Track 4

第4話「今だから見えるもの」

[二人分の洋服の袋を抱えてる主人公] はぁ、しかし結構買い物したよな…… お前、それ重くないか?私も一つくらいなら持てるぞ? (主「君には手を開けててもらう必要があるからね」) ん?手ぶらじゃないといけない用事……? (同じ施設の眼鏡屋の前に到着する) って、あー、そういう…… 前にそういう話したっけな。お前、覚えてたのか? でも言うほど目が悪くなってるわけじゃないんだぞ? 遠くの小さい文字とかが、目を細めないと見えないくらいで…… だから、わざわざメガネを買わなくても…… (主「でも持っておいて損はないんじゃない」) ん、まあ、強化アイテムは常備しておくに越したことはないとは思うが…… いいのか?服も買ってもらったのに、眼鏡って高いんだろう? (主「実はそうでもないよ。入ってみよう」) あ、ああ。わかった。お前の言う通りにするよ。 [隔たりがないのでそのままスッと店の中に入るふたり] はあ、なるほど。確かに思ったよりは高くないかも…… なんか本体価格とは別にレンズ代とか諸々で数倍になる印象があったんだが、ここは全部込みの値段なんだな。 (主「好きなの選んでいいよ」) ……だから、好きなのって言われてもわからないんだよ。 むしろ、この場合はお前が選んだ方がいいんじゃないか? 私がメガネをつけるとして、一番その顔を見るのはお前だろ? 自分で自分の顔を見るのなんて顔を洗う時かお風呂場か、もしくは暗転したモニターに映り込む時だけだぞ? (主「うーん、じゃあそれつけてみて」) それって、これか? (赤の細いフレームのメガネを手に取りかけてみる) うお、前髪が目に……なるほど…… (髪をレンズの前に出して鏡を見てみる) んー……あ、これ度は入ってないんだな。まあ当然か…… ……ふふっ、なんだか奇妙な感覚だな。 毎日見てる自分の顔にメガネがつけられてるの、見慣れないからコラ画像みたい…… (その顔を主人公に見せる) ほら、どうだ?メガネをかけた私は…… (主「かわいい」) ふふ……お前はそればっかりだな。 別にメガネをかけてなくてもかわいいって言うんだから、違いがわからないよ。 似合ってるかどうかを聞いているんだが…… (主「結構似合ってるよ」) んふふ……そうかそうか。 なんだかアレだな、さっきの服と違って抵抗がない分、単純に嬉しく思ってる気がするよ。 (他の眼鏡も試してみる少女) じゃあこっちはどうだ? (主「それもいいね」) (自分でも見てみる) んー、黒ブチだと少し引き締まった印象があるかな。 前髪長いし、あんまり大きいフレームだと変な感じになるかも…… ふむ……ちょっと色々試したくなってきたな。 では何個かいいのを決めてくるから、最後はお前に選んでもらってもいいか? (主「いいよ」) んふふ、では、少し宝探しに行ってくるよ。 [小一時間後、作った眼鏡をつけてる少女との帰り道] ふんふん……いやはや、遠くまでくっきり見えると言うのはなかなか快適なものがあるな。 (眼鏡を外す) 例えば眼鏡をつけてないとあそこの看板、なんて書いてあるのか読めないのだが…… (眼鏡をつける) つけてると、ゲームショップUSA(ユーエスエー)…… って、ゲーム屋!? なんでこんなとこに、チェーン店でもないゲーム屋が…… (主「多分レトロゲームショップじゃないかな」) はぁー、レトロゲーム……最近流行ってるもんな。 個人のゲームショップなんかほとんど消滅してしまったイメージだが、中古市場だけで経済が回ってると、また違ったカテゴリーになるんだろか。 ……せっかくだし、寄っていってもいいか? (主「もちろん」) んふふ、では参ろう……! [少し狭いレトロゲームショップの中] わー……これ、懐かしい…… 小さい頃持ってたんだが、難しくて最後まで遊べなかったんだよな…… って言うか、これってもうレトロゲーム扱いなのか……確かに随分前の携帯ゲーム機ではあるが…… ……今思えば、昔からずっとゲームやってるな、私。 以前はどんな現実よりも楽しくて、逃げ込むように没頭していて…… 色々あって、こうやってお前と出会えて、変わったこともたくさんあったが、本質はずっと一緒のようだな。ふふ。 お前、このハードもってるか? (主「探せばあるかも」) そうか……そうだな。 ではせっかくだしもう一度、チャレンジしてみようかな。 子供向けの顔してるくせに難しくて、当時はなかなか理解できなかったが、今ならば…… それに、一部のマニアに知名度があるタイトルだし、ネットに情報転がってるだろう。 いざとなればそれを使って…… (買っても)いいか? (主「じゃあついでに色々買おっか」) お、そうだな。 名前だけ聞いたことがある作品とかも、初めてプレイするなら実質新作ゲームな訳だし、この機会に色々触ってみるのもアリだよな。うん。 (店内を見て回ってるふたり) あ、こっちのコーナー10本で1000円だって。 うわ、これも持ってたなー……っていうかこのコーナー、ほとんど数種類のソフトで占められているな。 それだけ人気で数が作られたってことなんだろうな……どれもこれも見覚えある気がするし。 ふふ……懐かしさと目新しさが入り混じる、なんとも不思議な空間だよな、この店は。 ネトゲもソシャゲもトリプルエー(主に海外産の第一線級のクオリティをもったタイトル)も、もちろんいいが、昔のゲームはそれでなかなか興味深いと思うよ。 それに、プレイ時間もそうかからないだろうし、ちょっと息抜きにやるのにはぴったりかもな。 お前も、オススメのがあったら教えて欲しい。 お前を形作ったゲームがプレイできるなら、私は喜んで触れてみたいからな。