Track 8

追いかけっこ

オオカミさーんっ、ほら、こっちこっち~!ふふ、あははっ私のこと、捕まえられる? 油断してると、あの小川まで、ついちゃうわよー? ふふ、あははっこんなに走ったの、久しぶり!はぁ…っ、はぁ…っ、……んっはぁ…っ、あ…っえ…嘘? オオカミさん、こんなに速かったの? むー…………はぁ、残念あっという間に追いつかれちゃった……でも、安心するのは早いわ。 だって、まだ私は捕まってはいないのよ? 周りの木を使ったりして、このまま上手く逃げ切ることができたら、私の勝ちなんだから。 …負けるのは、私じゃなくて、オオカミさんの方かもね? あっ――ひゃっあぁ…捕まっちゃったもう…オオカミさん、ずるい最後の方で、あんなに本気出すんだからはぁ……って、ちょっと、オオカミさん!? ふふっ、くっ……あははっ、ちょっ、くすぐるの、禁止ぃ…んっ、ふふ…!あははっ、ダメ…ふふ、ほんとにこれ、ふふふ、あはっ、あははっもぉ…くすぐった――ふふ…っ、あはははっふふっあはは…っいくら負けたからって、こんなの…聞いてな――ふふッ、あはははっオオカミさ――ほんと、もう無理…無理だからぁ…ふふふ、あははっ私…脇腹っ、弱いからぁ…んっ、んんぅ…!っく、ふふふ……!あははっ、はぁ…っ、ああぁ……はぁ……はぁ、ぁ………オオカミ、さん…? ……その、顔…近い……んっ…ぁ、もう…はぁ疲れたし、休憩…しよっかあそこの草の上で、一緒に寝転ぶのほら、こっちよ…【ソフィア】…ふぅ。 疲れたけど、面白かったわねあんなに走ったり、お腹が痛くなるまで笑ったり…オオカミさんと出会う前までは、きっと考えもしなかったわ…その…私ね? 一緒に遊ぶようなお友達、オオカミさんしかいないの……同じくらいの子は、皆村にいて。 私は、森の中に住んでいるでしょ? …だから、その…でも、私にはおばあちゃんがいるから。 それに……今はオオカミさんもいる私の行くところに…いつも隣に…こうして、寄り添ってくれる……私、ちっとも寂しくないわおばあちゃんのお世話をするの、大好きだし村の子達と遊ぶのは…正直、憧れる気持ちは、あるけど私の側には、オオカミさんがいてくれるから……ふふもう…しっかり者なんて、そう言われるのは嬉しいけど…違うわだって、別に我慢してなんか…いないもの私は、いつも通り…普通に、過ごしているだけなの私ね……今、こうして過ごせる、オオカミさんとの一日一日が…………大好き。 …ふふ…ねえ、オオカミさん……こうして私の、どんなに小さな声にも、お返事してくれるような…そんな毎日が…続いてくれると、嬉しい。 ……私が、美味しい? って訊いたら、オオカミさんが美味しいってお料理をたくさん食べてくれたり…私が、楽しい? って訊いたら、オオカミさんが楽しいって喜んで大きなお口で笑ってくれる…そんな……毎日が………ずっと。 ……ずぅっと……