02_寝かし付けと言えば……狐数えじゃな!!(19:25)
「……うーむ……やはり……寝かし付けといえばまずは……あれじゃな、あれじゃあれじゃ」
「やはり眠れないときは狐を数えるに限るのじゃ。うむうむ」
「……なんじゃ、その顔は。「数えるのは羊では」と言いたそうな顔をしておるな、お主」
「……はあ、何も分かっておらんのぅ。ほれ、よく考えてみい? 1匹や2匹ならともかく、羊の群れに周りを取り囲まれたら暑苦しくて眠れなさそうであろう?」
「その点、狐はとても可愛らしいのじゃ。周りを狐に囲まれれば大層幸せな気分になろう。1匹でも可愛らしいが増えれば増えるほど可愛らしい、間違いないのじゃ」
「というわけで……お主が心地よく寝られるよう、妾が狐を数えて進ぜよう」
「妾が数えるのでお主は頭の中で想像するなり、頭を空にして妾の美声に微睡むのもよし、じゃ。狐を想像するのであれば……狐の種類は好きにするが良いぞ。狐はどの狐でも可愛らしいのでな、ふははっ」
「では……狐を数えるとしよう。妾の声を聴きながら、それも狐を数えられて眠れるなんて……なんとまあ贅沢なことじゃ」
「さて……それでは……お主は何匹目まで起きていられるかのー?」
「……こほん」
「狐が1匹」
「狐が2匹」
「狐が3匹」
「狐が4匹」
「狐が5匹」
「狐が6匹」
「ふははっ、6匹もおったら可愛らしくて仕方なかろう。だがの、まだまだ増えるのじゃぞー?」
「狐が7匹」
「狐が8匹」
「狐が9匹」
「狐が10匹」
「想像しただけで幸せじゃろう? 周りを狐に囲まれて眠りに落ちるのは」
「狐が11匹」
「狐が12匹」
「狐が13匹」
「狐が14匹」
「狐が15匹」
「狐が16匹」
「狐が17匹」
「こんこんこん♪ こんこんこーん♪ 可愛かろう可愛かろう」」
「狐が18匹」
「狐が19匹」
「狐が20匹」
「狐が21匹」
「狐が22匹」
「狐が23匹」
「狐が24匹」
「もうこれは……部屋の中が狐でいっぱいになっておるな。何という幸福感なのじゃ」
「しかしな……むふふっ、まだまだ増えるのじゃ♪」
「狐が25匹」
「狐が26匹」
「狐が27匹」
「狐が28匹」
「狐が29匹」
「狐が30匹」
「……はて……これほどまでに狐に囲まれてしまっては……幸福感で目が覚めてしまうのではと心配になってくるのう……」
「狐が31匹」
「狐が32匹」
「狐が33匹」
「狐が34匹」
「狐が35匹」
「狐が36匹」
「狐が37匹」
「むふふっ、妾、狐を想像しながら数えていたら……とてもふんわりと心地よくなってきたのじゃ……」
「狐が38匹」
「狐が39匹」
「狐が40匹」
「狐が41匹」
「狐が42匹」
「狐が43匹」
「……もはやここは……天国じゃ……狐天国じゃ……むふっ、むふふっ……」
「狐が44匹」
「狐が45匹」
「狐が46匹」
「狐が47匹」
「狐が48匹」
「狐が49匹」
「狐が50匹」
「狐が51匹」
「狐が52匹」
「狐が53匹」
「狐が54匹」
「狐が55匹」
「狐が56匹」
「狐が57匹」
「……あ、あまりに幸福過ぎて……妾も少し……微睡んできてしまっているのじゃ……むにゃむにゃ……」
「狐が58匹」
「狐が59匹」
「狐が60匹」
「狐が61匹」
「狐が62匹」
「狐が63匹」
「狐が64匹」
「狐が65匹」
「狐が66匹」
「狐が67匹」
「狐が68匹」
「狐が69匹」
「……いかん……もう寝床どころか……台所や玄関まで……狐で溢れかえっておる……」
「わ、妾……想像しただけで……顔が綻んでしまうのじゃ……」
「狐が70匹」
「狐が71匹」
「狐が72匹」
「狐が73匹」
「狐が74匹」
「狐が75匹」
「狐が76匹」
「狐が77匹」
「狐が78匹」
「狐が79匹」
「狐が80匹」
「……こんこん♪ むふっ、むふふっ……毛繕いしている姿も……可愛いのぅ……」
「狐が81匹」
「狐が82匹」
「狐が83匹」
「狐が84匹」
「狐が85匹」
「狐が86匹」
「狐が87匹」
「狐が88匹」
「狐が89匹」
「狐が90匹」
「狐が91匹」
「……ほれほれ、ついにはお主の布団の中にまで狐が……むふっ、むふふっ……」
「狐が92匹」
「狐が93匹」
「狐が94匹」
「狐が95匹」
「狐が96匹」
「狐が97匹」
「狐が98匹」
「狐が99匹」
「狐が100匹」
「狐が101匹」
「狐が102匹」
「狐が103匹」
「狐が104匹」
「狐が105匹」