【海宮の癒し:時忘れの眠り】
緩やかな時の中で続く心地よさ。
飽きる事のない心地よさ。
それは、まさに心地よさの極みでございます。
その極みに、こんな味付けはいかがでしょう。
(取り出す)
これは、この海宮が建てられた頃に流れ着いたオウム貝の貝殻なのでございますが、
貴方様の耳に……そっと…当てますと…。
(貝の音)
まざまざと蘇る…太古の海の音。
海宮以前を…生きた音。
人間は、海から生まれました。
そして、人間の体には水分、血液には塩分…と、体の中に海を持っております。
それ故、
海の音に惹かれ、
波の響きに魅せられ、
潮の満引きに懐かしく感じ、
母たる海に還りたくなるのでございます。
(ゆっくり)
貝の奏でる音に、
心は…揺れて……締め付けられていきます。
心は…震えて……締め付けられていきます。
寄せては返し、寄せては返す。
右に。
左に。
変わらず、果てしなく、繰り返されていきます。
今までも、
そして、これからも。
母のいのちの音は、果てしなく、続いていきます。
過去から、
そして、未来へ。
生物のいのちの音は、果てしなく、続いていきます。
心地よさも…同じ。
果てしない。
終りが見えません。
もう、このまま…、
このまま、心地よさに委ねてしまいましょう。
いのちの音をゆりかごに。
このまま、意識を委ねてしまいましょう。
右に…左に…意識は揺れます。
揺れて、揺れて、意識は落ちていきます。
右に…左に…揺れながら、
意識はだんだん、落ちていきます。
だんだん、だんだん、落ちていきます。
心地よさに同化するように、落ちていきます。
たまらない。
それが、たまらない。
どんどん、どんどん、落ちていきます。
心地よさに同化するように、落ちていきます。
たまりません。
それが、たまりません。
落ちて、
落ちて、
落ちて、
落ちていきます。
もう、
心地よさが貴方様。
時を気にせず、ただ、ゆ(溜め)っくり、お休み下さいませ。
もう、
心地よさそのものが、貴方様。
時を忘れて、ただ、ゆ(溜め)ったり、お休み下さいませ。
もう、
心地よさ自体が、貴方様。
時を忘れて、ただ、じ(溜め)っくり、お休み下さいませ。
心地のよい夢の世界を…思う存分…楽しんで下さいませ♪