第2話 サキュ姉と同居
主人公の家のドアの前
サキュ姉 「ここがあなたのお家ですか?」
サキュ姉 「あの!あの!お願いがあるんですけど!」
また距離が近いサキュ姉
サキュ姉 「私、是非中を拝見したいんです!人間の方がどういったところで日々の営みをするのかすごく興味があるんです!」
サキュ姉 「わー、ありがとうございます!早く、早く入れてください!」
場面転換
お茶を出す主人公
サキュ姉 「お部屋の中は狭くても機能的なんですね……あ、おかまいなく……それではいただきます」
しかしお茶をすぐ飲むサキュ姉
サキュ姉 「んぐ…はぁー、ふふふっ、実は喉かわいていたんです。あ、お菓子食べませんか?珍しくていっぱい買っちゃんたんです」
ビニール袋からお菓子を取り出すサキュ姉
サキュ姉 「これ食べましょう!さっきのたけのこ、とっても美味しそうですよね?ね?」
またキラキラと見るサキュ姉
サキュ姉 「あ、そうでした。落とし物ありがとうございます!……はむ……美味しいです……タケノコ当たりですね」
サキュ姉 「はむはむ……え?私がどこから来たか…ですか?んーそうですね、すごく遠いところです」
サキュ姉 「ホッカイドウ?この国の北の果てでしたっけ?いえ、もっとずーっと遠いところです!……よかったらタケノコどうぞ」
サキュ姉 「カンコウ?いえ違うんです、んー……実はですね……妹が家出したんです」
サキュ姉 「えぇ、かれこれ一月程連絡もなく、心配で探しに来たんです」
サキュ姉 「あ、いえ、妹はさっき見つけられたので大丈夫ですよ……でも実は困った事になりまして……はぁ」
困った顔をするサキュ姉
サキュ姉 「え……今力を貸していただけるって……私、まだ何も話していないのにどうして……」
サキュ姉 「困った時はお互い様……あなたは……バカショウジキに親切な方なんですね!」
サキュ姉 「あれ?意味が違いましたか?んー、学生の時にこちらの言語もしっかり勉強しておくべきでした……とにかくあなたはいい人です」
ニヘリと笑うサキュ姉、すこし笑みを緩め覚悟を決めたように言う。
サキュ姉 「……あなたにならお話ししてもいいかもしれません」
サキュ姉 「それでは……私の眼を見てください……最初に謝っておきますね……ごめんなさい!魔眼発動……あなたは動けません」
魔眼発動 身体拘束タイプ
サキュ姉 「ふふっ、驚きましたか?これは魔眼と言って相手を拘束するサキュバスの特技の一つです」
サキュ姉 「はい!サキュバスです。魔界の住人です。あ、こちらが名刺になります」
名刺を出す (名前だけ魔界言語表記なので読めない。他は日本語)
サキュ姉 「キャッチコピーは男を惑わす妖艶なる魔界の華……これちょっと恥ずかしいんです」
不安そうな主人公
サキュ姉 「あ、いえいえ、全然とって食べたりしませんからご安心ください。……先に魔眼をかけさせて頂いたのは、これから見せる姿に驚かないようにです」
サキュ姉 「視界歪曲……解除」
サキュ姉ここからちょっと仕事モード
サキュ姉 「ご覧の通り私は魔物です。そして妹も……だから問題なんです。ただ人間界への興味で家出をしたのならば連れて帰っておしまいです」
サキュ姉 「……しかしあの子は仲睦まじく人間の方と暮らしているようでした……何かの契約や主従ではなく、ごく自然な立ち振る舞いで」
サキュ姉 「人と魔物は相容れません、いえ……長い間相容れなかった存在です。私達、魔界では人との交流を段階的に推進して行く事業を計画していますが、それでも100年はかかるという試算です……それをあの子はたった一月で……」
サキュ姉 「好き……あの子が……人間の方をですか?……あのー全然驚かないんですね。私、角とか尻尾とか生えてますけど怖くないんですか?」
主人公の素朴な反応に、仕事モードで喋っていた事に気づくと同時にほっと息を少し抜く
サキュ姉 「……ふふっ、そうですか。あなたにお話ししてとてもよかったと思います(ニコリ)」
サキュ姉 「あら……どうかしましたか?お顔赤いですよ?……はっ、これは『恋』かもしれません!」
サキュ姉 「なら私は、姉として、魔界の代表としてあの子を見守らなければなりません……私も住む場所を探さないといけませんね」
サキュ姉 「はぁ……もしよかったらしばらくここにいてもいい……ここなら近所でとても助かりますけど、ご迷惑では」
サキュ姉 「いいんですか……ありがとうございます!あなたは本当にオヒトヨシなんですね!」
悪気一切なく満面の笑顔
サキュ姉 「あれ?意味が違いましたか?とにかく、そう!やっぱりあなたはいい人です!」
その時玄関のチャイムが鳴る
サキュ姉 「あ……お客様みたいですね。んー、魔眼はあと3分は解けませんから私が出てきます……ご安心ください、上手くやりますから。視界歪曲……干渉」
歩いていきドアを開ける遠くの方からサキュ姉の声が聞こえる
サキュ姉 「はい、どちら様ですか?はぁ、オオヤさん……カイランバンですか?……はい…はい!んー、えっとですねー、実は……姉なんです!しばらくこちらにお世話になることになりまして、はい!よろしくお願いします。それでは」
ドアが閉まる、サキュ姉歩いて来る
サキュ姉 「これオオヤさんからです。このカイランバン?という紙を渡すように頼まれました」
サキュ姉 「はい、オオヤさんには、あなたの姉だと伝えておきました。そちらの方が角が立たないと思いまして……あ、私は角がありますけどね(ニヘリ)」
サキュ姉 「はい!よろしくお願いします!え?私の名前ですか、さっきお渡しした名刺に……あー、名前は魔界言語表記でしたね……んー、では『サキュバスのお姉さん』とでもお呼びください」
サキュ姉 「サキュ姉……それいいです!私の事はサキュ姉と呼んでください」
サキュ姉 「ふふっ、ということなので、今から私の事を姉と思ってください!私もあなたの事は弟と思いますので!……しばらくご厄介になります!」