Track 5

お姉ちゃんの正体

こちら絹。ただいまより特別ミッションを開始する ターゲットはこの家の浴場で湯浴みをしている模様。 そうだ大佐。日本では同じ家に住まう者同士が 偶然を装って相手の裸を凝視するという尊い文化があるのだ! さらにお風呂でばったりすると高確率でカップルになれる! 本当だぞっ! はっ!ターゲットが動いた! 私も行動を開始する。 うぉおおおおお!!風呂ぉおお、風呂だぁあああ!! すたすたすたすた! とやぁああ!!かちゃん! おっしゃーふろぉーー!! おやおやおや!奇遇ですねお姉…ちゃん? って!ちょっとぉおお! これはどういうことですかぁああ! なぁんで当たり前のように服着てやがるんですかぁぁぁ! あぁん?浴室の中でいつも着替えてくるぅ? 何のための脱衣所だっつぅのっ!!!! ちったぁまじめにやれってんですよぉおお! あ、あれ…もしかして、ものぉっそい、怒ってらっしゃる? あはぁ、あははははは。さぁ~て絹は、晩御飯の支度せねば… 拙者、これにて、ご免っ! ----------- ------------------------------------------------- げぷ~。食べた食べた。 はぁ~あ。 結局お姉ちゃんの裸は覗けず仕舞い。 あれから何やら気まずい感じになってしまいましたよぉ。 なぁ~んであんなに裸を見せやがろうとしないんですかね。 ね?お姉ちゃん? どして~?絹見たいなぁ~。 お姉ちゃんの裸ー、見たいなぁ~。 いやいやだから詫びに来たんですよ。 可愛い妹の出来心でしたことじゃないですかぁ。 許してくださいよぉ。 えへ~お姉ちゃん、好き好きぎゅ~~。 お尻さわさわー。んふふ。 今晩は仲直りのしるしにここで寝ます~。 うわぁ// なんで出ていこうとするんですかぁ。。 いちゃいちゃしましょうよぉ。 絹はお姉ちゃんとにゃんにゃんしたいんですよぉ! わかりました。 大人しくしてますからぁ! 今晩はいっしょに絹と寝てくださいよぉ。 え、まじでいいのっ? ありがとうございますぅ! 我が姉ながらちょれぇのお。ふひひ…(小声)んふんふ。じゃ、おとなりおいでください。 こーこ。絹のとなり。ほら。 えへへ。お姉ちゃん。 はふはふ、んん~。 だっこー。だっこー。 えへへ。ぬくぬくです。はぁはぁ…。 はぁ、はぁ、す~。す~。 んふふ。温かい。お姉ちゃん…好きです。 お姉ちゃんは絹のこと好き? んふふ。ありがとうございます。 嬉しいですよ。 お礼に頭よしよししてあげます。 よしよし…よしよし… ふふ…いーじゃありませんか、こういうのもたまには。 ね。お姉ちゃん… せっかくですから。 絹のとりとめのないお話聞いてくれますか? あのですね… この国じゃあっちをむいても、そっちをむいても、 自分と同じ女の子しかいませんよね…。 お友達も、親戚も、学校の先生も、お店の人も… みんなみんな女。 だから私たちは恋をしない。 しないことになっている…。 そんな感情は認められていません。 男が全然生まれないこの国では 天子様の子を産んで、国の維持・繁栄を願うのが当たり前。 皆それを疑わず、天子様の子をお腹に宿すことに執心している。生き物として、それは至極全うで理に適っています。 だから私たちは自分の父親の顔すら知りません。 天子様とお会いするのは、まぐわる一瞬のみですから。 そして仮面をつけたまま夜の営みが行われる… 自分の親の顔どころか子を 宿す大切な相手の顔すら知らぬまま一生を過ごすのです。 そんな滑稽なことがあるものでしょうか? 絹は知っています。 人と人。つまり女の子同士が隠れてまぐわっていること。 それがばれたところで罪には問われませんが 生きる価値がないものと烙印を押されてしまいます。 この国では子供を産んだ人が優遇されていい仕事、家を与えられます。 反対に子供を産まない、産めないろくな仕事も与えられず、蔑まれ生きていく。 でも、人として果たしてどちらが真っ当なんでしょうね… 日本て国では男の子も女の子も半々いるらしいです。 女の子は皆、男の子を好きになって 恋をして、愛し合って子供を産むらしいです。 おとぎ話ですが、素敵ですよね。 お姉ちゃん…。お姉ちゃんは 誰かを好きになったり、考えたり、苦しくなったり… そういうことはないですか? 絹は…お姉ちゃんが色事に興味がないとは思えないのです。 そばにいてそう感じるのです… 優しくて温もりのある…絹と同じ…同じ目をしている。 こうしてそばにいると、ドキドキして… だから、本当は絹のことを。と…思ってしまうのです。 はぁ、はぁ…// ねぇ、お姉ちゃん//もしお身体を慰めになられるなら、 絹にお手伝いをさせいただけませんか? 隠れてなら…大丈夫です。絶対誰にも言いません。 お母さんにも内緒です。 お墓に入るまで二人の秘密にしませんか// ? お姉ちゃんの身体、 絹に触れさせてはいただけませんか// ? え、お姉ちゃんからも私にお話がある? なんですか// はい…お母さんに聞いてます。 私もお姉ちゃんも、拾い子だって。 だからほんとの姉妹ではないことも…知っています。 なんですか? こちらを振り向いても… はい。もちろん。こっちを見てください… ん、はぁ、はぁ。お姉ちゃん/ ぁっ// あのお姉ちゃん// 私の鼠径部に何かあたってますよ…// 随分気が早いです// は、はい、握って差し上げます。 ん、ん、あれ。指ですか?随分と太いような…柔らかいような。 このまま布団をどけろと? ええ、いいですよ。 お姉ちゃんの身体、絹にじっくりと見せてくださいせーの。 ん、んっ。 え?生えてる? な、な、なんじゃこりゃぁああああああ!!! ---------------------------------- すーーー。ふぅ。 すいません、騒いでしまって。あまりにも衝撃的過ぎて。 それは…男のアレ的なアレですよね。 ええ、一応存じてます。 本で読んだ程度で実物は初めてですけど…。 でも、なんでっ! …普通は助産院から国に引き取られるはずじゃ。 って聞いても、お姉ちゃんにはわからないですよね。 そっか。 だからお母さんはお姉ちゃんを引き取って、 女の子として育てたんですね。 あんな頑なにお風呂を拒んでいた理由も…。 なんだか、思っていた男の人のイメージと全然違いますね。 アレがついてる以外、ほとんど女性と変わらないし… むしろ私よりもお綺麗ですよね…? やっぱり『天子』ってだけあって 神様に選ばれた人なんですかね。ひゃ。お姉ちゃん// ごめんなさい、そんな特別視したつもりはなかったのですが// はい// 気をつけます// そうなるとお姉ちゃん…って呼ぶのは なんか違和感がありますね。 でも、この国には男のお姉ちゃんの呼び方ってないし…。 え、なんです? というわけだから、ごめんねって。 あれ、どこへ行くんですか? 待って!! はぁ、はぁ// お思いですか? …お姉ちゃんの正体を知って、絹が引くとお思いですか?