Track 6

■トラック⑥『どうして貴方は、こんな私に、まだ優しくするんですか?』

あ...若旦那様私、急いでおりますので失礼します。あのっ...何か、話してくれてるみたいですが...聞こえませんそれに、女将さんに言いつけられて、届けるものが...本当にとても急ぎなので...行きますね若旦那様...?どうして、こちらに?今夜は...大事なお客様が来るから、お座敷に、いるのでは...無かったですか?ほら、裏方になど、いないで...早く、お戻りくださいませ。若旦那様は、こんな場所にいる方では、ありませんここ...煤だらけ、ですよ...わ、私も、別の仕事がありますすぐに、行かないと、怒られてしまいますから...では、これで...ん、お疲れ様です、では...っ!?あ...あの、手を、離してくださいませんか?私、ええと...まだ仕事中ですので...ここに、いるわけには、いかないの...ですが。んぅ...んん...離して、くれない...はあぁ...わかりました逃げたりしませんので...お願いします...それで、一体何の御用ですか?お願いされても、私では多分...お役に立ちません。どうぞ...他の、もっとできる者に、頼んでくださ...ん、これを読めと?ふぅ...いいえ、避けているわけでは...ありません。ただ、本当に...その、仕事をしている、だけです最近...お部屋に行かないのも、忙しいからです...今日はもう、終わっているはずと...何故、若旦那様がそれを、知っているんですか?働きすぎだなどと...そのような気遣い、必要...無いです私たちは、雇い主と使用人...それ以上の、特別な扱いは、しないでください若旦那様であるあなたが、それでは...他の使用人に、し、示し?が付かないです。特別だから...とは、何ですか?...若旦那様、何か勘違いを、されているのではないですか?確かに、私は若旦那様と体の関係を...何度か持ちましたでも、それだけです何か、特別な扱いを要求したりなど...しません私も、そのような割り切りくらい、ちゃんとできます。そもそも...別に私はそういう... 20例えば、恋人のような関係に、なりたいわけじゃ...ありません。そ、それに...私などとしても、つまらなかった、でしょう?上手にご奉仕ができるわけでもない、ただの、小娘ですどうしてもと言うなら...お仕事、としてまた...いえ...せ、専門の女の人に、頼んでください。私みたいに、愛想が無いわけでも...面倒でも、無いですし綺麗でお上手で、会話だって、ちゃんと出来て...その方が、楽しいと...思います、からっ...あ、あの...今度は何を、書いているん、ですか?もういいですよね?私、そろそろ仕事に、戻らないと...え...?隠してることなんて...な、ないっ...無いです本当に、あ...ありませ...やめてください、じっと...見ないで...うぅ、ぐすっ...どうしてですか?どうして、そんなに優しくして...くれるの、です?これだけ嫌なこと言ったのに、嫌な態度取ったのに...全然、怒ってる顔...してないじゃないですかむしろ...逆心配そうな顔してる。その顔はだめです...本当にだめなんですだって、だって...我慢が...うぅ、はぁはぁ...えぐ、んんぅ...できなくなる本当に、ぐす、あぅ...うぅ、困るんです。今さら、もう、どうにもならないのに嫌な子だって...あんなに優しくしてやったのに、あまりにも恩知らずだって...思いましたよね?愛想が無い...つまらない奴だって...頷いてくださいっ身勝手な女だ、もういらないと...興味を無くしてもらえたら、楽だったのに......どうして...どうして貴方は、こんな私に、まだ優しくしようと、するんですか...っ私なんかに...私、なんかに...うぅ、ひぅう...やめてください。これならいっそ、無関心も通り越して、嫌われた方がよかった...うぅ本当に...もう、許してくださ...ぐす、ぐすっ...し、失礼します...!