Track 7

4-1.『他の騎士団長から罪をなすりつけられ、体を要求されたら』

 失礼します。  ……こんな遅くまで、ご苦労様ですね。  ダミアン団長。  何か、団の経理に問題でもあったのでしょうか?  もしよかったら、私も手伝いますよ。  その帳簿を見せていただけますか?  数字は、一人より二人で見たほうが、間違いに気づけますから。  いえ。遠慮なさらず。  同じ団長として、力になりたいのです。  …………。  どうして拒むのですか?  何か後ろめたいことでも?  まさか、誉れあるグラン騎士団の団長が――  帳簿を改ざんしている、などということはないでしょう?  さぁ。見せてください。  …………。  ダミアン。  私が部下を連れてこなかったのは、恩情と知れ。  素直に罪を打ち明ければ、釈明の機会を与えてやる、と言っているのだ。  ……お前の怪しい動きについては、以前から感づいていた。  それがよもや……資金の横領などという、下劣なものだとは夢にも思わなかったが。  私のソヌリ騎士団の資金にまで手を付けていたとはな……。  私が剣を抜く前に……  大人しく、その帳簿を渡せ。  ……なんだ? その顔は。  なぜ、笑っている?  ……っ。  だ、誰だ、貴様たちは――  ――ダミアンの部下か?  ……待て! なぜ、私を拘束しようとする。  離れろ!  ……何を言っている? ダミアン。 〝証拠を掴んだ〟? 何の話だ?  ……まさか。  私に……罪を着せようとしているのか?  何を馬鹿なことを!  その帳簿が残っている限り、貴様の罪は明白だ!  それを――  ……な。  それは……  わ……  私の……サイン?  私名義で……  防具の架空発注を……!  だ、ダミアン――  最初から、そのつもりだったのか!?  私を、失脚させるために……!  何故だ! 何故なんだ、ダミアン!  ……〝次期・王国騎士団長〟だと?  そんなもの、ただの噂だ!  努力と功績次第で、お前にだって等しくチャンスはあるだろう!  そんなに……  ……そんなに、私が憎いのか! ダミアン!  く……っ! 離せ! お前たち、私に触るな!  私は何もしていない!  ……な。  なんだ。  何を言っている、貴様……  ……わ、私の……恋人……!?  彼は、何も関係ないだろう!  彼は、ただ……っ、私と一緒に暮らしているだけだ!  何も関係ない……っ。  ぐ……っ。  私が、捕まれば……  彼のもとにも……調査の手が……。  …………。  ……なんだ?  お前は……何を、望んでいる?  私は……  ……何をすれば、いい?