1_レオの本音(導入)
「んだよ、もう帰ってきたのかよ。のんびりしてたってのに」
(おせーよバカ、残業ばっかしやがって。さっさと帰ってこいっての……心配させんな)
「毎日残業ならいっそ泊まりこんでやれよ……って、何だよ変な顔して?」
男の反応(以後省略)「いまなんて?」
「ハァ? だからいっそのこと泊まりこんでって……ァ? その前?」
「心配って……」
「なっ!? んなこと言ってねぇよ! もう帰ってきたのかって言ったんだ! 真逆だバカっ! オレがそんなこと言うわけねぇだろ、ったく」
(なんか変だな。やっぱ疲れてんのか?)
「幻聴が聞こえだすとか、変態とは思ってたけどいよいよ頭がバカになったんじゃねぇか? やめろよな、気持ち悪い」
(調子悪いのか? 最近ずっと残業してるし。どうしよう……)
「なぁ、おまえ、その……看病とか、面倒くせぇことさせんじゃねぇぞ?」
「ありがとう。疲れてるだけかな」
「ふーん。ならいいけどよ」
(ほんとに大丈夫かよ。まだ変な顔してるし)
「ったく、だらしねぇな。体調管理くらいしっかりやれよ。で、メシと風呂どっちにする? ……ん、じゃ少し待ってろ」
(冷たい女って思われてんだろうな……。なんでこいつオレなんか置いてくれてんだろ。手だって全然出してこねぇし……オレってやっぱ魅力無いのか? でも男はいつも寄ってきたし、見た目はけっこう自信あったんだけどな。もしかして、最近ずっと帰りが遅いのは残業じゃなくて……オンナができたとか? もし、そうだったら……)
「キミのおかげで残業も頑張れる」
「なっ、何言って!? いきなり変なこと言うなっ! 気持ち悪いんだよ!」
(オレがいるから頑張れる? な、なんだよ急にそんなこと……。こいつどうしたんだ? やっぱ変だぞ)
「ほら食えよ――って、何ニヤニヤしてんだ」
「手料理が楽しみで」
(楽しみ? オレの料理が?)
「チッ、嫌味かよ。作ってくれるだけありがたいと思えよな」
(気ぃ遣われてんのかな。ホント全然美味くねぇし。ハァ……情けな)
「どうせ残業なんだから外で食ってこいよ。オレが作るよか美味いし、体にも良いぞ……たぶん
(もしかして、調子悪いのってオレの料理のせいなんじゃねぇか? ハァ~、こんなことならもっと女らしいこと勉強しとくんだった。ヤローのぶっ飛ばしかたとかじゃなくて。……もし、まともに料理できたら、オレのこと少しは見なおしてくれるかな。少しは女らしいって。それに……ぁ、あ~んとかしてみたり。口についたのを、キスして取ったりとか――)
「食べさせてくれる?」
「ふぇっ!? は、ハァ? なんでオレが食わせなきゃいけないんだよっ! おまえなんか勘違いしてねぇか? オレはおまえのオンナじゃねぇんだよ! おまえがしつこく引き留めるから居候してやってんだ! そういうことしたけりゃさっさとオンナつくってそいつに頼め! 気色悪いっ!」
(ああああバカッ! せっかくのチャンスを……。あぁもぉ、最悪だ。オレってなんでこうなんだよっ! ほんとにオンナできたらどうすんだよ……)
男が押す
「だ、だからイヤだって。……しつこいぞ」
(するって言えよこのバカ! い、いや、でもまてよ。実際やるとなると……ガラじゃなさすぎてキツくないか? このオレがあ~んて。それに、普通はこういうの好きなヤツとするもんだろ? ……え、そういうことなのか? こいつオレのこと……? いやいやいや……でも……)
男が食い下がる
「ホントしつこいな。おまえ、必死すぎてマジでキモい。……でも、そこまで言うなら……一回だけ、一回だけならしてやってもいい……ぜ」
(やば、なんか……すげぇドキドキしてきた)
「キモい顔してないでさっさと口開けろ。ほんっと気色ワリィ。言っとくけど一回だけだからなっ!」
(ヤバイ、顔あっつい。手、震えて……どうしよ、心臓ドキドキしてとまんねぇよ)
「ゴホン……ほら……ぁ、ぁ、あ~ん」
(……これ、すげぇ恥ずかしい! 腹んとこキュンってきたぁ……。恋人同士って、こんな感じなのかな。オレも、されてみたいな……こいつにあ~んって)
「次はキミの番」
「なっ!? 何言ってんだおまえ!? なんでそうなるんだよ! オレはしてほしいなんて言ってねぇだろ! バカじゃねぇの……意味わかんねぇし……」
(びっくりしたぁ。こいつオレの考えてること読めるんじゃねぇのか?)
男が押す
「だからイヤだって。やらねぇからなオレは。そんな恥ずかしいこと……」
(食べさせてもらいたい。カレシみたいに……。あ……でも、これ……間接キス……。いや、それ自体は隠れてヤってるケド……目の前でヤんのは……。でも……こんなチャンスもう無いかも……)
男がグイグイくる
「あぁもぉ、めんどくせぇなぁ。……やってやるよ。やればいいんだろ? ったく、しょうがねぇな……」
(っ! そんなにっ、そんなにこっち見んなよっ! これっ、ヤバっ! 自分でするより恥ずい!)
「ぁ、ぁ……ぁむ……!」
(~~~っ! 恥ずかしすぎて死にそう! 味ぜんっぜんわかんねぇし。目の前でシちゃったよ。関節キス……)
「大丈夫? ボーっとしてる」
「へ? な、なんでもねぇよ、なんでも」
(なんか……ダメだ。なんも考えらんね。な、なんだよ、こっち見んなよ。顔見れねぇよ……)
「いつもありがとう」
「何だよ急に。礼を言われるようなことじゃねぇよ。まぁ、一応居候だし、簡単なメシくらいはな……」
(なんなんだよ今日。やっぱり変だ。いつもはこんな良いことばっかり起こらねぇのに。いつもオレがキツイこと言って、それで傷つけるだけなのに……)
男が近づく
「な、何だよ? 近寄んな変態……」
(なんなんだよ今日のこいつ! こんなの余計ドキドキするだろっ! 近っ、近い近い……! ぁっ!)
男が手に触れる
「さ、触んな……これはちょっと切っただけで」
(あぁ、触られるの久しぶり……はぁ……)
「ん、大したことねぇってぜんぜん。このくらい……オレ、ケガしてもすぐ治るし」
(なんでこんな気持ち良いんだよ。すげぇ安心する。なんでそんな大事そうに……オレ、こんななのに、そんな風にするから惚れちゃったんだぞ……)
「んぅ……だいじょぶだって。いつまで握ってんだよっ!」
(このままずっと、もっと触って……)
「は、離せよへんたぃ。なんだよもぉ、んぅ、うざいっての……ぁっ」
(もう終わり? もっと……またケガしたら、握ってくれるかな?)
「ケガしないように気をつけて」
男が頭を撫でる
「んっ、なっ!?」
(あ、頭っ撫でて……ぅあ)
「お、おまえなにして、んっ、女の髪に勝手に触るとか、んぅ、さ、最っ低だぞ……ふぁ」
(これ……やばぃ! すげぇ気持ち良い!)
<カタカナの場合は特に息遣いを表現してほしいところです>
「離せよバカ。フ……フゥ、子供扱い、んっ、すんな!」
(はぁぁ、キュンキュン止まんない。これ、しあわせぇ)
「ふっ、ふぅん、んぅ、んふっ、フゥー、フゥー」
(ぁ、ダメだ……あたまボーっとして。これ変になる)
「ふっ、わ、わかった……ん、怪我しないように……ん、するから、んぅ」
(あったかくて、やさしくてぇ……はあぁ)
「んぅ、ん、フゥー、フゥー……ぁっ」
(やだ……もうおわり? もうしないのか? もっと……)
「ぁ、なんでもない。勝手に触んなバカ……そんなんだから気色悪いってんだよ……」
(頭に感触が残って……もっとしてほしい、もっと……。あぁもぉ、なにすんだよぉ。こんな、こんなことされたら……後でぜったいシちゃうだろ! ただでさえ癖になってんのに……寝顔見ながらスるの。こんなことされたら我慢できねぇよ……!)
男が目を丸くする
「何だよ? また変な顔して。食い終わったんなら風呂入れよ。さっき沸かしたばっかだから」
(風呂入ってる間に一回だけ……。こいつがあんなことするから。あんな優しく撫でるから。オレが悪いんじゃない。こいつのせいだから。こいつが優しくするのが悪いんだから……いっかいだけ、いっかいだけなら……シてもいい……よな?)
「どうした、入らねぇのか?」
「一緒に入らない?」
「ふぁ!? ふざけんなっ! 一緒になんか入るわけねぇだろ! バカか!?」
(一緒に風呂って……いや無理だ! だって裸だぞ!?)
「タオルで隠してもダメ?」
「た、たおる?」
(そ、そか、タオル巻くよなふつう。い、いやでも、タオル巻くったってやっぱ恥ずいし!)
「バカなこと言ってないでさっさと入ってこい!」
(……でも、あいつの裸……見てみたい)