Track 3

【イヤシの一:イヤシの始まり】

イヤシマの小さな孤城の中、 定期的に訪れる者のためにしつらえられたスイートルーム。 その豪奢(ごうしゃ)な部屋へと案内されます。 「「扉を開けるだけで目の前に海が広がり、数歩進むだけで美しい海の中を冒険する事も可能です。 バルコニーからの眺望は…、もはや、説明は不要ですね(微笑)。 ともかく、 まずは、お座り下さい。 イヤシをもたらすためには、心と体、共に落ち着かせねばなりません。 (コップ) (炭酸SE) どうぞ、召し上がれ。 短くはないイヤシの日々の始まりはこの飲み物から始まります。 私たちもこれに目がなく、欠かした日はありません。 天然の炭酸水に果実の搾り汁をくわえたものですが、 爽やかで涼やかな飲み心地が、貴方の体の中から…イヤシをもたらします。 (乾杯:チン) (一口:ごくり) す~っと、口の中に溢れる、果実のかすかな甘味と酸味。 かすかに弾ける炭酸とはほどよいバランス。 飲み下すと、涼しい流れのまま、喉を降りていき、 口の中に残る、微かなすっきりとした後味と余韻。 それが消える前に、さらに一口。 (二口:ごくごく) ふたたびの、涼やかな流れ。 口の中から、喉の奥へ、 爽やかな清涼感が広がっていきます。 一口が呼び水になって、 さらに… 。 (ごくごく) 止まらない。 一口が、さらなる一口を呼びます。 (ごく) 喉の渇きとは関係なしに。 (ごくごく) 止まらない。 (ごくごく) さらなる一口が、終わらない。 (ごくごく) 繰り返し、繰り返す。 (ごくごくごくごくごくごくごくごくごく) 次第に、 貴方の全身にまで、清涼感が広がっていきます。 (ゆっくり) お腹から、胸、腰、ふともも、膝、すね、足の裏。 お腹から、胸、肩、上腕、肘、前腕、手のひら。 お腹から、首、耳、鼻、目、額、髪の毛。   (囁き) 貴方の体、 すべての細胞が、ひと心地。 清々しさに、包まれていきます。 (ごくごく) 貴方の体、 細胞が一つ残らず、ひと心地。 爽やかさが、染み入っていきます。 (ごくごく) 爽やかで、清々しい気分。 それが、イヤシ。 (ごく) 爽やかで、清々しい気分。 これが、イヤシ。 (最後の一口:ごくりっ) ……。 これが、始まり。 爽やかな美味しさから始まる。 イヤシの下地を整えた…今。 これからが、真の始まりです。 真(しん)なるイヤシへ、さらなる一歩を踏み出しましょう」」