Track 5

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※ (団扇であおいでくれている) ふーん、ふふーん、ふーん… あら、目が覚めたかしら? 君、ちょっと眠ってたのよ。 時間は…君の寝顔みてたから、わからないわ。 さすがにずっとはつらいから、膝枕は外させてもらったわ。 でもずっと、穏やかな寝息で、いたから、ふふ。 はい、目が覚めたんだし、これでも飲んで。 のど、乾いてるでしょう? ん、アイスティーよ。 私お気に入りの紅茶とミントを水出ししてみたの。 ちゃんと甘みも効かせてあるわ。 そんなに急いで飲む必要ないのに…外…そうね、すっかり夕闇色になったわ。 セミよりもひぐらしの時間ね。 くすんで一色(ひといろ)に溶ける世界を見て、満足かしら? 意地悪、ね…まぁいいじゃない。 私…あぁ、自分が対価を支払えたかって事? そうね… 君の寝顔みたから、満足って事にしておいてあげようかって思ったの。 でも、耳かき中のふーふーも足りなかったし…それに、まだ、夏と私の違い、教えきってないからね。 ん、じゃあもう一度、ベッドに寝てくれる? で…私も、君に沿って…君、もうちょっと横にずれて…んしょ…はい、ぴったり。 ふふ、これで膝枕より、ちゃんと私が伝わるでしょう。 で、こうする。 ふぅ~ふぅ、ふぅ。 ふぅ~、ふぅ~ふぅ~。 ちゅ、っちゅちゅ。 どうかしら、夏の暑さと私の違い。 ふぅ~ふぅ、ふぅ~。 てっぺんから照りつける太陽をあびて流れる汗と、心からわき上がる、ほっとする熱、違うでしょ? 夏でも、くっついてたいのが、人のぬくもり…。 ふぅ~ふぅ。 ちゅっちゅ、ちゅ。 いい匂い? さっき飲んだアイスティーじゃない? え、私の匂い…だといいわね♪ 匂いほめられるの、くすぐったいけど、結構いいものよ。 ふぅ、ふぅ~ふぅ、ふぅ~。 ふぅ~~。 ちゅっちゅ、ちゅ、ちゅむむ、ちゅるる。 んんっ、気のせいよ。 何もしてないわ。 お家へ帰る小鳥さんでも鳴いてるんじゃない? それより、人のぬくもり、好きになった? まだかぁ…なかなか君も強情ね。 ふぅ~、ふぅふぅ、ふぅ~。 ふぅ~、ふぅ~、ふぅう~。 ちゅ、ちゅっ、ちゅっちゅ、ちゅぴ、あむあむ、あむはむ。 んん? さっきから…? やだわ。何もしてないわよ。 ふぅ~ふぅ。 ふぅふ、ふぅふぅ~。 ちゅ、ちゅっちゅ、はむはむ。 ふふ、だから、何でもないわ。 納得、しないの…仕方ないわね。 そう、あえて言うなら…小さな頃しなかった? 大好きなタオルケットの端っこをかみかみはむはむ夢の中…。 そういうようなものよ。 ほら、気にする必要ない、些事よ、さじ。 くまちゃんのぬいぐるみを抱くと、どうしてもしっぽを触るみたいな、かわいいクセよ。 ちゅちゅっちゅ、ちゅむ、あむあむちゅ♪ まったく、強情ね。 秘密は秘密のままであるのが、美しい事もあるのよ。 特に、女にはね…それを知りたいだなんて、君は困りものだわ。 でも、その知りたいっていう欲求が生まれたことは、いいことなの。 だって君、何も知らなくていい、知りたくない、知る必要もない…そう、世界と自分は関係ないって、下を向いてたでしょ? ふぅ~、ふぅ、ふぅ、ふぅ~。 でも、耳から得たものは、知りたがってる。 ちゅっちゅ、ちゅ、はむはむはむ、ちゅ。 ふぅふぅ~、ふぅ。 ちゅっちゅ。 その探求心、男の子よ。 そしてその答えをあげるのも、私、紬愛莉の使命。 ふぅ~、ふぅ、ふぅ~ふぅう。 ちゅっちゅはむはむ。 さっきから、君が気にしてる、これ。 ちゅっちゅ、ちゅっちゅ。 私ね、耳たぶ大好きなの。 自分好みの耳たぶを見ちゃうと、我慢できないのよ。 …ね、お気に入りのタオルケットでしょ? こうして、はむっはむはむ、あむあむ、ちゅっちゅ、って、お耳をちゅうちゅうはむはむしたくなっちゃう。 ちゅっちゅ、はむはむ、ちゅむ。 ふ~、ふぅふぅ、ふぅ。 あむあむ、ちゅっちゅ、ちゅむはむはむ。 はい、種明かしはおしまい。