Track 2

2-1.『“ぎゅー”して癒して差し上げます♪』

おかえりなさいませ。ご主人様。  おカバン、ください。お持ちいたします。  今日も一日、お疲れ様でございました。  ふふ。  夕飯はすでにできております。  すぐお召し上がりになりますか?  分かりました。では、代わりにお茶を入れて参りますね。しばらくお待ちください。  お待たせいたしました。  お隣、失礼いたします。  はい? 学校、でございますか。  ええ。もちろん、通っておりますよ。  学校が終わってから、ご主人様のお家へ帰ってきただけです。先生にも、一時的に帰る家が変わることになるのは、すでにお話しています。  ……なるほど。ご心配されていたのですね。  ですが、ご安心ください。わたくし、学校へは毎日楽しく通っております。  当然ながら、前世がどうこうのお話は、学校ではしておりませんし……  ……それに。自分から待っていては、よき友などできないことは、ご主人様が以前教えてくださいました。  同年代の子と、お話が合わないことはございますが……それでも、仲の良いお友達は複数おります。  ご主人様の隣に立つ従者たるもの、社会生活を完璧にこなさなければなりません。ふふ。  …………。  ……ご主人様?  失礼いたします。お顔をよく見せてくださいまし。  …………。  お疲れのご様子ですね。  大丈夫でしょうか?  いえ。我慢なさらないでください。少し、お顔に深く疲れが出ているように見えます。  わたくしとおしゃべりしていただくために、気を遣わせてしまったのですね。大変申し訳ございません……。  いえ、いえ、いいえ! ご主人様が謝るなど! とんでもないことです。  ご主人様の不調は、従者が率先して気づかなければならないものです。  ……であれば。  ご飯よりも、お風呂よりもまず……  わたくしの胸元に、おいでくださいまし。  はい。このまま。どうぞ。  ……なにを、ためらっていらっしゃるのですか?  お恥ずかしいのでしょうか。  ……ああ。思い出しました。  そうですね。ご主人様は、わたくしを大切に思ってくださるがゆえ……  こういうとき、遠慮してしまうのでした。  であれば。  強引ではございますが……  失礼いたします。  ぎゅ~~~……。  よーし。よーし。よし、よし、よし。  ぽん、ぽん、ぽん。  ご主人様。一日、よーく頑張りました。  えらいですよ。えらい、えらい。  ご主人様は、一生懸命頑張っていらして、とってもえらいのです。  えらい、えらい。  ですから……  わたくしにだけは、どうか、弱いところを見せてください。  必要であれば、いつでもご主人様のもとへ馳せ参じます。  たとえ、授業中であろうとも。  ふふ。ご主人様は、恥ずかしく思われるかもしれませんが……  この、“ぎゅー”は、体力回復にとても有効なことでございます。  お互いの、人肌の柔らかさと温かさを感じながら、耳元で話し合う……。  これ以上ないほどの癒しが生まれると、どこかの研究で読んだ気がいたします。  ただ……その。  わたくし、胸は、あまり大きくございませんので……  もし、そこの抱き心地にご期待されたのであれば、申し訳ございません。  将来的に、もう少し、大きくなる予定です……。  毎日、牛乳を飲み、サイズアップに励んでおります。  その分、肌はぷにぷにもちもちで、感触はとてもよいかと思います。  どうぞ、わたくしを抱き枕のようにして、柔らかさをご堪能くださいませ。  よーし。よーし。  なで、なで、ぽん、ぽん。  ふふ。やはり……会ったばかりの従妹に甘えるのを、恥ずかしく思われておりますか?  ですが……大人だからといって、年下に甘えてはいけない、などという法律などございませんでしょう。  好きなだけ縋り付いてくださって構わないのです。  それに……わたくしも。  ご主人様と、“ぎゅー”をするのは……  大好きでございます♪  温かくて、安心できて、落ち着きますから……♪  ここでは、わたくし以外に、誰も見ておりません。  どうか、心の底から、わたくしに甘えてくださいまし♪  ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ~~……♪  よーし、よーし♪  よし、よし、よし。  なで、なで。  ぽん、ぽん♪  よーく頑張りましたね。  えらいですよ。えらい、えらい。  いいこ、いいこ。  ご主人様は……  とってもいいこです♪  ふふ……♪