Track 3

あなたの隣であまあま添い寝ボイス

 ふふふ……。ごめんね、変なわがまま、聞いてもらっちゃって。  でも……なんだか懐かしいや、この感じ。  昔は本当に、よくこうやっていっしょに寝たよね。毎日、毎日……私がお兄ちゃんのとこ行ったり……お兄ちゃんが私のとこ、来たりしてさ。  遊び疲れて、そのままだったり……宿題終わって、頭使って眠くなったって言って、お布団潜ったり……。  あと、私が落ち込んだりしたときも、添い寝してくれたりしたよね。あ、逆もあったかな?  お兄ちゃんが誰かとケンカして……負けて帰ってきたんだったかな? その時お兄ちゃん、一日機嫌悪そうだったんだけど……夜になって急に、私のベッド、潜り込んできて……。  覚えてないって? ふぅん、そっか。私はよぉく覚えてるけどなぁ。ふふふ……。  ふぅ……。うん……。そう、そうだ……。この感じ……。この、あったかくて、ぽかぽかしてて……隣にお兄ちゃんがいると、安心する感じ……。これだ……。  ずっと……こうしたかった……。お兄ちゃんがいなくなって……さびしくて……。  別に、一人で寝るのが怖いとか、そういうわけじゃないのに……。訳もなく、眠れなくなったりして……。  ふふふ……。ありがとう、お兄ちゃん。  ね、お兄ちゃん。もっとそっち……近付いてもいい?  ん。ありがとう。じゃあ、ん、しょ……。ふふ……。  ……ねえ、お兄ちゃん。実は私も、悩んでることがあってね。  進路のことなんだけど……えっと……早い話、お兄ちゃんといっしょのところはどうかな、って思ってて。  あ、別に、いっしょにいたいとか、離れたくないとか、そういうのじゃなくって……ああいや、それも、少しはあるんだけど……。  お兄ちゃんが今いるところ、調べてみたら……ちょうど、私が興味あることもやってるみたいで……それで、お兄ちゃんに聞いてみたくって。  実は一応、ここに来たのはそれが本題。ふふ、耳かきとか、添い寝とか、関係ないことばっかりしてたけど。  お兄ちゃんにもすぐにはわからないと思うから、私がいる間に、調べてほしくって。大丈夫……かな?  ……平気なの? ふふ、ありがとう、お兄ちゃん。やっぱり頼りになるなぁ。ふふふ。  さすがだよね。なんだかんだ、年上の人って頼りがいあるよね。  まあ、一部分、放っておけないなぁってところはあるけど……ま、それはそれ、これはこれ、だよね。  ……人間、そういうものだよね、たぶん。  だからさ、お兄ちゃん。もしも、さっき言ったこと以外にも、何か悩んでることとかあったら、いつでも言ってね。  人は一人じゃ生きていけないものなんだって、何かで聞いたこと、あるし……。  昔みたいに協力していこうよ。なんでも。  難しさは、宿題どころじゃないないんだろうけど……でも、私たちだって大きくなったんだから。きっと大丈夫。  そうだよね、お兄ちゃん。ふふふ……。  ん……。ちょっと、喋り過ぎちゃったかな……。なんだか、本当に眠くなってきちゃった……。  ふふ……。実は……昨日から、緊張してあんまり眠れなかったんだよね……。  久しぶりにお兄ちゃんと会うんだって思ったら……。ふふふ……。  でも……お兄ちゃんは、お兄ちゃんだった。なんて、当たり前だけど。こんなんなら、緊張なんてする必要、全然なかったね。ふふふ。  ね、お兄ちゃん……。このまま、本当に眠っちゃおうか。時間、大丈夫?  ……ん、そっか……。それなら、いい……よね? このまま、寝ちゃっても……。  久しぶりに……お兄ちゃんといっしょに、眠りたいな……。ふふふ……。  ん……。お兄ちゃん……。手、繋ご。前も、よくしてたよね。ほら、こうやって……ぎゅ、って。  ふふ……。お兄ちゃんの手、おっきいなぁ……。それに、あったかい……。  はぁ……。ぽかぽかする……。手も……身体も……。それに、心も……。  う、ん……。あ、ダメだ……。本当に、眠い……。  それじゃあ……おやすみなさい。起きたら、また……いろんなお話、しようね。ふふふ……。  ん、ふぅ……。 お兄ちゃん……。好き……。