Track 3

・トラック03「お坊ちゃま、朝食のお時間です」

;ボイス位置 9 【千代】 「本日もシェフが腕によりをかけて料理をしてくださいました」 【千代】 「それでは、命を支える食物、天地の恵み、食事の提供者、他にもこの料理に関わった全てに感謝を捧げましょう」 【千代】 「頂きます」 【千代】 「では坊っちゃま、お口をお開けください。千代が食べさせて差し上げます」 【千代】 「まずはスープからお飲みください」 【千代】 「ふーふー……。はい、あーん」 【千代】 「食事の始めにスープを飲むと、胃腸を温めることによって他の食べ物も食べやすくなると小耳に挟みました」 【千代】 「本日のスープは野菜もふんだんに使われ、大変栄養価の高い食事となっております」 【千代】 「どうです? 一口だけでも体がぽかぽかとしてくるでしょう?」 【千代】 「では、もう一口どうぞ」 【千代】 「ふふ。美味しそうで何よりです」 【千代】 「次は焼き立てのフランスパンを頂きましょうか」 【千代】 「千代がお切りしますね」 【千代】 「坊っちゃまはどのくらいのサイズがよろしいですか?」 【千代】 「薄切り? 厚切り? それとも中間?」 【千代】 「ふむ……では、まず始めに、薄めにお切りいたしますね」 ;SE フランスパンを切る音 【千代】 「では坊っちゃま。あーんしてください。あーんにございます」 【千代】 「はい、あーん」 【千代】 「こちらのフランスパンは本場のフランスで修行をしたシェフが朝早くから丹精込めて作りました」 【千代】 「フランスパンには、さまざまな種類があるということをご存知でしたでしょうか。薄々はお気づきに、あるいはご存知になられていたかもしれません」 【千代】 「本日のフランスパンは、バゲット。最もよく見かけるフランスパンですね」 【千代】 「細長く、そして硬い。バゲットはフランス語で『棒』あるいは『杖』という意味なんだそうです」 【千代】 「確かにもしもの時は杖の代わりになりそうですね。今度は杖と同じ長さのバゲットをご用意いたしましょうか。ふふっ、冗談です」 ;SE フランスパンを切る音 【千代】 「では、今度は厚切りをお召し上がりください。口を切らぬよう、お気をつけて。はい、あーん」 ;SE フランスパンを食べる音(なくてもいいかもしれません) 【千代】 「フランスパンのみでは物足りませんか? では、総菜と一緒に食べましょうか」 【千代】 「スクランブルエッグ、ベーコン、サニーレタスとトマトのサラダ」 【千代】 「これらを挟んで、サンドイッチに致しましょうか」 【千代】 「ぎゅっぎゅ……と。愛情も込めてお作りしますね」 【千代】 「はい。ではお口をお開けください」 【千代】 「あーん」 【千代】 「ふふ。まるで雛鳥に餌付けをしているようですね」 【千代】 「今や坊っちゃまは一人前でございますが、私の前では雛鳥になっても構いませんからね」 【千代】 「ではもう一口、あーん」 【千代】 「(少し間を置く為に微笑んで見つめているようにお願いしたいです)」 ;SE カラカラとキッチンカートを転がす音 【千代】 「おや。どうやら、デザートが出来上がったようですよ」 【千代】 「朝は消化を助けてくれるヨーグルトとブルーベリーのジャムでございますね」 【千代】 「ヨーグルトは砂糖不使用、無添加のギリシャヨーグルト」 【千代】 「ジャムのブルーベリーは裏庭で取れさっぱりとしたものを使用しております」 【千代】 「こちらも私があーんさせてさしあげますね」 【千代】 「では、あーん」 【千代】 「ふふ。やはり朝はヨーグルトですね」 【千代】 「朝といえばもう一つ。ヨーグルトを食べたらコーヒーをお入れしましょうか」 【千代】 「では、私が豆を挽きますから、その間坊っちゃまご自分のペースでお食事なさってください」 ;SE コーヒーセットを準備する音 ;SE 手動のコーヒーミルを回す音 中 【千代】 「珈琲豆を挽くときは細かくすればするほどに苦味が強くなり、  反対に粗めに挽いた場合は酸味が強めに出るそうです」 【千代】 「本日は朝ですから、目をすっきりさせるためにも苦味を強めに挽きましょう」 【千代】 「じっくり、じっくりと」 【千代】 「珈琲豆を挽いた際、辺りに漂う芳醇な香り。私、この匂いが好きなんですよね」 【千代】 「祖父の部屋がこのような香りだったんですよ」 【千代】 「引退してからは全然飲んでいないのか、今はあまりこの匂いがしないんですよね。懐かしいです……」 【千代】 「細挽きなのでサイフォンでお淹れしますね。火を使いますので少しお離れください」 ;SE フラスコに一杯分のお湯を入れる音 ;SE アルコールランプに火を灯す音 ;SE フィルターとロートをセットする音 ;SE ロートに挽いたコーヒー豆を入れる ;SE ロートに上がってきたお湯とコーヒー豆を木べらで混ぜる音 【千代】 「こうしてお湯が上がってきて、そして珈琲豆と混ぜて落ちていく風景は、サイフォンの面白き所ですよね」 【千代】 「少し子供っぽい感性かもしれませんが、思わず火を付け消しして上げたり下げたりしてみたくなってしまいます」 【千代】 「当然、このコーヒーは坊っちゃまに飲んでいただくものですので、そのようなはしたない真似はいたしませんが」 【千代】 「さて、というわけで出来上がりましたよ」 ;SE コーヒーを注ぐ音 【千代】 「では、食後の一杯をお召し上がりください」 【千代】 「一服したら、大学のレポートでもいたしましょう」