04
ん、じゃあ今度はあっちを向いてくれるかしら。
見える風景が変われば、退屈しないでしょう?
ああ、でも、私のご耳愛は退屈と似たもののはずだから…まぁいいわ、はじめるわよ。
んっ
んんっ
んあっ
あっ
ふぅ~、ふぅふぅ、ふぅ~。
ふぅ~~。
あ、いい風が入ってきたわね。
夏の夕暮れって、なぜかどの季節よりも、もの悲しくないかしら?
おひさまが元気なうち、景色は、はっきりきっぱりした彩度をしてるのに、日が沈むにつれ、世界はくすんでいくでしょう?
色は、夜一色に染まるほうが好きかしら?
ん、それが楽だから…色もひとりで居続けるのは、大変、ね…そうね。
でも、今は私がいるわ…君は暮れゆく夏の日に、ひとりじゃない。
夏の暑さと体温の違いを比べられるくらいにね。
んっ
んんっ
んしょ
んあっ
ふう~、ふぅふぅ。
ふぅふぅふぅ~。
ちょっと光、まぶしい?
なら、目を閉じてて。
そう、色は黒になじんでも、感じられるでしょう。
耳かきの音と、私の体温と…。
君に寄り添ってるものだけを感じてて。
色はひとつだけど、心は二つ。
私はここにいるわ。
んっ
んんっ
んっ
んしょ
んぁっ
ふー、ふぅ、ふぅ~。
ふぅ、ふぅ~ふぅ。
んっ
んあっ
んっ
んっ