Track 4

【海宮の癒し:時忘れの耳かき(右)】

心地よさに、さらに追い打ちを掛けましょう。 貴方様の右の耳…しばらく、私にお貸しくださいませ。 貴方様の国では耳を使ったお癒やしが盛んのようですが、 海宮でも同様のおもてなしがが不変不動の人気なのでございます。 私も…この珊瑚でしつらえた耳かきで、幾人もの客人様を蕩けさせ、時を忘れさせて参りました。 そんな風に言われると、期待してしまいますか? ふふ、 構いません。 心の底から期待なさって下さい。 その方が、私も腕のふるい甲斐がございます。 必ずや貴方様に、時を忘れさせてご覧に入れましょう。 まずは…、 (擦るSE) 耳の穴へと至る、複雑に入り組んだ耳の小径(こみち)を進みます。 うねくる谷と山を道なりに進みます。 (撫で擦るSE) (ゆっくり) 撫でながら…、 擦りながら…、 揉みながら…、 ほぐすように…、 さするように…、 進みます。 そうして…、 ようやく辿り着く、耳の穴の麓(ふもと)。 そのまま中に入る前に…、一旦停止。 確認作業。 中を確認致します…。 (覗きながら) まぁ…。 これは…これは、 穴の中に…黄色い珊瑚が…沢山…見えますね。 ひとかきで…溢れるくらい取れそうでございます。 (SE) これは、予想以上…。 予想以上に…ひとかきで…ザク、ザク。 宝の箱を開けたかのように…、ザック、ザク。 実に、素敵。 実に、素晴らしい。 これは、 私も、高まってしまいます。 耳かきを振るう手が…止まりません。 ザクザク。 ザクザク。 海宮に新しい…珊瑚の森ができる勢いでございます(笑)。 思わず、感心…。 これは、たまりません♪ これですから、耳のおもてなしはたまりません。 される方もたまらないと思いますが、 実は…おもてなしをする…私も…たまりませんのです/// 耳かきが…鯛やひらめのように、軽やかに舞い踊ると、 幾片もの珊瑚が…ひらひら…積み上がっていきます…、 快感。 耳かきを振るう度に、胸の…鼓動が激しくなります。 あぁ…。 耳の中が綺麗になるまでに、どうにかなってしまいそう…。 (SE) あぁ、 いよいよ…。 ついに…。 あれほどありました珊瑚が……、 尽きてしまいます…。 良いことなのですが…、残念です。 (身悶えしつつ)……っ。 ぁと……あと、ひとかき。 次のひとかきで…おしまいですね……。 この……ひとかき。 これが、 最後の…ひとかきで…ございます。 (SE) (喜びと悲しみ) あ………ふぅ…。 こちらの耳は……無事に…綺麗になりました。 なってしまいました…っ。 ですが…っ、 反対の耳がまだございますので…。 (嬉しそうに) 心地よさは…まだ。 まだまだ、続きます。 まだまだ、時を忘れていただきます…っ。