マスター、リラックス出来てますか?
【ニィナ】ふぅ……ようやく引っ越し作業も終わりな感じですね。
前の家と比べると、少し狭くなっちゃいましたけど……これはこれで住みやすいと思います。
い、いえっ!そんな謝らないでくださいマスター。
元はと言えば私のせいなんですから。
それに……。
私は今でも十分すぎるほど、幸せなんです。
…私は、マスターと一緒に居れば、場所なんてどこでも……えへへへ。
前の家も素敵でしたけど、ここもこれから素敵になっていくんです。
私はそう、思ってますよ?
ふふふ。
あ、そういえば…冒険者ギルドでのお仕事は……どうですか?
登録?
とかいろいろ事務作業が必要って言ってましたけど…。
なるほど……本格的には明日から、って感じなんですね。
引っ越したばかりで今日までバタバタしてましたからねー。
マスターも頑張って動いてましたし……疲れが溜まっているのではないですか?
ふふふ、やっぱり。
お疲れ様です。
大活躍でしたからねー。
あっ……そうだ、それでしたら……前みたいにマッサージしましょうか?
あ、でも……あれの方が、いいかも。
えへへ、マスター?
ひとつしてみたいことがあります。
マッサージもいいんですけど、ちょっと変わったことをしようと思いまして…。
マスターは耳かき、ってしたことありますか?
そうなんですか。
では、少しご説明させて頂きますね。
私たち獣人の耳というのは生活していく上で、すっごく大切な器官なんです。
ですから、耳のお手入れとして、穴の中をお掃除することも多いんですよ。
人間の間では地域的にやったり、やらなかったりするところもあるらしいですね。
それで、ですねー……。
この耳かきというのが、すーっごく気持ちいいんです。
サッパリもしますし、癒しの効果もあるということで……。
マスターも一度、体験してみませんか?
やったっ……。
こほんっ……。
実はですねー。
私、近所の人にもよくしてあげていたので評判良かったんですよ。
ふふふ。
期待しててくださいねっ。
では、どこか寝転がれるところ……そうですね。
ベッドに行きましょうか。
【ニィナ】そうですそうです、こんな感じで大丈夫。
ばっちりです。
膝枕をした方が、耳の中がよく見えるのでやりやすくなるんですよー。
寝辛かったりしませんか?
硬かったりとか、しませんかね?
あっ……私の太もも、柔らかいんですね。
褒めてくれて、ありがとうございます。
……少し照れ臭いかもしれませんね…。
ふふふ、でも大丈夫です。
私がマスターのお耳の中、ちゃんと綺麗にしますから。
最初は少し慣れないかもしれません。
動くと耳の中を傷つけちゃうと危ないので、リラックスしてくださいね。
リラックスですよ?
リラックス、ふふふ。
…どうでしょう?
痛かったり、してませんか?
大丈夫そうですね……よかった。
ふーっ…。
きもち、いいですか?
…少し、お体が、ビクビクって、しちゃってますね…。
ふーっ…。
ふふっ、やっぱりくすぐったいですか?
…気持ちよくできているのなら、よかったです。
あんまり役に立たない特技でしたけど…こうして、マスターに気持ちいいって言ってもらえるなら…ふふふっ。
もうちょっとで終わりますので…。
…よしっ、では仕上げ、しますね。
私のしっぽのふわふわのところを使って、細かい耳垢を払っていきますね。
少しくすぐったいと思いますが、我慢してくださいねー。
ふわふわしてて、きもちいいですか?
えへへ、自慢の毛並み、ですよー。
(これで、こっちは終わりです。
次は、反対側ですね。
右耳が見えるように体勢を変えてもらっても、いいですか?
【ニィナ】あっ……こっち向いちゃうんですね…。
お腹をあまりじぃっと見られると、私も少し、恥ずかしいかも……ですが…。
だ、大丈夫です。
このままで……大丈夫、ですから。
…右のお耳も、お掃除…しますね?
…ふーっ。
んぅ……ふふふっ、マスター?
太もも、ちょっとくすぐったいです。
危ないので、じっとしていてくださいね?
…マスターが傷ついちゃうの、嫌なので……マスターのお顔を見ていると、すっごく気持ちよさそうにしてくれてるのが、嬉しいです。
もう少しで、終わりますからねー。
ふーっ……え?
膝枕の感触を、もっと……ですか?
うぅ……恥ずかしいですけど、それはお耳のお掃除が終わってからなら、いいですよ…。
…マスターが、満足するまで、す、スリスリ…してください…。
じゃあ、こっちもしっぽで仕上げ、ですね。
ふふ、すごく気持ちよさそうなお顔してますね。
耳かき、気に入ってもらえたみたいで、よかったです。
(仕上げは……。
ふーーっ……。
……どうでしたか?
満足して、もらえました?
ちゃんと癒し効果も体験してもらえましたか?
えへへ、すっごく眠そうなお顔してますよ?
リラックスできたみたいで、よかったです。
お耳のお掃除、終わりましたよ……?
す、スリスリ……しますか?
【ニィナ】わっ……。
ど、どうしたんですか?
いきなり抱き着いてきたりして……。
なるほど……この体勢がマスターのお好みなんですね……。
いいですよ……ま、マスターのお願いなら、私は喜んで、お受けします。
…こんなに膝枕を気に入っていただけるなんて……。
ふふふっ。
このまま寝ちゃっても、大丈夫ですからね。
……ここ数日は、忙しかったですからねぇ……。
新しい街に来て、引っ越し作業以外にも、走り回ってましたから……。
マスター。
本当に、ありがとうございます……。
こんなにやさしくて温かい日々があるなんて、マスターに会う前の私は、想像すらできてませんでした。
……あれ……?
寝ちゃいましたか?
マスター……大好き、大好きですよ……。
ふふふ、良い夢を見ててくれるといいなぁ……。