ずかしい、ですか?
でも、それだけじゃありませんよね?
はい、あーん……貴方のお顔、笑っていますよ?
ふふ私も、貴方にこうして貰えた時…恥ずかしかったんですけどいつの間にか、嬉しくも…なっていて。
貴方のこと、意識…していました……その、唇が触れてしまった時のことは、…ほんとに、恥ずかしいので…うぅ…そ、そろそろ普通に食べましょうか。
あーんは、また明日に取っておきます。
ふふ…ふぅ。
食後のお散歩は、とっても気持ち良いですね…風が穏やかで…。
緑もいっぱい。
空気が美味しいです…あの木は…まだ蕾なんですね今は少し寂しいですけど、咲いたらすごく綺麗でしょうね……はい、前まではずっと海で過ごしていたので。
こうした自然に、触れたことがなくて…お花も、あまり見たことがないんですいつか近いうちに、貴方と見られたら良いんですけど…お花が咲くのは、もうすぐでしょうか?
まだ、先なんですね。
少し、残念です……けれど、貴方とこうして、一緒に歩くことができて…夢のよう、なんですよ…そんな、大袈裟とかではなくて。
以前の私は、一緒に歩けない身体でしたからでも、今は…んお身体に寄り添うこともできますし。
手も、繋げる事が出来ちゃいます。
…ふふ。
お顔、赤くなっていますよ?
…私も…そうですね。
おあいこです。
…ん、ふぅ…あそこにある木、とっても大きいですね…ん、はぁ。
少しだけ、あの木の下で休んでいきませんか?
あ…気遣っていただいて、ありがとうございますそれでは、ほんの少しだけ…ん…ふぅ自然の、濃い匂い………落ち着きますね……この場所、気に入っちゃいました…また、一緒に行きましょうね。
約束…ですよ?
ふふもしかして…眠くなってきましたか?
…今日は、いっぱい頑張って、いっぱい食べましたからねでも、ここで眠てしまうのは、ダメですよ。
風邪…引いてしまいます。
ん…ふぅそろそろ、帰りましょうかお休みになられるなら、、お布団で…。
その方が疲れが取れて、心地良く眠れますよ…さ、一緒に…ふぅ。
お布団の中って、あったかいですね…こんなにふかふかしていて、あったまれるものがあるなんて…毎日が、幸せです。
…大好きな人も、隣にいてくれますし。
ふふ……あぁ。
今日も、とっても楽しい一日でしたねいえ、ちゃんと特別なこと…ありましたよ貴方を見送って、出迎えて…シチューをパンに載せて、あーんってしちゃいましたそのあとは、一緒にお散歩して…。
大きな木の下で一休み…とっても楽しいことだらけで…私にとっては、この一日一日が特別なんです…いつもと同じようで、全然違う毎日に…ワクワク、しているんですよ明日は、もっと楽しくなるのかなって…。
大好きな貴方と、どんなことを話せるのかなって…色々考えながら、貴方の寝顔を眺めて…そうしていたら、あっという間に次の日になっているんですほんとは、ずぅっと貴方のことを、見つめていたいのに…きっと、今日も…すぐに終わっちゃいますね…一日が、もう少し長かったら良いのに。
そうしたら、もっと…貴方と… 一緒に。
…ん。
すみません、なんだか…寂しくなってしまいました隣に、いてくれるのに…もっと、くっ付きたいと、思って…ん…貴方の、温もり…愛おしく感じますん…好き。
大好き、です貴方のこと、お慕いしています…この先も、ずぅっと…私の心は、いつも貴方の側に…ん寄り添って…いますから…貴方も、私のこと、感じてくださいね…ふふ、どうしたんですか?
手のひらを、ぎゅって握って…大丈夫ですよ。
私は、ずっと側にいる、と………お別れのつもりで、あんなことを言ったわけではありませんよ?
明日起きても、ちゃんと側にいますからねもう…ふふ。
じゃあ、このまま…眠っている時も、この手を離さないでくださいね…貴方の優しい力で、私のこと、掴まえていてください私も、ぎゅぅって、握り返しますね…ん……すぅ……すぅ……ぁ……貴方の寝顔、見ていたかったのに…今日は…私の方が、先に……すぅ……すぅ……んぅ……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……あぁ……大好き、です……すぅ……すぅ……すぅ……このまま、ずっと…二人で……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……すぅ……ん…すぅ……すぅ……すぅ……