【イヤシの三:双子の膝枕と耳かき(右)】
「「イヤシマを囲む海のイヤシを堪能した後は、再び、お部屋に戻ってのイヤシ。
それは、私たちが仕える神も絶賛のイヤシ。
海のイヤシとはまた別の素晴らしさがあります。
それがどんなものか…。
気になってますね。
わかります。
(ゆっくり探るように)
貴方のはやる気持ち、
貴方の猛る気持ち、
私たちの胸に…こう、ビン、ビン、と、伝わってきます。
わかりますが、
その気持ちは一旦、抑えて。
深呼吸。
イヤシを感じて、あくまでも自然体に。
はい。
いいです。
いいですね。
そうしたら、
ゆ(溜め)っくり、体を横にしてみて下さい」」
(SE)
「いえいえ。
横たわるのは、ベッドではありません。
(ポンポン)
ここ。
私、ナーサティヤのふともも。
ふとももです。
(ポンポン)
ここに、頭を乗せて下さい。
ふとももを、枕に見立てるさまを、膝枕、と言います。
膝枕こそ、一番イヤシに近いと言われる枕。
本来なら、私とダスラ、二人のふとももで膝枕をしたいのですが、
それだと、寝心地が快適とは言えません。
膝枕は、寝るのもするのも、一人が理想的。
ですので、
ダスラは一時、お休み。
先に、膝枕の大役を務めるのは私からになります。
さぁ、遠慮はいりません。
どうぞ、(ポンポン)お乗せ下さい。
膝枕の寝心地を味わって下さい。
(SE)
(慈しむように)
貴方の頭を、受け止めました。
ふんわりとした私の太ももが、しっかりと、受け止めました。
(SE)
張り。
柔らかさ。
ぬくもり。
そして、馥郁(ふくいく)とした香り。
全てが、普通の枕ではありえない、気持ちよさ。
太ももに触れている貴方の頭を、優しく包みます。
(ゆっくり)
まずは、どうぞ、そのまま。
膝枕の寝心地を、堪能して下さい。
その、張り。
その、柔らかさ。
その、ぬくもり。
そして、かぐわしい香り。
全てが、普通の枕ではありえない、心地よさ。
太ももに触れている貴方の頭を、穏やかに包みます。
どうぞ、そのまま。
膝枕の寝心地を、味わって下さい。
張り。
押したら返す、弾力。
柔らかさ。
泡に触るように融(と)けてしまいそうな、柔肌。
ぬくもり。
南の国の暖かい夜を思わせる、ぬくもり。
香り。
花弁のようにこぼれ落ちる鮮やかな、香り。
そうして、
寝心地にひと心地ついたら、
そ…っと、頭を撫で始めます。
優しい、愛撫。
ふとももは、じんわりと、貴方を包み込む。
母のような力強さは、勇気を与えてくれる。
それは、この先、どんな困難に出会っても、乗り越えていける。
そんな風に思わせる、安心感。
ぬくもりが、貴方の力になる。
穏やかな、愛撫。
ふとももは、しっとりと、貴方を包み込む。
母のような暖かさは、慰めを与えてくれる。
それは、この先、どうしたらいいか、どう生きていったらいいか。
そんな人生の指針をも指し示す、安堵感。
ぬくもりが、貴方の支えになる。
太ももは、単なる肉体の一部ではありません。
精神的で、宇宙的。
寝ている貴方を蕩(とろ)けさす、イヤシの宿る場所。
だからこそ、
膝枕で見る夢は、格別…。
格別なのですが、まだ、尚早。
さらなるイヤシを重ねた後のお楽しみ。
この、み、み(耳)。
貴方の、この耳を使って、イヤシを重ねていきます。
実は、この耳こそ、イヤシのためにある。そう言っても過言ではありません。
人体に隠されたイヤシの扉。
それを開け放っていきます。
耳の裏。
小指で、そっと、触れる。
いえ、触れるか、触れないか。
そのくらいの力加減で…撫で始めます。
外側から、内側に。
円を描くように、撫でます。
耳の付け根。
下から上に向かって、優しく、擦る。
擦ります。
耳の裏から、耳の表に移動。
耳の縁(ふち)。
ここを、上から、下へと、擦ります。
もちろん、触れるか、触れないか、微妙な距離で、擦る。
擦ります。
続いて、うねくる耳の溝を、強弱をつけて、擦る。
擦ります。
さらに、耳たぶ。
ここは、指で…挟むようにして、優しく引っ張る。
そして、揉むようにしてほぐします。
最後に、耳の穴。
この耳の穴は、穴の縁を擦るように…、
一周。
また一周。
また、一周。
もう、一周。
さらに、一周。
十分、擦り終わったら、
指先を…穴の中に、挿入。
ただ、挿れるのではなく、小刻みにする。
小刻みに、出し挿れ。
こうすることで、
イヤシが、近づいてきます。
一歩。
そして、また一歩。
さらに一歩、近づいたところで、
一気に、抜き去る。
ふ~~~~っ。
すかさず、不意をつくかのように、耳への息。
これで、貴方の耳に近づいていたイヤシを、がっちり、捕まえる。
耳から感じる…確かなイヤシ。
このイヤシをさらに、高める。
高めて、積み重ねる。
そのために、さじにも似た、この小さな棒きれを使います。
耳かき。
耳の中を掃除するための道具です。
これこそが…イヤシの、
いえ、言葉で説明するのはやめておきましょう。
実際に味わってもらえば、すぐにわかります。
右耳が真上になるよう、体を横向きに。
(SE)
私の目の前に貴方の耳の穴。
露わになった耳の穴。
こんなにも、丸見え。
丸見えです。
丸見えなので、耳かきを入れやすい。
このまま。
じっと、動かず。
そのままの態勢で。
そうすれば、問題なく、耳かきを迎えることが出来ます。
(挿入)
静かに、あくまでも、静かに、耳かきが、耳の穴の中に、入っていきます。
耳の中のうぶ毛をかき分けながら、中に入っていきます。
元々、この耳かきは耳の中を掃除する事にも使うもの。
ですが、それ以上に、イヤシを呼ぶ魔法の杖。
いえ、杖ではありませんね。
これは、イヤシを招く、魔法のさじ。
ゆっくり、
耳の中を探るように、さじの先を潜らせる。
貴方の全身の神経が、耳の穴に集中。
さじの先は、
穴の浅いところを、覗くように、軽く、潜って…、
一旦、穴の外へと…引き返す。
こうする事で、
貴方の全身の神経が、さらに、耳の穴に集中。
改めて、耳の中へ、
貴方の、体の内側に、入る。
貴方の、無防備な身体の内側に、入る。
耳垢だらけの、耳の中へ、入る。
大小様々の耳垢が潜む、耳の中へ、入る。
瞬間、
ぞくぞくっと、体が震える。
イヤシが、耳にやってくる。
耳の中の浮いた耳垢を、かき出す。
瞬間、
ぞわぞわっと、体が震える。
イヤシが、耳から走り抜ける。
耳の中の浮いた耳垢を、かき出す。
ゾクゾク、体が震える。
イヤシが、耳から駆け巡る。
耳の中のこびり付いた耳垢を、剥がし取る。
ゾワゾワ、体が震える。
イヤシが、全身へ走り抜ける。
耳の中のこびり付いた耳垢を、遅滞なく、剥がし取る。
ゾクゾク、体が震える。
イヤシが、全身へ駆け巡る。
耳の中で、耳かきが踊る度に、イヤシが高まる。
耳の中で、音がする度に、イヤシが高まる。
まだまだ、これから。
まだまだ、始まったばかり。
(SE)
そして、
耳かきはさらに、奥へ。
耳の中の奥へと、入り込む。
耳の中の壁に、さじの先を、敢えて、あてる。
瞬間、
ぶるっと、体が震える。
イヤシが、耳から走り抜ける。
耳の中の壁に、さじの先が、敢えて、触れる。
瞬間、
ぶるっと、体が震える。
イヤシが、耳から駆け巡る。
耳の奥に張り付いた耳垢を、剥がしていく。
(ぺりぺり)
かさぶたを剥がす時のような、音。
耳の中で壁紙と化した、大きく、薄い耳垢を剥がしていく。
(ぺりぺり)
イヤシが高まる。
イヤシが膨れあがる。
剥離させた耳垢を、
ピザ生地のように薄くて大きい耳垢を、
耳かきのさじから、落とさないよう、
慎重に、
ゆっくり引き上げ、
外へと、出…す。
耳垢を抱えた耳かきが、外へと出た瞬間、
外気が耳の穴に入り込む。
(囁き)
ひんやり。
耳の通りがよくなり、
音がより、聞こえる。
私たちの声も、より、聞こえる。
その、爽快感。
爽快感で、イヤシが頂点」
イヤシが高まりきって、頭の中が真っ白になる。
イヤシは空のように、無限に広がっていきます」
【イヤシの四:双子の膝枕と耳かき(左)】
「続いては、反対の耳。
当然ですね。
両方の耳にイヤシを招きます。
その前に、
ナーサティヤの太ももから」
「私、ダスラの膝枕に交代。
(SE)
寝心地に一切、変化はありません。
私たちは、名前以外、なにからなにまで、瓜二つなのです。
相変わらずの、気持ちよさ。
変わらぬ、心地よさ。
心の底から安心出来ます。
張りのある、弾力。
融けるような、柔肌。
暖かい、ぬくもり。
鮮やかな、香り。
変わらない。
ナーサティヤも私も同じ。
同じ楽園。
膝枕という楽園。
楽園はイヤシを呼ぶ。
この耳が、イヤシを…呼びます。
耳の穴の上の三角窩(さんかくか)を、
耳かきのさじで、なぞる。
ほどよい強さで、なぞる。
同じ場所を、なぞる。
弱い刺激、
弱い刺激だからこそ、全身の意識が集中。
集中していきます。
その集中が高まった頃合いを見計らって、
耳のツボを、刺激する。
ツボ…それは、人の体にある、経穴。
ここを刺激すると、血液の循環がよくなり、頭の回転が促進され、血液が体のすみずみまで行き届くようになる。
ストレスは解消され、内臓を丈夫にする。
さじでなぞりながら、力加減を調節し、耳のツボを刺激していきます。
その度に、
体がひくひく震える。
その度に、
体がぷるぷる震える。
すると、
耳かきのさじは、大きく進路を反れ、
耳の大外、耳輪の窪みをなぞっていきます。
堀の深い窪みを、ゆっくり、時には速く、時には、往復するかのように、なぞる。
なぞっていきます。
耳元の振動が、さらに、感覚を敏感にする。
耳に走る曲がりくねった小径を、なぞる。
なぞっていきます。
耳元の振動が、さらにさらに、感覚を敏感にする。
耳に走る曲がりくねった小径を、なぞる。
なぞっていきます。
そうして、ようやく、
耳の穴に、舵を取ります。
円を描くように、耳の穴の入り口を、なぞる。
地球を回る月のように、周る。
何度も、周る。
何度も、なぞる。
何度も、耳の穴の中に入りかけて、くるっと弾かれる。
何度も、周る。
何度も、なぞる。
耳の穴の浅いところで生えている耳の毛にわざと触れて、反転する。
入りそうで、入らない。
この、もどかしさ。
体中が、ぞわぞわする。
入り口を旋回するように、くるっとなぞる。
地球を回る月のように、周る。
幾度も、周る。
幾度も、なぞる。
幾度も、耳の穴の中に入りかけて、くるっと、弾かれる。
幾度も、周る。
幾度も、なぞる。
耳の穴の浅いところで生えている耳の毛にわざと触れて、反転する。
入りそうで、入らない。
この、切なさ。
体中が、ぞくぞくする。
それでも、動かないで下さい。
もどかしくても、このまま。
切なくても、じっとこのまま。
言い聞かせるように、
耳をぐいと引っ張り、耳の穴を広げる。
そして、今度こそ、
耳の中へ、舵を切る。
(挿入)
静かに、耳かきが入っていきます。
一面のすすき野原をかき分けるように、耳の中を進みます。
耳の毛を右に左に倒しながら、進んでいく。
その度に、
ぞくぞくっと、体が震える。
イヤシが、耳にやってくる。
(SE)
耳の穴の毛を擦る。
イヤシに震える。
イヤシが、耳を駆け巡る。
耳の穴の毛を撫でる。
イヤシに揺れる。
イヤシが、耳から走り抜ける。
耳の穴の毛をさする。
イヤシにおののく。
イヤシが、全身へ駆け巡る。
耳の中で、耳かきが舞う度に、イヤシが高まる。
耳の中から、耳垢がかき出される度に、イヤシがこみ上げる。
耳の中で、音がする度に、イヤシが高まる。
耳の中から、耳垢がかき出される度に、イヤシがこみ上げる。
耳かきが、耳の奥へと入り込む度に、イヤシが高まる。
耳かきが、耳の奥の耳垢を剥がす度に、イヤシが高まる。
粉状の耳垢。
平べったい耳垢。
薄黄色の耳垢。
頑固に張り付く耳垢。
あらゆる耳垢を、かき出し、
あわゆる耳垢を、剥がしていきます。
取りこぼしなんてありません。
完全に、綺麗。
完璧な耳の穴。
(囁き)
耳の通りがよくなり、
音がより、聞こえる。
私たちの声も、より、聞こえる。
その、爽快感。
この、爽快感で、イヤシが極まる。
極まって、頭の中が真っ白になる。
イヤシは宇宙のように、無限に広がっていきます」