Track 2

二色(にしき)の梨狩(梨狩りの音。梨の皮むき。梨のウィスキー漬けづくり)

;1/前(うつむき、落ち込み) 【かにこ】「やらかした…………やらかした…………せっかくの雛衣社長の励ましを、かにこ……」 ;環境音 梨狩り F.I. ;1/前 【かにこ】「素直に受け取れないだけじゃなく……あんな――まるで、反論みたいに。 かにこはただ……ただ、自分の決意を……伝えたかっただけ、なのに……(泣きそうな数呼吸)――あ」 ;1/前 (顔をあげて) 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)……っ……(呼吸音)――そう、かな。 かにこに悪気がなかったの、雛衣社長もわかってくれてれば――(頭を強く左右にふるニュアンス)――ううん、違う」 【かにこ】「たら、ればはダメ。甘い期待は必ず裏切られるもの。マスターもかにこもそのことならば、北の鉄路から何度も――イヤというほど思い知らされている」 【かにこ】「だからマスター。頑張ろう。素晴らしい音を必ず見つけて、紹介して。沿線の魅力を伝えて、定期外客を増加させて。 ――結果を出せば、そうしたらきっと、雛衣社長にも認めてもらえる――もらえなくても、失礼のお詫びをいくらかは、必ずできるはずだから」 【かにこ】「……うん。もう大丈夫。切り替える――(深呼吸)――切り替わった」 【かにこ】「で、音探しの最初の候補地は……あ、もうついてたんだ。かにこ、いくらなんでも落ち込みすぎてたね。周り、全然みえてなかった……」 ;環境音 Vol↑ 【かにこ】「(あたりを慎重に観察する呼吸音とニュアンス。30秒ほど)」 【かにこ】「……梨園(なしえん)。梨狩り場(ば)――梨は、北海道でも余一(よいち)とかの特産」 ;SE 足音一歩 ;北海道のことを思い出して、だんだん凹みから復活していく ;7/左 【かにこ】「ここでしっかり勉強すれば、ハチロクさんの教え通り、北開道の観光進行――観光客増――鉄道需要の増加にもきっと繋げられる」 【かにこ】「……なら、かにこはやれる。大丈夫。マスター、行こう」 ;SE 足音一歩 ;1/前(マイクに背中向き) 【かにこ】「すみません。梨狩りをさせてもらいたいんですけど」 ;環境音、一度F.O. ;SE 足音 数歩 ;3/右 【かにこ】「あ、マスター。その梨取るの? だったら、待って。 念の為、さっきもらった『梨狩りガイド』――ぺーパー、もう一度確認しよう」 ;SE ペーパーひろげる ;3/右 【かにこ】「えと……(呼吸音)(呼吸音)――ああ、すごくいい、これ―― (呼吸音)(呼吸音)――農園の人にさっき説明してもらったこと、絵が加わって、さらにわかりやすくなってる」 【かにこ】「いけそう、マスター? (呼吸音)――なら、かにこは最初は見てるから……」 ;SE 梨狩りの一連(葉っぱガサガサ→根本ぷち→ニッパーでパチリ) 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」 ;3/右 (嬉しい) 【かにこ】「ああ」 ;環境音 梨狩り F.I 【かにこ】「きれいに取れた。さすがマスター。 見ていたかにこも嬉しかったし、ホッとした」 【かにこ】「5個までは基本料金と教えてもらったから…… マスターがいまのとあと2個を取って、かにこも2個とかで――(呼吸音)(呼吸音)――あ」 【かにこ】「なら、嬉しい。マスターが今の1個だけでいいんなら。 かにこ、マスターほど優秀じゃないから、失敗、怖くて…… 4回もチャンスあると本当にたすかる。――ありがとう、マスター」 【かにこ】「……もいだのはマスターに食べてもらうから、できるだけ美味しそうなやつを……」 ;SE 探してガサガサ(継続) 【かにこ】「ん……(呼吸音)(呼吸音)――っと――(呼吸音)(呼吸音)――えと、ペーパーに確か……」 【かにこ】「あった。『ずっしりと重くて。縦に間延びしてない、ヨコに張り詰めているものに甘みが溜まってる』――(呼吸音)(呼吸音)――あ」 ;SE stop 【かにこ】「マスター、これがよさそうかとかにこは思うんだけど……どう?」 ;3/右(マスターが顔をよせてくるので、耳元でささやく形に) 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――うん」 ;3/右 【かにこ】「なら、もいでみる。ペーパーみながらで、多分やれる。 (深呼吸)――まずは実を手にとって、枝を軸にしてひねるように――」 ;SE なしもげる 【かにこ】「もげた。もげたら、実にくっついている紐みたいな部分。なり紐を、できるだけ実に近いところ、根本の方からニッパーで――」 ;SE ニッパーでパチン 【かにこ】「きれいにできた。なりひもを短くすれば、そこで他の実を傷つけちゃう危険性を減らせる。だから、安心してかごにいれていい」 ;SE なしをかごに 【かにこ】「――うん。いまので少しわかった気がする。あと3つ。感覚を忘れないうちに、もいじゃう」 ;SE 梨もぎ一連 ;3/右 【かにこ】「っ……(上記、梨もぎの一連をする、集中した呼吸音とニュアンス)」 ;SE 梨もぎ一連 ;1/前 【かにこ】「っと――(呼吸音)――こんどは――(梨もぎ)」 ;7/左 【かにこ】「最後のは……(呼吸音)――あ、これにしよう。んと――(梨もぎ)」 【かにこ】「――っと、ふう。できた。そしたら――(呼吸音)――あ、そうか。終了報告と会計。いこう」 ;SE 足音 ;SE 環境音 F.O ;3/右 (なし農家さんと話すので、マイクと同じ視線) 【かにこ】「ありがとうございました。……梨をもぐ。その……それだけなのに、えと……本当に面白くて」 【かにこ】「理由も少しわかった気が……。(呼吸音)――えっ、あ――それは、えと―― 『なにをどうしてどうすればいいのか』と『その理由』とを、一番最初に丁寧に教えてもらえて――それで、えと」 ;$=SE ペーパーひろげる 【かにこ】「このペーパーもあったから。だから、美味しそうな梨を探すの……にょ、あてずっぽうにならないで、宝探しみたいになって」 【かにこ】「(嬉しさを反芻する柔らかな吐息)――何をいま、なんのためにやってるのか。どうすればそれができるのか。わかってやれて――成功できて。だから、かにこは楽しかった……です」 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――ああ、このペーパーは御一夜鉄道のデザイナーさんが……(呼吸音)――なるほど」 ;うつむいて独り言 "うん"で顔をあげる 【かにこ】「ハチロクさんが伝えてくれたかったこと、多分かにこはうけとれた。 この知識と経験はかならず、北開道の鉄路復興につながっていく――――うん!」 【かにこ】「本当にありがとうございました。あの、お礼になるかわからないんですけど、その……(ためらう数呼吸)」 【かにこ】「ええと、ウィスキーってお好きですか? (呼吸音)(呼吸音)――ならよかった。ぜひ、試していただきたい梨の食べ方があるんです。北開道の余一では結構メジャーな楽しみ方なんですけど……」 【かにこ】「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)――じゃあ、やってみせます。その試食用の梨と器をお借りしても――(呼吸音)――はい、ありがとうございます」 ;SE ナイフで梨の皮むき 【かにこ】「まずは梨を――(呼吸音)(呼吸音) こうして、しょりしょり――(呼吸音)(呼吸音) かわむき――(呼吸音)――(呼吸音)――して―― かわむき――(呼吸音)――でき、たら――(呼吸音)(呼吸音)」 ;梨を8つにカット 【かにこ】「これは大きな梨だから――ん――(呼吸音)(呼吸音) ふたつ――(呼吸音)(呼吸音)―― で――(呼吸音)――よっつ――(呼吸音)―― さらに――(呼吸音)――ふたつずつ――(呼吸音)――合計――(呼吸音)――8つに――カットして」 【かにこ】「カットできたら、器の中に寝かせて並べて――で。 これ、ご挨拶の土産用にもってきたウイスキーのミニボトルなんですけど――」 ;SE ウィスキーのキャップあける 【かにこ】「いっちゃってもいいですか? (呼吸音)(呼吸音)――はい。なら」 ;SE 器の中の梨にウィスキーを注ぐ 【かにこ】「ひたひたに――(呼吸音)――なるまで――(呼吸音)――おしみなく――(呼吸音)――ウィスキーを(呼吸音)――そそ、いで――っ!」 【かにこ】「できた。その……梨のウィスキ-漬け、です。漬け込み具合はお好みで。 甘いのがお好きなら、砂糖とシナモンをいれて煮込んで、コンポートにするのも」 【かにこ】「――はい。喜んでもらえたなら。お礼になっているのなら、かにこも本当に嬉しいです。 今日はありがとうございました」 ;足音、長め 【かにこ】「(呼吸音)*8 ――ふうっ……ああ……えと、マスター、耳を貸して」 ;3/右 【かにこ】「今は、かにこ。上手に――ちゃんと振る舞えてたかと思うんだけど――(呼吸音)(呼吸音)」 ;1/前 【かにこ】「! それならよかった。嬉しい。この調子で次も、うん」 ;1/前(至近) 【かにこ】「マスター。かにこを支えてね」 ;環境音 F.O.