お疲れ様です。
勇者さま【ニィナ】え!……、もうこんな時間……。
お、おかえりなさいませ~~。
【ニィナ】はぁっ、はぁ……っ……。
お、おかえりなさいませ。
勇者さま……。
出迎えが遅れまして、申し訳ありません……。
あ、はい。
ありがとうございます。
留守中ですか?
はい、特に何もありませんでした。
いつも通り?
です。
私はお掃除や、お洗濯なんかをしていたくらいですし……。
見違えるほど、綺麗になっていますか?
そ、そうでしょうか?
これくらいしか、私は勇者さまのお役に立てませんし…。
それに、お世話になってるのですから、当然の役目、です。
でも、勇者さまが喜んでくれているのであれば、私は嬉しい、です。
えへへ。
…あっ!す、すみません。
立ち話をさせてしまいました。
気が利かなくて申し訳ありません。
……勇者さまはギルドのお仕事でお疲れなのに…。
大丈夫、ですか……勇者さまは本当にお優しいのですね…。
さぁ、テーブルへどうぞ。
夕ご飯も準備しておきましたので、一緒に食べましょう。
頑張って作ってみたので、お、お口に合うといいのですが…。
【ニィナ】…お、お粗末さまでした。
ど、どうでしたか?
味見もたくさんしたので、そこまで酷くはないと思うのですが……。
…そ、そうですか。
良かった…。
前に勇者さまと一緒に作ったシチューを思い返しながら作ったのですが…まだまだですね。
勇者さまが作ってくださった料理の方がすごく美味しかったので、それに少しでも近づけるように頑張りますね。
あ、あと…そのですね……、私からご提案があるのですが、よろしいでしょうか?
勇者さまはギルドのお仕事で、お体がかなりお疲れになってると思います。
そこで、ですね……私に勇者さまのお体をマッサージさせていただけないでしょうか?
実は……家族と一緒に住んでいたとき、よくやっていたんです…勇者さまさえよろしければ…ど、どうでしょうか?
やったっ…!。
では、あちらの部屋に移動しましょう。
床に寝て頂く訳にもいきませんし、ベッドに寝そべってもらっていいですか?
【ニィナ】はい、そうです、そんな感じで背中を向けていただいて、ですね…。
その体勢で大丈夫です。
ありがとうございます。
…やっぱり、勇者さまの背中って大きいですね。
では、その……上に乗らせていただきますね…。
重かったらすぐに言ってくださいっ。
【ニィナ】…だ、大丈夫でしょうか?
重くないですか?
そ、そうですか……それなら、安心です。
では…、初めに肩から腰……腕周りまでやらせていただきますね。
わぁ……肩、すっごくこってるみたいですね…こんなに力を入れても、固くてびっくりしました。
んしょ…んっ……重いもの運んだりとか…姿勢が悪かったりすると…すぐに、こっちゃいますからねー。
ふぅ……んっ……っ…。
痛かったり、しませんか?
結構、ちから、入れてやってるん、ですけど……。
全然、平気?
ですか?
……勇者さまはこのくらいではビクともしないんですね。
さすがです……。
……ふぅ…。
だいぶ、ほぐれてきましたね。
どうですか?
勇者さま?
あ、ありがとうございます。
勇者さまの、お体の疲れを取れているのなら……嬉しいです。
…勇者さま、私を助けてくださって、本当にありがとうございます。
勇者さまと出会っていなければ……私は、またあそこに連れ戻されているか…。
それとも……もっとひどい目にあっていたかもしれません。
感謝しても、しきれません……。
もっと、私は勇者さまの、役に、立ちたいです。
…十分、役に立っているんですか?
あ、ありがとうございます……。
…あんまり褒められると、照れてしまいます…。
背中周りはこれで終わりです。
では体勢を変えます。
次は脚の方を揉みますので、反対を向きますね。
【ニィナ】ふぅ…では、次は下半身と脚ですね。
わっ…こっちもかなり筋肉が硬くなってますね…。
たくさんマッサージしないと…。
んっ……んしょっ……うっ…。
ふぅ…。
勇者さま、外でのお仕事でずっと歩き続けてる毎日なんですね。
…擦り傷や、切り傷の痕もたくさん……生傷が絶えない……大変なお仕事…。
ひとりの生活でも、こんなに大変なのに、私のような奴隷を助けてくれるなんて…。
本当に、すごいと思います。
感謝の気持ちしかありません。
いえ、もっと言わせてください。
勇者さまと一緒にいる期間は、まだ、少しだけですが、分かったんです。
本当に、心からお優しい方なんだなぁって…。
褒め過ぎ、ですか?
ふふ、私の本心です。
ふっ……っ…。
わっ!…ど、どうされました?
へ?
くすぐったかったですか?
…しっぽ?
あぁ、ご、ごめんなさいっ…。
無意識に、しっぽが動いてしまってたみたいです…。
背中に当たっちゃってました。
少し、恥ずかしいです…。
…あっ、マッサージはこれで終わりです。
し、失礼します。
今どきますね。
お疲れ様でした。
勇者さまもお体を起こしてもらっても大丈夫ですよ。
【ニィナ】勇者さま、お疲れ様でした。
お体が、軽くなった感じがしますか?
ふふ、それは良かったです。
このくらいの事で良ければ、お役に立てますので、いつでも言ってくださいね。
…ふっ、ぁぁ…。
…あ。
す、すみません。
そ、そうですよね。
遅い時間になってきましたし…そろそろ寝る準備もしないと、ですね…。
え?
はい、ちゃんと寝れています……。
大丈夫、大丈夫です。
ご心配ありがとうございます。
…では、私はこの辺りで、失礼させていただきますね。
【ニィナ】今日は私のお願いを聞いてくれてありがとうございましたっ。
いえ、いつものお礼も兼ねて、ですから。
勇者さまが喜んでくださるのなら、頑張った甲斐がありました。
…はい、それでは、また明日、ですね。
……おやすみなさい。