Track 4

スナメリウオッチング!/イルカウオッチングボートの音

;西瓜と先生はならんで座ってます。顔の向き、いい感じに変えていただけますと幸いです。 ;3/右 【西瓜】「スナメリ!!!!」 ;環境音 イルカウオッチングボートの音(船室内) 【西瓜】「スナメリとはイルカの一種。そして釣子ではこの季節、運がよければスナメリの親子を見ることができる。 このイルカウオッチング船において!」 【西瓜】「なんと嬉しいことでしょう。西瓜は製造されてこの方ただの一度も、自分が船に乗ることになるとも、スナメリなるイルカを探すことになるとも、想像さえしたことがありませんでした」 【西瓜】「やはり、地域の情報を一番深くよく知るのは、その地域に暮らし住まう方々ですね。 その意味でも、さきほどのご家族連れからこのイルカウオッチング船のことを聞けたこと、 本日の乗船にギリギリすべりこめたこと、とても大きな幸運にめぐまれたものだと西瓜は感じます」 【西瓜】「それに、この船の奏でる音…… (30秒ほど聞き入る呼吸音とニュアンス)──」 【西瓜】「船室内でもこれほど豊かに響いてくるディーゼルエンジンの音も、西瓜には大変にここちよいものと響きます。 たとえスナメリなるイルカを見れなかったとしても、この乗船は、西瓜の大切な思い出になることでしょう。 しかし、先生──西瓜は、それだけに残念でならないことがひとつだけあります」 【西瓜】「それは、西瓜がスナメリなるイルカに……いえ、イルカという生き物全般について、ほとんど知識を有していないということです。 より深く知ることは、より多くを楽しむこと。スナメリがどんなものかをほとんど知らない西瓜では、スナメリに会えるということの価値をきっと本当には理解できないような気が……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ああ!!!」 【西瓜】「なんと、座席の前のポケットにパンフレットが差し込まれているだなんて。 西瓜は少しも気がついていませんでした。 ありがとうございます、先生。それでは今から、一緒にパンフレットを眺めましょう。んしょ──」 ;SE 座席ポケットからパンフを抜き取り、広げる ;3/右(密着。顔を寄せ合うようにして一枚のパンフを眺めてる) 【西瓜】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ふぅむ。スナメリはここ、釣子近海では一年中みることができる── しかし、世界的には貴重で、保護対象ともなっているイルカ、なのですね」 【西瓜】「種類としては、ネズミイルカ科。これは、体の色がねずみ色をしているからなのでしょうか? 陸地に近いところに生息をしていて……ああ、スナメリは基本的には群れを作らないそうですが、釣子沖には、群れで暮らすものを見ることができることもあるそうです」 【西瓜】「一番多いときには200頭以上の群れ。そして、その中には赤ちゃんスナメリがおかあさんに寄り添って泳ぐ姿も見られる、と」 【西瓜】「!!! やはり知識は楽しみです。西瓜には、ぜひとも親子スナメリを見てみたいという大きな目標が産まれました」 【西瓜】「それに、もしもスナメリが船の近くに来てくれるものであるのなら。そして大きな声で鳴くものであるのなら、スナメリの鳴き声もまた、釣子の音風景の一つとして──っ!!!!」 【西瓜】「聞こえましたか、先生! スナメリの姿が見えたそうです! すぐに甲板に向かいましょう!!」 ;SE 早足の足音 ;環境音 船室内→船室外 【西瓜】「っ! スナメリは──スナメリはどこ──(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)── あ!? 先生! あそこを見てください!!! 海の上、なにか茶色の! ──ん?」 【西瓜】「スナメリはネズミイルカ科でねずみ色だとさきほど西瓜は…………と、いうか──(呼吸音)── あの茶色、ただ波に揺られてプカプカしているだけのような……っ!」 ;$=SE スマホカメラパシャ 【西瓜】「そうです。スマートホンのカメラで拡大をして撮影してみれば──ん、っと── $……どうでしょう? うーんと……あ──(失望の息)」 【西瓜】「これは、単なる流木ですね。西瓜はとても残念です。 西瓜と先生が甲板にでるまでの間に、スナメリは海に潜ってしまったのでしょうか」 【西瓜】「とはいえ、もぐったものならまた浮上してくるかもしれません。 先生は船の進行方向を探してください。西瓜は逆側に目をこらします」 【西瓜】「(きょろきょろしながらイルカを探す息とニュアンス。一分ほど熱心に→そこからだんだん失望していく30秒ほど)」 【西瓜】「……(長い溜息)。こうしてみると、海は本当に広大ですね。その広大さのほんの表面だけしか、西瓜と先生の目には見えない」 【西瓜】「西瓜はレイルロオドとはいえ、整備体ではセンサ性能も人間と大差ありません。 運転体にもし換装をできたところで、水中に対して働くセンサを有しているわけでもありません」 【西瓜】「レイルロオドが海にでて、希少なスナメリの、さらに希少な親子の姿をみつけようとする。 それは例えばバラストの中に落としてしまった一粒の宝石を見つけ出すほどに、難しいことなのかもしれません」 【西瓜】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ああ──ああ、ですね、先生」 【西瓜】「見つけ出すのが難しいことであるからと探すことをやめてしまえば、見つけ出せる可能性はその瞬間にゼロになる」 【西瓜】「たとえどれほど低い可能性であろうとも、海を見つめ続けていれば、スナメリに出会える可能性はある。 船が港に帰ってしまうまでの間なら、どれほど厳しい確率であろうとサイコロは振り続けられる」 【西瓜】「うつむいている時間などありませんでした。先生、よろしければもう少しだけ、西瓜にお付き合いください。 気持ちを新たに切り替えるため、今度は西瓜が進行方向がわ、先生が反対がわ……で…………(ごくり)」 【西瓜】「せ、先生──いま──いま、なにかが低くジャンプを──あ!!」 【西瓜】「(感動に震える呼吸)──あ──あっ! あっ!!!!!」 【西瓜】「スナメリです!!! きっと、スナメリの親子────あっ!? 船員さん、そうなのですか!? 間違い無い。 あれがスナメリ!!! 西瓜! 西瓜! 西瓜が一番に見つけたスナメリです!!!!」 【西瓜】「とても遠くて、鳴き声なんてとても聞こえようもないですが、それでも親子の── あ! そうだ! スマホ! スマホ!!! 写真、写真!!!!!」 ;SE スマホ写真、何枚も 【西瓜】「(一生懸命スマホの写真を撮り続ける呼吸とニュアンス。45秒ほど)──あっ!?」 【西瓜】「あ……((呼吸音)(呼吸音)──あぁ──見えなくなってしまいました。 スナメリの親子は、海にもぐってしまったのでしょうか」 【西瓜】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……ああ、もう出てこないのかもしれませんね。 船も方向を変え──どうやら港に戻るようです」 【西瓜】「200頭の群れに会えなかったことは残念ですし、出会えたスナメリと、もっと近くでもっと長く接したかった気持ちもあります。 スナメリに関しましての西瓜はどうやら、西瓜自身でも驚いてしまうほどに欲張りだったようです」 ;‘けれど”からもう嬉しい 【西瓜】「けれど──それでも──ふふっ、うふふふふっ」 【西瓜】「西瓜は先生と一緒にスナメリに──それもスナメリの親子に合いました。 おかあさんと赤ちゃんの小さなジャンプも目にしました。 撮れているかはわかりませんが、写真も──ああ」 【西瓜】「果たして撮れているのでしょうか。随分遠くて、スナメリの動きも早かったので、難しいかとは思うのですが──」 ;SE スマホでフリックを次々して、録った画像を確認していく 【西瓜】「ん……(呼吸音)(呼吸音)──ダメ──(呼吸音)(呼吸音)──これも──(呼吸音)(呼吸音)── あ、これ! ──っ──(ため息)──ダメ、ぶれすぎてます──(呼吸音)(呼吸音)──ううっ──」 【西瓜】「そもそも海しかうつってないのばっかりで──(呼吸音)(呼吸音)──これは……全滅──(呼吸音)(呼吸音)── でも、まぁ──(呼吸音)(呼吸音)──西瓜の視覚センサはしっかり──っ!!!!」 【西瓜】「先生! マスター! これ! これ!!!!!」 【西瓜】「小さいけれどうつっています! スナメリ! 親子!!! 西瓜は! 西瓜は! 西瓜は! 西瓜は!!!」 【西瓜】「西瓜はスナメリを撮りました!!!!!!!!!」 ;環境音 F.O.