妄念の牢獄
(高須)
晶子ぉッ!
キミは…キミは……なんて美しいんだッ!
あぁ…“美しい”なんてありきたりな単語でしかキミを称えられないボクの貧弱な語彙(ごい)が情けない…。
…しかもッ、美しいだけじゃない、こんなにも天使のように可憐で愛らしい…。
(晶子)
(怯えながら)…だっ、誰……あなた…?
☆満面の笑みを浮かべた巨漢の青年…名は高須健三。
ひたすら怯える若い女性の名は白石晶子。
晶子は高須によって服を脱がされ、黄色のブラジャーとパンティのみというあられもない下着姿であった。
両手首と両足首はそれぞれ麻紐で堅く縛られ、カーキ色のソファに座らされていた。
二人のいる部屋はコンクリートのうちっぱなしで四囲(しい)を構成された窓すらない広大な部屋で飾り気はほとんどなかった。家具も縛られた晶子が横たわるソファくらいしかなく、壁際になにやら怪しい器具やら小道具が散乱していた。
(高須)
それになんだ、なんだぁ…このスタイルはッ…!?
男を惑わさずにはいられないこの肉の…凹凸(おうとつ)……、出ることが出ていて…ひっこむとこがこんなにも…。
おぉ、ぉぉ、肌はこんなにもきめ細かく…白くすべすべだ…。
ボクは幸せだ。ボカァ…!
☆晶子の問いを無視し、自分の世界に没入して大演説を続ける高須は毛深い手で晶子のむき出しの肩から腕へと愛おしげになで回した。
(晶子)
い、いやっ!
やめて、やめっ…、汚い手で触らないでっ。
(高須)
汚い? とんでもない!
ボクは潔癖症なんだよ。ばい菌なんて一匹だっていやしない。
だぁから、汚れる心配なんていらないんだよ。
ぅほぅ、このシルクのような肌の障り心地…、素晴らしい…、素晴らしいよ晶子!
☆晶子は身をよじって高須の愛撫から逃れようとするが、それは思ったよりも力強く敵わなかった。
(晶子)
…こんなことをして、あなた…ただですむと思ってるの?
私をっ……ムリヤリさらうなんて…。
(高須)
こんなこと?
なんの事だぁい? ぼかぁね、花嫁を新居に迎えてあげたんだよ。
☆嫌悪感を隠そうともしない晶子の辛辣な物言いに微塵の動揺すらみせず、高須はそう、仰天の発言をした。
(晶子)
(驚きの一拍)…っ!? は、花嫁っ??! 誰がよっ?
(高須)
モチロンっ、聖伽羅(せいきゃら)女学院大学国際交流学部1年、白石晶子18歳、身長156センチ、バスト89、ウエスト56、ヒップ88、体重42キロ。家族構成は父母妹の4人。白石家長女でもある…キミのことだよ。ちなみに親友の名前は高藤小百合(たかとうさゆり)といったね。
(晶子)
……な…っ…!
☆高須の必要以上に詳しい個人情報に晶子は凍った。
(高須)
(呆れたように)花嫁のことを知らない夫なんているかい?
キミのことはね、ボクがキミを見初(みそ)めた中学生の頃から秘密の思い出アルバムに記録してあるんだよッ。(キリッ)
…あぁ、やっとこの日を迎えることが出来た!
今日は特別な日、それがさらに記念すべき日になった!!
ふふふ、やっと結婚できるね。
今日は二人だけの結婚式だよ。存分に祝おうじゃないか。
(晶子)
記念すべき?? …結婚…??
ち…ちょっと、頭おっかしいんじゃないのっ?
は、離してっ、私、あなたとなんか結婚する気なんてないっ、大体、あなたとは初めてあったのよ!?
(ちょっと考え)…まさか……ストーカー!?
☆晶子は縛られた両手両脚を振り回しながら、声をあげて罵(ののし)った。
(高須)
ストーカー?
やだなぁ、記録は大事だろ? ボクの花嫁の愛のメモリーだよ。
☆高須は涼しい顔で晶子を見下しながら、ミネラルウォーターのペットボトルに口をつけ、うまそうに喉を鳴らした。
(晶子)
…あんた、まともじゃない…。
まともじゃ……。
(高須)
まぁ、ボクもね、多少の齟齬はあるんじゃないかって思ってはいたよ。
でもね、決めたんだ。結婚するなら晶子だって。
今日というボクが二十歳になる記念すべき誕生日にねっ!
ハッピーバスディ、ボク♪ ビバッ、バースデイマリッジ!!
(晶子)
……私はあんたのことを一ミリだって知らないし、知りたくもないっ。名前で呼ばれるのも気持ち悪いっ。
☆吐き捨てるような晶子の気丈な台詞に高須は子供のように口をとんがらせた。
(高須)
…これからイヤってほど知ることになるさ。
そして感謝することになるよ。このボクの妻となれることに!
(晶子)
……こんなことをされて…感謝なんて…誰がっ。
☆高須はニヤニヤしながら晶子の隣に腰を下ろした。
巨体の重みでソファがぐっとたわんだ。
(高須)
くふふ。ボクの家はお金があるからね。
晶子の欲しいモノをなんだって買ってあげられるんだよ。
どぉだい? 嬉しいだろぅ。パパだってボクが結婚したって知れば喜んでくれるさっ。
☆細い目を糸のようにして笑うと晶子の顔を掴み、その顔をべろべろと舐め始めた。
(晶子)
ぅっ…ぁっ、いやっ、あっ、あぅっ…。
(高須)
(舐めながら)おぉ、ぉぉ、ンまいっ、晶子の肌は舐めてもンまいぞぉっ。
☆嫌がる晶子だが、高須の強い力で顔を掴まれ逃れることが出来ず、されるがままに顔中を舐められた。
頬、鼻、鼻の穴、顎、耳、耳の穴、額、そして、生臭い高須の口臭と唾液臭で涙が溢れ出した目尻をちゅうちゅうと吸い始めた。
(晶子)
ぃ、ヤっ、あっ…、ち、ちょ、やだぃやだっ、も、もぉっ、ぁっ…。
(高須)
(舐める音15秒)
ん〜、これは病みつきに…なるッ。晶子の顔が、こんなに美味(うまい)いとはッ!
これは、他の部分も早くっ、早く舐め舐めしなければッ。
☆高須は膨らんだ頬を紅潮させながら晶子の顔から舌を離した。
執拗な愛撫による圧迫感からの開放に晶子は一息をついた。
が、それも一時(いっとき)、高須の舌はさらに下方、…晶子の豊乳に移動すると、新たな嫌悪感に戦(おのの)き、慄然(りつぜん)とした。
(晶子)
いゃぁぁっ! やめてぇっ!
☆巨体が晶子に密着し、もがく手を抑えつけつつ、ふくよかな胸の谷間を赤黒いなめくじがゆっくりと這い回り始めた。
(高須)
(舐めながら)うほぉぅ。これはなんとも甘い、甘いッ。晶子ぉ、晶子のおっぱいは甘い味がするぞぉ。ンまいっ!(ぶっちゅうっと吸い付く音から舐め回す音30秒)
☆高須のなめくじは晶子のたわわな双丘にかぶりついた。
晶子の白い肌は震え、鳥肌を立てた。
最後の砦でもある黄色のブラジャーは高須が唇でくわえたかと思うと、たやすくずらされ、その下にある鴇(とき)色の乳首を露わにさせた。
(晶子)
…ひっ!
(高須)
晶子のぉ乳首ッ!
おぉ、初めて見る生の…乳首ッ!(喜笑)
こ、これはなんていいカタチなんだぁ。
ン、…にゅ、乳輪もほどよい大きさ…じゃないかっ……色も…絶品だ!
うっひょぉぅ。この薄ピンクはまさに処女!
これはイイ、さすが晶子っ、さすがっ純潔の処女はモノが違うっ。
(晶子)
(苦しげに)……じ、純潔っ? 処女…?? なに、な…によ……それっ…。
☆右の乳房、左の乳房、両の乳首を代わる代わる高速に舐め回されながら、晶子はそれだけを絞り出すようにつぶやいた。
(高須)
(ぴちゃぴちゃと舐め回しつつ、ようやくその言葉に気づく)
ぼかぁね、処女の晶子を妻に迎えることが夢ッ、責務だったんだよ。
大体だッ、他の男とセックスした女は汚い!
エイズや他の性病をうつされたらどうする?? デンジャラスだッ。
しかも、だ。
ヤリチンに尻の穴まで見せた恥じらいの無さと尻軽さに萎え萎えだわ…。
人としてのプライドが有れば“ヤリチンの肉便器”なんぞを愛せる訳もないッ。
そしてッ、ヤリチンの肉便器になっただけなのに、そういう女は愛されたとか激しい妄想をしてキモいッ!
ヤリチンの唾液や精液にまみれて性病菌をばらまく汚い肉便器は自分を女だと思うなッ。
晶子のようにきちんと結婚相手に貞操を守っている女性に対して失礼じゃないか。
処女=(イコール)マスゴミや周りの肉便器にダマされず、きちんと貞操を守りぬいたかしこい女。
肉便器=(イコール)ヤリチンが激しくチンポを擦り付けた汚いアワビ。
処女=(イコール)自らの貞操観念によって真の愛を獲得する自立者。
肉便器=(イコール)ヤリチンの汚いチンポを激しく舐めまくった寄生虫。
…肉便器は幸せになれるワケがない。
なんで、きちんと純潔の証を破らせた男に引き取ってもらわないんだ?!
ボクには理解できないよ。
そうじゃなかったら、一生幸せにはなれない傷物の肉便器のままだ。
安心していいよ、晶子の純潔の証はこのボクがキチンと頂くけど、決して別れたりしないからね。
☆高須の長い歪んだ演説が終わった。
晶子は呆然と高須のぎらつく細い目の相貌(そうぼう)を見上げた。
(晶子)
……キモイ…。
なに…真面目に…そんなことを…。
(高須)
…ん? 真面目の何が悪いんだい?
ボクはね、処女の晶子を褒めているんだよ!
処女は偉いし立派だ。
“大切なものを守る”という精神は素晴らしいッ。
自分を大切にする人は、相手を大切にできる。そして相手からも大切にされるワケだ。
いいかい、晶子?
例えば本気で恋愛したからって正当化する肉便器がいるよね。
16歳から27歳まで7人の男と付き合ってたとしよう。
で、肉便器だから仕方なく30歳で貧乏人と結婚。
約10年間で7人も本気で好きな男ができたのに、30歳から死ぬまで、一人の男だけ愛し続けるってコトができるか?
否ッ!
経験が多ければ多い肉便器ほど、新しい男に抱かれる可能性が高いッ。
つまり肉便器は新郎に抱かれても、新鮮味など皆無なのさ。
遊んでた方が結婚してから落ち着く?
(大笑)
冗談だろう、便器の欲望を考えるとそりゃ無理だ。
(晶子)
……(驚きのため息)。
(高須)
だぁからッ、望んで結婚を前提せずに純潔を捨てた肉便器は腐ってやがるんだ。
欲望のまま、道徳観や倫理観をなくしたチンパンジー以下だ。
進化ではなく退化ッ。新型エイズや性病を広めるふざけた生き物。
女の地位を下げ、簡単にヤレる道具以下に蔑む土壌を作っているだけだ。
自分の親がそうあってほしいと思うか? 自分の子供にそう誇れるのか? プライドはないのか?
未来の自分は、過去の自分の責任を取らなくてはならない。
そして将来を真面目に考える処女を巻き込むなッ!!
☆ご高説に唾を晶子に振りかけながら、高須はしゃべりまくった。
(高須)
ただ、“好きだから”って、結婚を前提としていない男に股を開く肉便器は、所詮、性欲処理の為の肉便器。飽きたら捨てられる程度の付き合いで充分だったってコトだ。
結婚を前提とせず、身体まで許しながら別れた事が誇れる過去か?
否ッ!
それが何人もいれば嬉しい事なのか?
否ッ!!
そんな肉便器は結婚を考えるなっ。
結婚前提でもない男に処女を捧げるから、モノ扱いになるんだ。
だから、処女に価値が生まれるッ!
肉便器は処女を失う意味と重さを分かっていないッ。
“好き”だからではなく、“愛して結婚する”男にだけ許す女。
そんな女性と結婚したいと思うのは当然だッ。
だから、ボクの妻になる女性は、“貞操を守っているか”かが重要だったんだ。
…なあ、晶子、わかったい?
キミはボクの妻たる試験に合格したんだよ。
☆部屋に静寂が訪れた。
(晶子)
……試験??
(力なく笑う)…何様のつもりよ…。
しかも…一方的な…くだらないことを…そこまでうだうだと一生懸命……。
☆晶子は心底イヤそうに顔をしかめると眉間にシワを刻んだ。
(晶子)
大体ね、…どうして、私が処女って。
(高須)
そりゃあ、もちろん、晶子をずっとメモリーしてきてたからね。
中学生の頃から一人だって肉便器の彼氏はいなかったッ!
実に潔白! 清廉!
素晴らしいッ!!
清い童貞のボクに相応(ふさわ)しいッッ!!
☆高須は背中をのけぞらせて歓喜に吠えた。
(晶子)
(ぽつりと淡々に)……処女じゃないわよ…。
(高須)
あぁ?!
…なんだい、晶子今なんていったかな?
(晶子)
(吐き捨てるように早口で)…処女じゃないっていっただけ。
(高須)
ウソだ………ウソだッッッッ!!!!!!