シーン2 金曜日 16時20分
…こんにちは、先輩。
1週間ぶりですね。
またまた呼び出しちゃってすみません。
それも金曜日の放課後なんかに。
できるだけ早く終わらせますから、少しだけ付き合ってくださいね。
ささ、座って座って。
…ふぅ。
先輩、この学校にはもう慣れました?
転校してきてからそんなに経ってないし、まだまだって感じなのかな。
…ふふ。
そうですよねぇ。
周りに女の子しかいないと緊張しちゃいますよねぇ。
でも、馴染めなくて困る…っていうことはあんまりないんじゃないですか?
クラスの人から、かなり積極的に話しかけられるでしょう?
…なんでわかったんだって?
だって、ほら。
転校生っていうだけでも特別なのに、先輩は唯一の男子ですから。
それはもう、注目されて当然というか…。
私の友達たちも、先輩のことが気になってしょうがないみたいですよ?
…へ?
いやいや、それがですね?
委員会のことを知っているのは、今のところ一部の人だけなんです。
だから私が先輩のことを聞かれたり…っていうのはないんです。
友達と先輩の話をするときは、それっぽく話を合わせてますよ。
…と言うか、そもそも私だってあんまり先輩のこと知らないですからねぇ。
この前ちょっとだけお話しただけですし。
…そうだ。
先輩先輩。
一番好きな食べ物はなんですか?
好きな漫画は?映画は?音楽は?
どんな家族構成ですか?兄弟はいます?
身長と靴のサイズは?
部活に入る予定はありますか?
バイトはしていますか?
…くすくす。
いやいや、冗談ですって。
そんな真面目に、全部答えようとしなくていいですから。
もちろん先輩のことは知りたいですけど、少しずつ、ゆっくりで大丈夫です。
…ちなみに、なんですけど。
先輩の方から私に聞いてみたいことはなにかありますか?
ちゃんと自己紹介もできていなかったので、なんでも聞いてください。
…おー?
異性のタイプ?
いきなりですねぇ。
先輩、なかなか積極的だなぁ。
…いや、引いてないですよー。
どうやって答えようかなーって考えていただけ。
冗談だったとしてもちゃんと答えたいので、ちょっとだけ待ってくださいね。
…そうだなぁ。
明るい人よりは、落ち着いているほうがいいかな。
私が割とうるさめっていうのもありますし…。
あと、一途…っていうのは外せないですねー。
私のことが大好きで、私だけを見ていてくれる…みたいな。
私が「おいで」って言ったらしっぽ振ってくれる、わんちゃんみたいな感じが理想です。
…うーん、思いつくのはこれくらいかな。
もっと詳しく聞きたいって言うなら、もうちょっと絞り出してみますけど…。
…ふふ、そうですか。
じゃあ今度は、私から質問してもいいですか?
…ありがとうございます。
ねぇ、先輩。
今からここで、私とえっちしませんか?
…私が「冗談ですよー」って言うのを待ってたりします?
でも残念ながら、冗談じゃないんですよねぇ。
あのね。
私、ちょっと甘く見ていたんですよ。
「いつでもえっちなことしてあげますよー」…って言えば、すぐに先輩から連絡が来ると思ってたの。
それがまさか、1週間も音沙汰無しとはなぁ…。
もっと積極的に行かないとだめだって思い知らされましたよ。
…だからね、実力行使に出ることにしたんです。
先輩、ちょっとこっち来てもらえますか?
座ったままでもいいですけど、少しやりづらいので…。
…あ、先に謝っておきますね。
「急に抱きついちゃってごめんなさい」。
ん、しょ…。
さっきも言ったんですけど、あらためて…。
急に抱きついちゃってごめんなさい。
…あは。
今どんな気分ですか?どきどきする?
それともびっくりしすぎて、それどころじゃないかな。
もし嫌だったら、突き飛ばしてくれてもいいんですよ?
…嫌じゃないなら、もうちょっとこのままで。
…ねぇ、先輩。
もう一回聞きますけど、どうですか?
えっち…してみません?
私でよければ、先輩のしたいこと、なんでもさせてあげられますよ?
これだけくっついても拒否らないんだから、迷ってはくれてるん…ですよね?
もう少し押しつづけたら落ちてくれるんじゃないかって期待してるんですけど、どうでしょう?
先輩がうなずいてくれさえすれば、すぐにでもそこのベッドに行ってはじめられるんですけど…。
…あれれ。
なんだか硬いのが当たってますね。
煽られて興奮しちゃったのかにゃ。
…そうだ。
今日は「できるだけ早く終わらせる」って言いましたけどー…。
先輩がお望みなら、私は遅くなっても大丈夫ですよ?
もう放課後ですし、先輩が満足するまで、何回でも…。
さぁ、どうしますか…?
…うん。
そう言ってくれるってわかってました。
それじゃあ、一緒にいっぱい気持ちよくなりましょう…?
おいで…?
…あっ。
ごめんなさい、先輩。
突然なんですけど、急用を思い出しちゃいました。
今すぐお家に帰らないとー。
あー、残念だなー。
せっかく先輩がその気になってくれたのに、えっちできないなんてー。
…くすくす。
まぁまぁ、そんなにがっかりしないでください。
先輩をお世話するのは私の役目ですから。
今日はお預けですけど、今度はちゃんとえっちさせてあげます。
明日…は土曜日だから、月曜日ですね。
お休みの間、少しだけ我慢していてください?
…「なんなんだこの子は」って顔してますねぇ。
まぁ、たしかに。
誘うだけ誘ってきて、その気になったら「やっぱりだめ」…ですもんね。
でも、からかっているつもりはないんですよ?
これはね、仕事の一部みたいなものですから。
…ね、委員会ってなんのために作られたのか覚えてます?
…そうです!
先輩の性欲を管理するためです。
だからこうして、私以外の女の子に目が行かなくした…ってわけ。
「明日はお休みなのにー」とか「わざわざ欲情させてどうするんだー」とか、ツッコミどころはあるんですけどー…。
こっちのほうが楽しいので、気にしないことにしました。
ふふふー。
私に「かわいい」って言ったくせに、すぐになびかない先輩が悪いんですよ?
素直になれない悪い子は、悶々しながらお休みを過ごせばいいんです。
ざまーみろ。
…さて。
じゃあ、私はそろそろ帰りますね。
本当は用事なんてなにもないですけど、急用があることになっているので。
またね、先輩。
私も月曜日を楽しみに待ってます。
どれだけ発情していても、私以外の女の子に手を出しちゃだめですよ?
ちゃんとしっぽを振りながら、まっさきに私に飛びついてきてくださいね。