Track 3

お疲れ様です。

勇者さま【ニィナ】え!……、もうこんな時間……。 お、おかえりなさいませ~~。 【ニィナ】はぁっ、はぁ……っ……。 お、おかえりなさいませ。 勇者さま……。 出迎えが遅れまして、申し訳ありません……。 あ、はい。 ありがとうございます。 留守中ですか? はい、特に何もありませんでした。 いつも通り? です。 私はお掃除や、お洗濯なんかをしていたくらいですし……。 見違えるほど、綺麗になっていますか? そ、そうでしょうか? これくらいしか、私は勇者さまのお役に立てませんし…。 それに、お世話になってるのですから、当然の役目、です。 でも、勇者さまが喜んでくれているのであれば、私は嬉しい、です。 えへへ。 …あっ!す、すみません。 立ち話をさせてしまいました。 気が利かなくて申し訳ありません。 ……勇者さまはギルドのお仕事でお疲れなのに…。 大丈夫、ですか……勇者さまは本当にお優しいのですね…。 さぁ、テーブルへどうぞ。 夕ご飯も準備しておきましたので、一緒に食べましょう。 頑張って作ってみたので、お、お口に合うといいのですが…。 【ニィナ】…お、お粗末さまでした。 ど、どうでしたか? 味見もたくさんしたので、そこまで酷くはないと思うのですが……。 …そ、そうですか。 良かった…。 前に勇者さまと一緒に作ったシチューを思い返しながら作ったのですが…まだまだですね。 勇者さまが作ってくださった料理の方がすごく美味しかったので、それに少しでも近づけるように頑張りますね。 あ、あと…そのですね……、私からご提案があるのですが、よろしいでしょうか? 勇者さまはギルドのお仕事で、お体がかなりお疲れになってると思います。 そこで、ですね……私に勇者さまのお体をマッサージさせていただけないでしょうか? 実は……家族と一緒に住んでいたとき、よくやっていたんです…勇者さまさえよろしければ…ど、どうでしょうか? やったっ…!。 では、あちらの部屋に移動しましょう。 床に寝て頂く訳にもいきませんし、ベッドに寝そべってもらっていいですか? 【ニィナ】はい、そうです、そんな感じで背中を向けていただいて、ですね…。 その体勢で大丈夫です。 ありがとうございます。 …やっぱり、勇者さまの背中って大きいですね。 では、その……上に乗らせていただきますね…。 重かったらすぐに言ってくださいっ。 【ニィナ】…だ、大丈夫でしょうか? 重くないですか? そ、そうですか……それなら、安心です。 では…、初めに肩から腰……腕周りまでやらせていただきますね。 わぁ……肩、すっごくこってるみたいですね…こんなに力を入れても、固くてびっくりしました。 んしょ…んっ……重いもの運んだりとか…姿勢が悪かったりすると…すぐに、こっちゃいますからねー。 ふぅ……んっ……っ…。 痛かったり、しませんか? 結構、ちから、入れてやってるん、ですけど……。 全然、平気? ですか? ……勇者さまはこのくらいではビクともしないんですね。 さすがです……。 ……ふぅ…。 だいぶ、ほぐれてきましたね。 どうですか? 勇者さま? あ、ありがとうございます。 勇者さまの、お体の疲れを取れているのなら……嬉しいです。 …勇者さま、私を助けてくださって、本当にありがとうございます。 勇者さまと出会っていなければ……私は、またあそこに連れ戻されているか…。 それとも……もっとひどい目にあっていたかもしれません。 感謝しても、しきれません……。 もっと、私は勇者さまの、役に、立ちたいです。 …十分、役に立っているんですか? あ、ありがとうございます……。 …あんまり褒められると、照れてしまいます…。 背中周りはこれで終わりです。 では体勢を変えます。 次は脚の方を揉みますので、反対を向きますね。 【ニィナ】ふぅ…では、次は下半身と脚ですね。 わっ…こっちもかなり筋肉が硬くなってますね…。 たくさんマッサージしないと…。 んっ……んしょっ……うっ…。 ふぅ…。 勇者さま、外でのお仕事でずっと歩き続けてる毎日なんですね。 …擦り傷や、切り傷の痕もたくさん……生傷が絶えない……大変なお仕事…。 ひとりの生活でも、こんなに大変なのに、私のような奴隷を助けてくれるなんて…。 本当に、すごいと思います。 感謝の気持ちしかありません。 いえ、もっと言わせてください。 勇者さまと一緒にいる期間は、まだ、少しだけですが、分かったんです。 本当に、心からお優しい方なんだなぁって…。 褒め過ぎ、ですか? ふふ、私の本心です。 ふっ……っ…。 わっ!…ど、どうされました? へ? くすぐったかったですか? …しっぽ? あぁ、ご、ごめんなさいっ…。 無意識に、しっぽが動いてしまってたみたいです…。 背中に当たっちゃってました。 少し、恥ずかしいです…。 …あっ、マッサージはこれで終わりです。 し、失礼します。 今どきますね。 お疲れ様でした。 勇者さまもお体を起こしてもらっても大丈夫ですよ。 【ニィナ】勇者さま、お疲れ様でした。 お体が、軽くなった感じがしますか? ふふ、それは良かったです。 このくらいの事で良ければ、お役に立てますので、いつでも言ってくださいね。 …ふっ、ぁぁ…。 …あ。 す、すみません。 そ、そうですよね。 遅い時間になってきましたし…そろそろ寝る準備もしないと、ですね…。 え? はい、ちゃんと寝れています……。 大丈夫、大丈夫です。 ご心配ありがとうございます。 …では、私はこの辺りで、失礼させていただきますね。 【ニィナ】今日は私のお願いを聞いてくれてありがとうございましたっ。 いえ、いつものお礼も兼ねて、ですから。 勇者さまが喜んでくださるのなら、頑張った甲斐がありました。 …はい、それでは、また明日、ですね。 ……おやすみなさい。