Track 2

私にも、お手伝いをさせて下さい

体を拭くの、ですか…? あっ……そうですよね……すみません。 何日も……逃げっぱなしだったから……体中、泥やホコリで汚れてしまって…。 こんな状態じゃ、勇者さまの家の中まで、汚してしまいますよね…。 違うんですか? …? まずは、体を綺麗にしないと……病気になる…。 あ…わ、わわ、私のことを、心配してくださっているのですかっ!す、すみません…そんな、心配をしてくれるなんて……思っても、いなかったもので…。 あ、……ありがとうございます…。 そ!そんな、わざわざ私の顔を拭いてくださるなんて!恩返しをしなければいけないのは、私なのに……。 勇者さまの手を煩わせてしまうなんて、とんでもない……です…。 う……体力が尽きて、倒れていたのは…確かに、その通りなのですが。 分かりました。 よ、よろしくお願いします……。 まずは顔から? ですね……。 ど、どうぞっ。 あっ……うっ……。 んっ……んぅっ……。 …ふぅ……すぅ……あぁ……あたたかい…。 …んぁ、耳も、ですか? お、お願いします。 んっ…あぅっ…うっ……んっ…。 ふふっ、そこは少し、くすぐったいかも……です……。 …うっ……んっ……ふぅ…。 ふぁ…? つ、次はしっぽ、ですか? わ、分かりました。 お願いします…。 んっ…あぁ、しっぽも……こんなに、汚れてたんですね…んっ。 ……そんなことにも、気付かないくらい……余裕なくなっちゃってた、みたいです……。 …んっ……ふぅ…。 ありがとう、ございます、勇者さま。 すごく、スッキリしました。 せ、背中も、ですかっ!い、いえ……その、…。 少し恥ずかしいというか、なんというか……。 い、いえっ!全然ダメではないです!そんな、勇者さまが親切で、やろうとしてくれてることを、断るなんて。 ぜ、是非、お願いします。 あっ……背中、ですよね? 拭きやすいように、私後ろ向きますね。 その……前を向いたままだと、さすがに恥ずかしい、ですし…。 …では、服を……ぬ、脱ぎますね…。 【ニィナ】こ、これで、いいでしょうか? …あの、どうか、されましたか…? …細くて……心配…ですか…? …そう、ですか……あっ……大丈夫です。 なんでもありません。 …そんな風に、気遣ってくれるなんて……思わなかった、ので…。 ……。 …ん……。 あっ…あとはっ!あとは、自分でできますからっ!あ……タオル、お借りしますっ…。 このタオルも……暖かいん、ですね…。 ど、どうされたんですか? ……あっ!す、すみません。 私のために、部屋を空けて頂けるのですね。 お気遣い、ありがとうございます……。 …拭き終わったら、隣の部屋に、行けばいいの、ですか? …あっ、はい……この服に、着替えてから、ですね……分かりました。 すぐに……お伺いしますね。 【ニィナ】おまたせ、しましたぁ…。 …あの、勇者さま、こんなきれいなお召し物……私が着てもよかったのでしょうか? あ……はい、大きさは問題ない感じです。 体もきれいになりましたし、服も…。 ふぇっ……? もっと可愛くなった……私が、ですか…? あぅ……そんな…ことは…ない、と…思いますが…。 うぅ…その、あの……すみません…。 さっき、あんなに美味しいパンを、いただいたのに……何で、鳴っちゃうかなぁ…。 …し、シチューですか? 勇者さまが、お作りに、なられる、と…。 わ、私のためにっ!いえっ!それは、そんな…そこまでしていただかなくても…。 そんな…いいからって……うぅ、すみません…。 せ、せめてっ!お手伝いをさせてくださいっ!お願いします!良いのですか? よかった…。 い、一生懸命、がんばりますねっ!【ニィナ】すごい、包丁さばき……あっという間に、お肉が一口大に…。 …あ、すみません。 見とれちゃってました……。 大丈夫です。 手は動かしてますっ!玉ねぎが焦げ付かないように、混ぜてますっ。 火を強くして、お肉を入れるんですねっ。 分かりましたっ!おぉ…。 すんすんっ。 美味しそうな匂い…。 ごくり…。 …あぁ、よだれが……。 す、すみません…。 焦げ付かないように、ですよねっ。 ……が、がんばりますっ!そろそろ、いい感じ、ですか? 分かりました。 …次は~。 あ、お水とお野菜を入れて、煮込むんですね。 …なるほど、ここで火を弱めて……香辛料を入れると……ふむふむ。 …あとは、鍋の底にくっつかないように、私が混ぜていれば、いいのですね? 分かりましたっ。 わぁ…具材がしんなりしてきましたよ? 上手に、できているのでしょうか…? すごくいい匂いが、ずっとしてます…。 あぁっ!す、すみませんっ…しっぽが勝手に動いてしまっていたみたいです。 本当に…美味しそう…です…。 ごくりっ…。 【ニィナ】ほ、本当に、食べてしまってもよいのでしょうか…? 確かに、二人で作ったものですけど…ええと……そう、ですね…。 勇者さまが……そこまで言うのなら…。 わ、分かりました…。 で、ではっ…いただき、ますっ。 はむっ…。 …もぐっ……ごくんっ…。 …うっ……うぅっ…。 …はぶっ、がぶっ……んっ……んくっ…。 うぅっ…うぇ……んんっ…。 …んっ……おい、しぃ……おいしいよぉ…。 こんな、美味しい、のにっ……ひぐっ…涙ぁ……止まらないよぉ……うぇぇ…。 ばくっ……んぐっ……ごくっ……んぅっ…うぅぅぅぅぅぅぅ。 うぅ……ぐすっ…。 …すごく、美味しかった、です。 勇者さま…。 ぐすっ…あのっ!改めて、お願いが、ありますっ…!ぐしっ……。 お家に、置いていただく代わりに、私に家の仕事をさせてくださいっ!勇者さまのお手伝いを、させてくださいっ!勇者さまのために、必ず、美味しい料理、作れるようになります。 いっぱい練習します!きっと、役に立てるようになってみせますからっ!はいっ!いろいろ教えてください!頑張りますっ!