Track 2

何もしないって、約束してくれます…?

温泉までは、どれくらいあるんですか? (男:すぐ近くだよ) それなら、少し歩いているうちに着きますね。 ふぅ…。この森っていいですよねぇ。 気分転換にはぴったりの場所だと思いません? 私、普段は街の学校に通ってるんですが、 時々、気分転換にここの別荘に来て、森を散策するんです。 ここは自然が豊かですし、木が多すぎないというか、 あまりうっそうとしていないのがいいところだと思います。 …貴方も、ときどきここへ来るのですか? (男:いや、初めて) えっ、初めてなんですか? (男、事情を説明) …なるほど、お爺さまと交代で、これから貴方がこのあたりを管理されるのですね。 ということは…今から向かう温泉も初めて見るのですか? (男:初めて) やっぱりそうなんですね。 どんな温泉なのか、ワクワクですね? (男、うなずく) ふふっ。 あ、あの奥に見えるのが、そうじゃないですか? あの、木の板の壁に覆われてるところ。 中が気になりますねっ。 あぁ、温泉っぽい匂いも漂ってきました。 水が流れる音も、うっすらと…。 …? …えっと、あの温泉は、貴方のお爺さまが一人で作られて、 でもそのお爺さまは、今はここにいなのですよね? ということは、今、温泉は無人なんですよね…? 温泉のお湯が出続けていても、大丈夫な仕組みになってるんでしょうか…? (男:そのはず…) そ、そのはず、ですか…。 ま、まぁ、見てみればわかりますね。 ふぅ、着きましたね。 えっと、入り口は…。あぁ、ここが扉になってるんですね。 あの、私があけてみてもいいでしょうか? (男:どうぞ) はい、では…! うわぁ…。いいですねっ、きれいです! 思ってたより広いですし、景色もいいですねぇ…。 私、さっきの木の板の壁で四方が囲まれてるのかと思ってました。 でも、奥は壁がなくて、遠くまで見渡せるようになってるんですね。 ね、奥の景色、見てみましょうよっ。絶景ですよっ。 (男:足元注意してね) え? あ、はい、足もと、濡れてますもんね。注意します。 滑らないように、ゆっくり進みま…ん、ぅわぁ! (男、とっさに助けようとするが一緒に転んでしまう) ぃたた…。あ…ありがとうございます。すみません、もう大丈夫です。 ごめんなさい、注意していただいたばかりだったのに…。 あなたも、服が濡れてしまいましたよね? すみません…。 (男:すぐ乾くよ) …ありがとうございます。お優しいんですね。 でも、どうしましょうか…。 お互い、濡れたままだと風邪を引いてしまいそうですし…。 (男:着替えとか持ってる?) …? いえ、着替えなんて持ってきてません。 (男:服を干しながらお湯に浸かって待つ?) …? 干しながら、お湯に浸かって待つ…? そ、それはちょっと…! 確かに、ここだと日が当たってますから、服を干していたらすぐに乾きそうですけど。 でも、さすがに男性のかたと一緒に入るのは…。いろいろご迷惑でしょうし…。 …。 うーん…。 …。 あ、タオルは備え付けがあるのですね。 …。 …んんっ…えぇっと…、もし入るとしたら、 タオルを着用していただけますか…? (男:もちろん) ありがとうございます。 それともう一つ…。その…、何もしないって、約束してくれます…? (男:もちろん) ふふっ、ありがとうございます。 それでは…ありがたく入らせていただきます。 実は、ここを一目見たときから、入ってみたいなって思ってたんです。 こんなにいい場所ですからね。まさに秘湯というか…。 (男:入るなら早くしたほうが) …? あ、そうですね、話しているうちに風邪を引いてしまっては、 元も子もありません。 …えっと、ここって、脱衣所のような場所なんて、ない…ですよね…? (男:ない) ですよねぇ。 えっと…、では、お互い隅っこのほうで脱ぐしかないのでしょうか? (男:そうするしかない) はい、では私はあちらの方で。 …あの、こちらを見てはだめですからね? (男:もちろん) はい、よろしくお願いします。 あ、たぶん貴方のほうが早いと思うので、先に入っていてください。 ではっ。