お姉ちゃんの正体
こちら絹。ただいまより特別ミッションを開始する
ターゲットはこの家の浴場で湯浴みをしている模様。
そうだ大佐。日本では同じ家に住まう者同士が
偶然を装って相手の裸を凝視するという尊い文化があるのだ!
さらにお風呂でばったりすると高確率でカップルになれる!
本当だぞっ!
はっ!ターゲットが動いた!
私も行動を開始する。
うぉおおおおお!!風呂ぉおお、風呂だぁあああ!!
すたすたすたすた!
とやぁああ!!かちゃん!
おっしゃーふろぉーー!!
おやおやおや!奇遇ですねお姉…ちゃん?
って!ちょっとぉおお!
これはどういうことですかぁああ!
なぁんで当たり前のように服着てやがるんですかぁぁぁ!
あぁん?浴室の中でいつも着替えてくるぅ?
何のための脱衣所だっつぅのっ!!!!
ちったぁまじめにやれってんですよぉおお!
あ、あれ…もしかして、ものぉっそい、怒ってらっしゃる?
あはぁ、あははははは。さぁ~て絹は、晩御飯の支度せねば…
拙者、これにて、ご免っ! ----------- ------------------------------------------------- げぷ~。食べた食べた。
はぁ~あ。
結局お姉ちゃんの裸は覗けず仕舞い。
あれから何やら気まずい感じになってしまいましたよぉ。
なぁ~んであんなに裸を見せやがろうとしないんですかね。
ね?お姉ちゃん?
どして~?絹見たいなぁ~。
お姉ちゃんの裸ー、見たいなぁ~。
いやいやだから詫びに来たんですよ。
可愛い妹の出来心でしたことじゃないですかぁ。
許してくださいよぉ。
えへ~お姉ちゃん、好き好きぎゅ~~。
お尻さわさわー。んふふ。
今晩は仲直りのしるしにここで寝ます~。
うわぁ// なんで出ていこうとするんですかぁ。。
いちゃいちゃしましょうよぉ。
絹はお姉ちゃんとにゃんにゃんしたいんですよぉ!
わかりました。
大人しくしてますからぁ!
今晩はいっしょに絹と寝てくださいよぉ。
え、まじでいいのっ?
ありがとうございますぅ!
我が姉ながらちょれぇのお。ふひひ…(小声)んふんふ。じゃ、おとなりおいでください。
こーこ。絹のとなり。ほら。
えへへ。お姉ちゃん。
はふはふ、んん~。
だっこー。だっこー。
えへへ。ぬくぬくです。はぁはぁ…。
はぁ、はぁ、す~。す~。
んふふ。温かい。お姉ちゃん…好きです。
お姉ちゃんは絹のこと好き?
んふふ。ありがとうございます。
嬉しいですよ。
お礼に頭よしよししてあげます。
よしよし…よしよし…
ふふ…いーじゃありませんか、こういうのもたまには。
ね。お姉ちゃん…
せっかくですから。
絹のとりとめのないお話聞いてくれますか?
あのですね…
この国じゃあっちをむいても、そっちをむいても、
自分と同じ女の子しかいませんよね…。
お友達も、親戚も、学校の先生も、お店の人も…
みんなみんな女。
だから私たちは恋をしない。
しないことになっている…。
そんな感情は認められていません。
男が全然生まれないこの国では
天子様の子を産んで、国の維持・繁栄を願うのが当たり前。
皆それを疑わず、天子様の子をお腹に宿すことに執心している。生き物として、それは至極全うで理に適っています。
だから私たちは自分の父親の顔すら知りません。
天子様とお会いするのは、まぐわる一瞬のみですから。
そして仮面をつけたまま夜の営みが行われる…
自分の親の顔どころか子を
宿す大切な相手の顔すら知らぬまま一生を過ごすのです。
そんな滑稽なことがあるものでしょうか?
絹は知っています。
人と人。つまり女の子同士が隠れてまぐわっていること。
それがばれたところで罪には問われませんが
生きる価値がないものと烙印を押されてしまいます。
この国では子供を産んだ人が優遇されていい仕事、家を与えられます。
反対に子供を産まない、産めないろくな仕事も与えられず、蔑まれ生きていく。
でも、人として果たしてどちらが真っ当なんでしょうね…
日本て国では男の子も女の子も半々いるらしいです。
女の子は皆、男の子を好きになって
恋をして、愛し合って子供を産むらしいです。
おとぎ話ですが、素敵ですよね。
お姉ちゃん…。お姉ちゃんは
誰かを好きになったり、考えたり、苦しくなったり…
そういうことはないですか?
絹は…お姉ちゃんが色事に興味がないとは思えないのです。
そばにいてそう感じるのです…
優しくて温もりのある…絹と同じ…同じ目をしている。
こうしてそばにいると、ドキドキして…
だから、本当は絹のことを。と…思ってしまうのです。
はぁ、はぁ…//
ねぇ、お姉ちゃん//もしお身体を慰めになられるなら、
絹にお手伝いをさせいただけませんか?
隠れてなら…大丈夫です。絶対誰にも言いません。
お母さんにも内緒です。
お墓に入るまで二人の秘密にしませんか// ?
お姉ちゃんの身体、
絹に触れさせてはいただけませんか// ?
え、お姉ちゃんからも私にお話がある?
なんですか//
はい…お母さんに聞いてます。
私もお姉ちゃんも、拾い子だって。
だからほんとの姉妹ではないことも…知っています。
なんですか?
こちらを振り向いても…
はい。もちろん。こっちを見てください…
ん、はぁ、はぁ。お姉ちゃん/
ぁっ//
あのお姉ちゃん//
私の鼠径部に何かあたってますよ…//
随分気が早いです//
は、はい、握って差し上げます。
ん、ん、あれ。指ですか?随分と太いような…柔らかいような。
このまま布団をどけろと?
ええ、いいですよ。
お姉ちゃんの身体、絹にじっくりと見せてくださいせーの。
ん、んっ。
え?生えてる?
な、な、なんじゃこりゃぁああああああ!!! ---------------------------------- すーーー。ふぅ。
すいません、騒いでしまって。あまりにも衝撃的過ぎて。
それは…男のアレ的なアレですよね。
ええ、一応存じてます。
本で読んだ程度で実物は初めてですけど…。
でも、なんでっ!
…普通は助産院から国に引き取られるはずじゃ。
って聞いても、お姉ちゃんにはわからないですよね。
そっか。
だからお母さんはお姉ちゃんを引き取って、
女の子として育てたんですね。
あんな頑なにお風呂を拒んでいた理由も…。
なんだか、思っていた男の人のイメージと全然違いますね。
アレがついてる以外、ほとんど女性と変わらないし…
むしろ私よりもお綺麗ですよね…?
やっぱり『天子』ってだけあって
神様に選ばれた人なんですかね。ひゃ。お姉ちゃん//
ごめんなさい、そんな特別視したつもりはなかったのですが//
はい// 気をつけます//
そうなるとお姉ちゃん…って呼ぶのは
なんか違和感がありますね。
でも、この国には男のお姉ちゃんの呼び方ってないし…。
え、なんです?
というわけだから、ごめんねって。
あれ、どこへ行くんですか?
待って!!
はぁ、はぁ//
お思いですか?
…お姉ちゃんの正体を知って、絹が引くとお思いですか?