Track 3

「出深市ツルセンター」(ツルセンター環境音。ツルの鳴き声)

;//////// ;Track3 出深市ツルセンター ;//////// ;3/右 (マイクと同じ視線) 【紅】「ふわ…………」 ;環境音 出水市ツル観察センター 【紅】「(ツルの鳴き声たちに聞き惚れる呼吸、1分ほど)」 【紅】「……すごいね、すごい。ツル、こんなにたくさん集まるんだ。 たくさん……ほんとにちょーたくさん! これ、何羽くらいいるんだろ……(呼吸音)(呼吸音)――」 ;3/右(マイク向き) 【紅】「ってか、不思議。 なんでこんなに集まってるの? ただの田んぼのど真ん中、って感じのとこなのに――」 【紅】「出深になにかこう、ツルを引き寄せるような―― あ! 餌が豊富とか、環境が越冬にぴったりだとか、そんな感じのポイントあったりするのかなぁ」 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)…… へええ、水がたまってる湿地帯がねぐらになるから、たぬきとかイタチに襲われにくいんだ」 ;3/右 ‘1万”から マイクと同じ視線に 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)――ふんふん。なるほどねー。 その上で餌もあげてるから、ツルたちの飛来数がどんどん増えて―― って!!? 1万!!? 1万羽以上が飛んでくるの!? 一冬で――ふぁ――」 【紅】「そりゃあ……(ツルの鳴き声聞く呼吸。30秒ほど)―― いや、でもそれだってこんなに集まるのすごいよねー――え」 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ほえー……海外にも大きな飛来地があったけど、そこでで軍事演習するようになってから、一気にこっちに流れてきて、それで本格的に――」 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)――あー、保護したらますます来るようになって――って感じになったんだ。 確かにこれ、観光資源になるもんね。ツルがこれだけ集まってるの……景色がもう、単純にすごいし」 【紅】「……(呼吸音)(呼吸音)――鳴き声もすっごいけど、これ、会話とかしてるのかな? 『いろいろいったけどここがやっぱり大安定だわ。ねぐらも餌もしっかりしてるし』 『だよねー。じゃ、来年もここで越冬、予約いれちゃお!』 みたいな感じで」 ;3/右 ‘っていうか”からマイク向き 【紅】「クチコミ――っていうかクチバシコミか、ツルだけに。あははっ! っていうか、相棒――予習とかしたの、ツルのこと。 そんなにめちゃくちゃ詳しいのっってさ、なんか秘密あるでしょ」 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あーあーあー! パンフレット! 施設の! そっかそっか、そういうのって情報みっちり書いてあるんだ。へーえ。さすが相棒」 【紅】「説明書とかパンフって、いっつもは読まないでガンガンいっちゃうんだけどさ、ぼく。 これって取材でもあるんだし、確かに読んどいた方がいいね、うん」 【紅】「ってことでそのパンフ見せて。ってか、そこ一緒にすわろ」 ;SE ベンチにふたりこしかける ;環境音 Vol ↓ ;3/右(一冊のパンフをふたりで仲良く見る距離感) 【紅】「どれどれ」 ;SE ペラ音 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……へぇえ。 ツルって、家族単位で行動するんだって。ほんとかな」 ;SE 紅立ち上がる 足音 ;3/右→;10/右前遠(マイクに背中向き) 【紅】「2羽から4羽で行動してるのが多いって……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――」 ;10/右前遠 (マイクの方振り返って) 【紅】「多すぎてわかんない!!!! 相棒! ちょっと来て! 一緒に探して!!!」 ;リスナーの移動で相対距離が縮まるので ;10/右前遠→;3/右 (マイクと同じ視線) 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)。 ね、探して。2~4羽で一緒に行動してるツルのグループ。 それって、家族なんだって」 ;環境音 Vol↑ 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――いたの!? どれ!? 体が黒くて首から上が白くて目のとこが赤い――あ! あれか!! ほんとだ、4羽でグループになってる――あっ!」 ;SE 鶴の飛ぶ羽音(いらない?) 【紅】「(見惚れる呼吸音。30秒ほど) グループで……家族で飛んでった。 わ……すごい。仲いい……っていうか――」 【紅】「(きょろきょろと左右見回しながら呼吸)―― うん。いったん見方がわかると、だね。 鶴、グループ組んでるのばっかりだ。 あっちは全体が灰色のがペアになってるし―― あそこのはハネの先だけ黒いのが、三羽セット。多分お父さんとお母さんとこどもだよね――あ!」 【紅】「あれあれ! 頭の上だけ真っ赤なの! 単独行動してる、 独り身なのかな――パートナー探してるみたいな感じなのかも」 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― あははっ! 相棒にはぼくっていうパートナーがいるじゃない。あのツルとは全然違うよ。 あ、けど――」 ;3/右 (マイク向き) ;↓ シリアスにならず、あっけらかんとお願いします。 【紅】「人間とレイルロオドだもんね。相棒とぼく。 ツルでいったら、種類の違うツル同士がパートナーになってるみたいな感じなのかも。 そういうペアって、いるかな? いるよね! 多分、絶対。 ね、相棒、探してみよ!」 ;3/右(マイクと同じ視線) 【紅】「ん……(真剣に探す呼吸)(なかなか見つからない)(ムキになりはじめる)(見つからなすぎてハラがたってくる――えっ!!?」 【紅】「いたの、どこ――(呼吸音)(呼吸音)――あっ! ほんと。 ハネの先だけ黒いのと、全体が灰色なのと――」 【紅】「でも、どうかな……たまたま近くにいるだけかも―― (真剣に見守る呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――あ!」 ;SE ツルの羽音 【紅】「一緒にとんだーーーー! 仲良しなんだ!!!」 【紅】「(飛び去っていく方向へと首を動かしながらしばらく見守る、満足そうな呼吸音)」 ;3/右 (マイク向き) 【紅】「へへ。いるんだね。やっぱり、鶴の世界――自然の中にも、種類が違ってもちゃあんと仲良しになれるコンビって」 【紅】「(安堵の息)……なんだかすごくほっとする。嬉しい――え」 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……ああ、うん。なんでなのかな。なんでだろ。 ……ぼく……紅……ん――仲間、っていうか、同類? みたいなの、いまなんとなく見つけたかったのかも」 【紅】「だってさ、ほら――ぼくの妹たちって、もう全員が解体廃棄されちゃってるし……」 【紅】「キハ07形たちは――いとこみたいなもんだけど、でもやっぱりライバルだしね、仲間っていうより。 彼女たちにだけはぜーーーーったいに負けないようにって、姉妹みんなで励ましあってきたのもあるし」 【紅】「だから……そんなに深く考えてなかったけど。 ぼくには――紅には相棒がいてくれて…… そんじょそこらのマスターとレイルロオドとは違うじゃない。ぼくと相棒」 【紅】「本当にずっと一緒で。 ガタンゴトン亭でレストランやらされてたとき…… 鉄路から引き剥がされたときにでさえ、離れないでいてくれて」 【紅】「それがさ、ぼくにはすっごく特別なことに思えて…… だけど、なんていうのか……あんまりにも特別すぎたらイヤだみたいな気がして、だから……」 【紅】「だから、自然の中にも紅たちみたいなコンビ見つけたいなって思って――それで―― (真面目に考え込む呼吸音)((呼吸音)(呼吸音)――ああ!」 ;3/右→;1/前(正面にまわって、目を見つめながら) 【紅】「わかった! 紅、安心したかったんだ。 自然の中にもそういうペアをみつけられたら、特別すぎない、結構あることって思える気がして。 そうしたら――」 ;1/前 ‘ひゃ”でハグされて;1/前(密着) 【紅】「『ホントは相棒に無理させてるんじゃないか』って、そんな心配――ひゃっ!?」 ;1/前(密着) 【紅】「(ちょっとびっくりな呼吸)(はにかんだ呼吸)(うれしい呼吸)―― なんだよう、紅、赤ちゃんじゃないんだから、いいこいいことかするなよう」 【紅】「けど……(呼吸音)――うん。ありがと。 無理してないって、好きで一緒にいてくれてるって……へへっ、どんな言葉より伝わってくる」 ;1/前(密着) ‘あ”でぱっと離れて →;1/前 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音) ……相棒の心臓の音。とくんとくんて、すごく落ち着いてて気持ちよくって――あっ!」 【紅】「そうだった、ツルの家族見に来たんじゃないよね。 音探しだ。ふつーに観光楽しんじゃってたよ、危ない危ない」 ;3/右 【紅】「音……確かにここの音――ツル達の声…… (30秒ほど傾聴する呼吸音)…… うん、100選ってヤツにえらばれるだけあるよね。 ぼく、いままで聞いたことない音だし、すごいし――絶対紹介するべきって思う」 【紅】「けどさ、単純に『気持ち良い音』かっていうと―― (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― ちょっと違ってくるかもだよね。 ぶっちゃけ、相棒の心臓の音の方が100万倍ここちいいし」 【紅】「だから次は、もっと単純に気持ちいい音探しんにいかない? 沿線で、気持ちよくって、みかん鉄道っぽい音、ってなるとー……」 【紅】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)―― 颯摩多希(さつまたき)駅のベルは……音あんまよくないよね、もう。 潮風にやらちゃって……ってか、そーか、潮風自体もうるさいか。 あそこふきっさらしだからいっつもごーごーいってるし」 【紅】「黒ノ瀬戸大橋(くろのせとおおはし)の渦潮は……見れる時間が限られてるからなぁ。 ごーって渦巻くのはすごいけど、海の音っちゃ海の音なよーな気も――あ!!!」 【紅】「だよ! 海の音!! 八ツ城海(やつしろかい)の音がいい!。 綺麗だし、落ち着くし。牛之濱(うしのはま)あたりだったら景観もすごくいいし」 【紅】「海の音なんて世界中似たようなものかも――って気もするけど、ま、いってみよう! あそこ潮溜まりたくさんあって楽しいし! ね、いいでしょ? いいよね――(呼吸音)――やったぁ!」 【紅】「じゃ、いこー! それじゃツルたち、次のあうのは――また来年の冬になるかもって思うけど!」 ;1/前 (マイクに背中向き) 【紅】「それまで元気で! 仲良くねーーー!!!」 ;環境音 F.O.