Track 3

貴方と歩く君ガ浜/(君ガ浜。砂浜散策)

;環境音 君ヶ浜海岸 F.I ;足音 砂浜(継続) ;基本、並んで歩く形となります。顔や体の向き。場合によっては立ち位置等も、いいように動かしていただけましたら幸いです。 ;7/左 【西瓜】「なんて綺麗な海岸でしょう。先生、あそこに見えるの──小高い丘の上にそびえてっているのがきっと、猫吠崎灯台ですよね」 【西瓜】「これほど綺麗な砂浜でしたら、海水浴客でいっぱいになりそうなものですが──(きょろきょろする呼吸とニュアンス)──そうした姿は見えませんね。 むしろ海岸の端……岩場か、テトラポットでしょうか? 遠目すぎてよくわかりませんが、そのあたりに人影がいくつかあるようです」 【西瓜】「先生。西瓜はあそこになにがあるのかを知りたく思います。 確かめてきてもよいですか?」 【西瓜】「(呼吸音)(呼吸音)──ふふっ。先生にも興味をいだいていただけたこと、嬉しいです。 それでは一緒に少し歩いて、確かめてみることにしましょう」 【西瓜】「(海岸線をのんびり散歩するニュアンスと呼吸音。一分ほど)」 【西瓜】「……アーチを描く砂浜を散歩していると、金碩灘(jin shi tan)のことを思い出します。 日ノ本語読みだと、きんせきなだ、になりますでしょうか。 大蓮(だいれん)の、有名な観光地の海岸」 【西瓜】「残念ながら西瓜は観光ではなくて、視察で訪れたたけでしたが、それでも感銘を受けました。 アーチの姿はここ、君ガ浜の方が美しいかもしれませんが、アーチの規模、砂浜の広さはずうっと大きい。 ですので、海水浴場として大いに賑わっていました」 【西瓜】「……(呼吸音)(呼吸音)。西瓜はレイルロオドですので、水泳はできません。 ビニールボートの類にたよって浮くことでさえ、少し恐ろしく思いますけれど……」 【西瓜】「それでも真夏の金碩灘のにぎわいに触れ、人々の笑顔とざわめきに触れ、西瓜はひとり、こっそりと願わずにはいられませんでした」 ;SE 足音stop ;7/左→;1/前(まわりこんで顔を見つめる)。‘ふふっ”で →;7/左に戻る 【西瓜】「……先生。いつの日か貴方とふたり、この海岸を歩いてみたいと。──ふふっ!」 ;7/左 ;SE 足音再開 (継続) 【西瓜】「まさかその夢が日ノ本で、君ガ浜で叶うだなんて、想像もしていませんでした。 金碩灘の賑わいとはうってかわった静けさですけれど──(呼吸音)──いえ」 ;うつむいて独り言 【西瓜】「こっちの方が、想像よりもずうっといいです。 大勢の賑わいよりも、ふたりっきりの静けさのほうが…………っ!!!」 【西瓜】「いえいえ、なんでもありません。 ただのひとりご──んんっ、少し、その、今後の計画──そう、 今後の音探しの計画を練っていただけです」 【西瓜】「具体的、には──その──(呼吸音)(呼吸音)──ああ、そうです、波の音です。 この君ヶ浜では、波の音と砂の音、そして蝉の声しか、いまのところ聞こえていません」 【西瓜】「そして、あそこに見えている猫吠崎灯台でも、おそらくは波の音と風の音と。やはりセミの声しか聞こえないように、 西瓜には思えてならないのです」 【西瓜】「ですのでこう──なにか、もっと別の方向性の魅力的な音をご紹介できないものかと西瓜は思うのですが……」 【西瓜】「(呼吸音)(呼吸音)──砂の音。なるほど、それは例えば先生を砂に埋める、というような……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ああ」 【西瓜】「水着でなければあとで大変なことになってしまいますね。 それでは今度……その、今度。次に、ふたりで浜辺にお出かけするときには」 【西瓜】「西瓜は先生と水着ででかけ、先生のことを砂にうずめてみたいです。 ──(呼吸音)──はい! ありがとうございます。約束ですよ」 【西瓜】「ではそのときを楽しみに、今は砂遊びをしてみましょう。 砂でお城──をつくるのはとても硬度な技術がいりそうです」 【西瓜】「ですので西瓜は、西瓜と先生の機関車を、東富4を、砂で作ってみたいです。 四角く見えて、なかなかアールが大いこですから難しいかもしれませんが──(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音) ふふっ、先生と一緒でしたら、きっと見事につくれますよね」 【西瓜】「では、まずは──(呼吸音)(呼吸音)──なるほど、砂を海水で濡らすところからはじめるのですね。 バケツのようなものが何か……ん……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ああ!」 【西瓜】「なるほど、飲料水のペットボトルがありました。 これをまず、飲み干してしまいまして──(んくっ、ごくっ、ごくっ)──ぷぁ」 【西瓜】「そうしましたら──マスター、海水をいれましょう」 ;SE 足音数歩 ;環境音 波音 Vol↑ ;3/右(マイクと同じ視線) 【西瓜】「っと……これはなかなか──波が、怖くて──(呼吸音)(呼吸音) けど──えいっ!!」 ;SE ペットボトルを海水につけ掬う 【西瓜】「きゃっ! ああ、波で袖まで濡れてしまいました。 けれど、これで500ミリリットル──先生の分とあわせれば、1リットルの海水を確保です」 ;SE 足音数歩 【西瓜】「また濡れるのはイヤなので、この海水だけで完成できる、小さな東富4を作りましょう」 【西瓜】「冷静になれば、この辺の湿っている砂を使えばより効率をあげられそうに思います。 これをあつめて形をつくって、乾燥してきたらペットボトルの水で湿り気を足す形で── (呼吸音)(呼吸音)──はい。ではその形で進めましょう」 ;$=SE 濡れた(水分たっぷりある)砂を手でかきよせる 【西瓜】「まずは、濡れている砂を両手で集めて──$ (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ん…… 集めて、集めて──んしょ、両手ですくっ、て──」 ;SE ゆっくり数歩 ;SE 湿った砂を、乾いた砂の上に落とす ;1/前(ふたり向き合って作業) 【西瓜】「よいしょ! この辺の砂は濡れていない──ということは、大きな波にも襲われていないということになります。 作業場所には最適でしょう」 ;$=SE 湿った砂で粘土細工 【西瓜】「ここでじっくり。まずは大まかに車体の形をつくって── $──こう…… ぺたぺた──ん……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──っと」 【西瓜】「もう少し、曲面を──$──なめらかに……なめらかに──で…… んしょ──(呼吸音)(呼吸音)──っと──$──ぺた、ぺた──ん……(呼吸音)──うん」 【西瓜】「先生、外観はこのような感じで──(呼吸音)(呼吸音)──ふふっ、謝謝。ありがとうございます。 では、こまかなところを──っと」 【西瓜】「真夏の釣子の陽射しの、なんと強烈なことでしょう。 砂の端がもう乾いて崩れてしまいそうです」 【西瓜】「ペットボトルの水をそのままかけては、きっと形をいっそう崩してしまいますね。 ん……(呼吸音)(呼吸音)──ああ、そうです。西瓜は消毒用の小さなアルコールスプレーを持ち歩いています」 ;SE ポーチ(車掌カバン形状)をあける 【西瓜】「ああ、ちょうど補充のタイミングです。素晴らしい」 ;$=SE スプレー 【西瓜】「まずは残ったアルコールを──先生、両手をお貸しください。 ん……$──こうして──$──使い切ってしまって……」 ;$=SE 詰め替え 【西瓜】「そうしたら海水を、ミニスプレーボトルに詰め替えて…… $ (呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──うん」 ;$=SE スプレー 【西瓜】「あとはスプレーで砂を──$──こうして──$──しめらせ、て……$──ああ、だいぶんしっとりしてきました」 【西瓜】「このタイミングで──ああ、この細くて薄い貝殻を使い、砂を盛って、あるいは削って、細部を作り込んでいきましょう」 【西瓜】「先生も西瓜も不慣れなことです。おおまかに、それっぽく見えればよしとして──(呼吸音)(呼吸音)──はい、はじめましょう」 ;$=SE 砂をもる \=砂を削る 【西瓜】「まずは前照灯と──$──尾灯の部分を足して──$──削って──\── 連結器は──難しそうなのであとまわしにして、排障器は──少し足して──$──ん……線を、いれて──\」 【西瓜】「足回りは──削っていくしか──\」 ;SE↓の間、スプレー、漏る、削るをいい感じで 【西瓜】「(以下、集中して作業する呼吸音とニュアンス90秒ほど)」 【西瓜】「っと──ここまで来たら窓まわりを──$──ほそく、細くで──$──ほりこん、で……$──うん」 【西瓜】「ああ! はじめてにしては見事な出来栄えであるかと西瓜は感じます!!」 ;SE 少し離れた背後から拍手 ;1/前→”え”で顔の向きかわって、;3/右(マイクと同じ視線) 【西瓜】「聞こえますか、先生。称賛の拍手までもが────え?」 【西瓜】「うふふっ、こんにちわ小さなお嬢ちゃん──と、ご両親。 西瓜たちの砂遊びを見学くださっていたのですね、大変に恐縮ですが、ご称賛とても嬉しくもあります」 【西瓜】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ああ、この機関車は東富4型といいます。 仲国国鉄の機関車です。西瓜と先生は、仲国国鉄から視察のために日ノ本にきて、 帰国前にごあいさつをしたくて、釣子電鉄を訪れたのです」 【西瓜】「そうしたら、ひょんなことから音探しをすることになり──ああ!」 【西瓜】「もしかして、お嬢ちゃんたちは地元の方でらしたり──(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)── やはり、でしたか。それなら、一つだけお願いがあるのですけれど」 【西瓜】「この釣子──猫吠で、なにか珍しく魅力的な音が聞こえて来る場所を── お嬢ちゃんたちご一家は、ご存じありませんか」 ;環境音 F.O.