4-1.『他の騎士団長から罪をなすりつけられ、体を要求されたら』
失礼します。
……こんな遅くまで、ご苦労様ですね。
ダミアン団長。
何か、団の経理に問題でもあったのでしょうか?
もしよかったら、私も手伝いますよ。
その帳簿を見せていただけますか?
数字は、一人より二人で見たほうが、間違いに気づけますから。
いえ。遠慮なさらず。
同じ団長として、力になりたいのです。
…………。
どうして拒むのですか?
何か後ろめたいことでも?
まさか、誉れあるグラン騎士団の団長が――
帳簿を改ざんしている、などということはないでしょう?
さぁ。見せてください。
…………。
ダミアン。
私が部下を連れてこなかったのは、恩情と知れ。
素直に罪を打ち明ければ、釈明の機会を与えてやる、と言っているのだ。
……お前の怪しい動きについては、以前から感づいていた。
それがよもや……資金の横領などという、下劣なものだとは夢にも思わなかったが。
私のソヌリ騎士団の資金にまで手を付けていたとはな……。
私が剣を抜く前に……
大人しく、その帳簿を渡せ。
……なんだ? その顔は。
なぜ、笑っている?
……っ。
だ、誰だ、貴様たちは――
――ダミアンの部下か?
……待て! なぜ、私を拘束しようとする。
離れろ!
……何を言っている? ダミアン。
〝証拠を掴んだ〟? 何の話だ?
……まさか。
私に……罪を着せようとしているのか?
何を馬鹿なことを!
その帳簿が残っている限り、貴様の罪は明白だ!
それを――
……な。
それは……
わ……
私の……サイン?
私名義で……
防具の架空発注を……!
だ、ダミアン――
最初から、そのつもりだったのか!?
私を、失脚させるために……!
何故だ! 何故なんだ、ダミアン!
……〝次期・王国騎士団長〟だと?
そんなもの、ただの噂だ!
努力と功績次第で、お前にだって等しくチャンスはあるだろう!
そんなに……
……そんなに、私が憎いのか! ダミアン!
く……っ! 離せ! お前たち、私に触るな!
私は何もしていない!
……な。
なんだ。
何を言っている、貴様……
……わ、私の……恋人……!?
彼は、何も関係ないだろう!
彼は、ただ……っ、私と一緒に暮らしているだけだ!
何も関係ない……っ。
ぐ……っ。
私が、捕まれば……
彼のもとにも……調査の手が……。
…………。
……なんだ?
お前は……何を、望んでいる?
私は……
……何をすれば、いい?