Track 5

5.最近の日常

よっ。あー、その、なんだ、相変わらずお前、昼間は教室で本読んでるだけだね。たまには友達つくろうとかしないわけ?肩身狭くないの?......へー。まあ、慣れってのはあるか......。私は絶対イヤだけどな。いくら周りが偏差値マイナスレベルの下等集団だからって、交友関係を蔑ないがしろには出来ないだろ。それ、人生の鉄則。分かる?ま、ぼっちさんには理解不能ですかね。はは。ははは......。......最近さぁ、思うんだ。馬鹿馬鹿しく聞こえるかもしれないけど。ひとはひとと繋がってないと、ひとじゃなくなるのかなーって。......哲学者を気取るつもりはないよ。ふとそう思っただけ。こんな話、周りに出来るわけないし。でさ。私やお前は、「自分は他者より物事を深く考えて、理解してる」だとか、「今さえよければいい、みたいな、いわゆる刹那主義を見下してる」だとか、そういうもの抱えて生きてるじゃん。でもさ、当たり前に生きるには、そんな連中ともつるんでかなきゃだし、もしそれをやめて孤独になったらとか考えて、......あ。何か、愚問だったね。だって、よく考えればさ、答えはお前の存在そのものだもん。お前は誰とも接しなくても生きてるもんな。って事は、割と大丈夫なわけか。自問自答しちゃった。言った通り馬鹿みたいだな、あはは。あ......でもひょっとして、それ、お前が生きていられたのって、私が常に近くにいたから......なのかな?繋がってなくても、似た考えの持ち主が近くにいたから......。ねえ。やっぱり、私に想い伝えられた瞬間って、嬉しかった?どうなの?......そうか。まあ、そりゃそうだな。共感も理解も嬉しいもんな。......ん?......だから、別にどうもしてないって。たまに湧き水みたいに、途方もない考えが頭をよぎるんだよ。本の読みすぎかな?それとも、お前と話してるせいかな?最近はその頻度が増えた気がする。裏と表、どっちも外に出しちゃってるから......かもね。あはは......。......んぇ?なにさ、いつものって。ああ、サンドバッグ?別にいいよ、今日は。あんまり溜まってないから。お前にぶつけてる効果が、少しは出てるって感じ。ありがとね~。......出た、そのリアクション。もはや一芸と化してない?なに、私はキモイって言えばいいの?それがまた私のストレス解消?何か、キモイって思うだけでプラマイゼロな気がしてきたんだけど......。まあいいや。はいはい、キモイキモイ。......ふふ。なんだよー。別にそんなんじゃないよー。キモイと思ってるよー。ほんとー。......、......なあ。なんかその、いつも私さ、お前に話......聴いてもらってるじゃん。嫌気とか、差さない?それこそストレス感じない?......ああそう。ま、いいんだけど。私は知ったこっちゃないし。いやーでも、うん、たまには、さ、お前が話してもいいんだぞ。......、う......そんなんじゃッ。ただ喋り疲れただけ。それだけ。そう、愚痴の垂れ流しも飽きたからさ、聞き役だってしてやるよ。お前いっつも「分かる」とか、そんなんばっかりじゃん。同意も良いけど、少しは考えとか......教えてくれよ。 ......うん。今日はちょっと、静かにするからさ。