2人だったら大丈夫
「彩愛」: うっ、ううっ、うわ~、陽奈~、終わった。。。
「陽奈」: へ?どうしたの、彩愛ちゃん?
「彩愛」: テスト帰って来た。。。
「陽奈」: あ、そっか。彩愛ちゃんのクラスも?
「彩愛」: うん、てか、進級総合実力テストとか勘弁してよ!
「陽奈」: えっと、その感じだと、もしかして。。。
「彩愛」: あっ、赤点は、一教科だけだったよ!
「陽奈」: そ、そうなんだ。
「彩愛」: 追試あるだしけど。。。
「陽奈」: そうだね。でも、一教科だけなら、大丈夫だよ。
「彩愛」: ぐぅっ、麻衣はちゃっかり回避してるみたいだし。
「陽奈」: それは普通に勉強してただけなんじゃ。。。
「彩愛」: あー、そうだよなー、真優先輩って、チート兵器が付いてるんだもんな~。あー、もういいっす、このまま過去忘れ去るか。そう、陽奈との記憶だけ残して。
「陽奈」: でも確か、追試で合格して置かないと、夏休みに補習があるんじゃなかったっけ。
「彩愛」: えっ?そうなの?
「陽奈」: うん、先生が言ってたと思うけど、じゃあ。。。
「彩愛」: ってことはつまり、夏休み減るってことじゃん?
「陽奈」: そ、そうだね。
「彩愛」: いやだっ!陽奈と会える時間が減るってことじゃん?死活問題だよ、遊びたい!
「陽奈」: ふぇ、そんなに?
「彩愛」: そう、そう!そんなに陽奈を求めてるよ!
「陽奈」: そうなんだ。えへへっ、じゃあ大変だね。
「彩愛」: うん。あ、あたしまた恥ずかしいやつだったね。恥ずい、客観的に見て恥ずい。え、でもとにかく、陽奈と遊ぶ時間が減っちゃうのはいやだ!
「陽奈」: うん、それは私もいやだけど。。。
「彩愛」: 仕方ない。実に不本意だけど、ここは腹を括って断腸の思いでちょっと勉強するか。
「陽奈」: その心構えはどんなのかな。ちなみに教科は?
「彩愛」: 英語。
「陽奈」: そっか。じゃあ、去年習った文法ばかりだったから、多分大丈夫だよ。私ってよければ、教えてあげられると思うから、一緒に勉強しよう!
「彩愛」: ひ、陽奈~。
「陽奈」: うん!
「彩愛」: するする、そうする!じゃあ、放課後また来るね。
「陽奈」: うん、待ってるね!
「彩愛」: 先生、質問があるであります。
「陽奈」: えっ、な、なんでしょう。
「彩愛」: お菓子食べてながら、やってもいいでしょうか。
「陽奈」: えっと、気が散っちゃわない程度にね。
「彩愛」: はい! んー、グミか、ポツッキー(Pocky)にするか、やわらかクッキー、ねりねり梅も捨てがたいな~。
「陽奈」: わー、そんなに持ってたんだね。
「彩愛」: うーん。よし、これから頭使うから甘いのにしっとこう。そうそう、クッキーを献上するでござる。
「陽奈」: もう~。じゃあ、はい、彩愛ちゃん。あーん!
「彩愛」: あっ、あ~ん!もぐもぐ。。。んふふ、美味しい。
「陽奈」: えへへっ、彩愛ちゃんにあーんってしてあげるのなんか好きだな。
「彩愛」: えっ、そう?じゃあ、もっと!
「陽奈」: もう、お家帰ってから、夕飯食べられなくなっちゃうよ。
「彩愛」: 子供みたいな注意をされてしまった。
「陽奈」: でも、一応まだ子供だし。
「彩愛」: いや、そんなことないよ。ほら、その、下着とか。
「陽奈」: それはもういいよ!
「彩愛」: キ、キスとかしたし。。。何だったら、いーぃ今しちゃう?
「陽奈」: んー、今の雰囲気はちょっと青春っぽいなって思うけど、恥ずかしいからまた今度ね。
「彩愛」: そ、そっか。もし誰かに見られたりしたら、恥ずかしいもんね、んん。
「陽奈」: それに、大人なら補習なんて受けないと思います。
「彩愛」: えっえ、そんなことないって、きっと、多分。
「陽奈」: はい、どうぞ。
「彩愛」: へ?あーん!もぐもぐ。。。まあ、あーんしてもらえるなら、しばらく子供でもいいかな。
「陽奈」: うふふっ、もう。
「彩愛」: あれ?陽奈食べないの?
「陽奈」: えっと、なんて言うか、こういう動物とかの可愛い形だといつも可哀そうだなって思っちゃって、ちょっと迷っちゃう。
「彩愛」: あー、なるほど。次から普通の形なやつ買ってこよう。
「陽奈」: でも、二人でこうやって教室に残るのもちょっと好きかも。
「彩愛」: あ、分かる分かる。
「陽奈」: 皆帰っちゃうと、静かだし、二人きりの時間って感じがするよね。
「彩愛」: あ~、だよね。まし穏やかだわ。
「陽奈」: だからって、寝ちゃダメよ!
「彩愛」: マジか、こっちは甘くなかった~。
「陽奈」: うふふっ、じゃあ、そろそろ始めようよ。
「彩愛」: はぁ、逃れられない運命だったようだね。
「彩愛」: あ~、ちょっと休憩~。
「陽奈」: もう~、まだ始めてばっかりだよ。
「彩愛」: 夕日に染まる放課後の教室で机は挟んで向かえ合った陽奈と二人きり。。。いい、実にいい。その間に立ちはだかる教科書の壁さえなければ、とても素敵な時間を過ごせたことでしょう。
「陽奈」: あ、彩愛ちゃん?
「彩愛」: あ、もちろん、課題とかあっても、陽奈と一緒なら素敵な時間だよ。
「陽奈」: えへへ、ありがとう。じゃあ、もう1ページ進めちゃおうか。
「彩愛」: あっ、あー、あ、それはちょい待って。今気持ちをリフレッシュしてるから。
「陽奈」: んー、えっと、気分転換に屋上行く?
「彩愛」: んん?でも、この時間だともう閉まってるかもよ。
「陽奈」: あ、そっか。
「彩愛」: まあ、これも陽奈と過ごす夏休みを取り戻すため。あ、そうだ!夏休みの計画立てよ!
「陽奈」: うぇ?ちょっと彩愛ちゃん。
「彩愛」: いやいや、まずはモチベーション上げないと。夏休み、あぁ夏休み、夏休み、今年はどうしようかね~。お祭りとか、また皆で海行こうって話はしてるし、山は真優先輩がやだっていうかな。あっ、プールもいいけどね。
「陽奈」: おぅ、海か。水着とかどうしよう。新しいの買った方がいいのかな。
「彩愛」: へ?そうだよ!買おうよ!買いに行こう!あたしが可愛いやつ選んであげるよ!色々試着しよう!見たい!
「陽奈」: う、うん。ありがとう。
「彩愛」: よし。お小遣い貯めとかないとね。
「陽奈」: うーん。でも、試着室に入るの、いつもちょっと恥ずかしくて。
「彩愛」: へ?大丈夫大丈夫。何だったら、一緒に入るし。
「陽奈」: ふぇっ?
「彩愛」: ほら、一人じゃ合わせづらいかもしれないでしょう?まかせてよ!まあ、不可抗力であられもない姿とか色々目撃してしまうかもだけれどもさ。陽奈に似合う水着を厳選するために仕方ないよね~
「陽奈」: う~、わざとそういうこといやだから、もう~
「彩愛」: はっ、陽奈のあられもない姿、だとっ!
「陽奈」: (あっ、彩愛ちゃん、そんなところ解いじゃダメだよ!んっ、待って、それはちょっとキツいよ!ん、んぐっ、こんな大胆だもん、恥ずかしすぎて彩愛ちゃんの前でしか着られないよ!)
「彩愛」: はぁー、いかんいかん!あぁでもいい!
「陽奈」: あれ?そっか。彩愛ちゃんの着替えも。。。
「彩愛」: (おぉ、おかしいな。いつもはなんでもないのに、いざこれって間近で見られると、なんかこうぅ、おぉぉ思ってた以上に、その、恥ずかしいね。。。ああー、やば、やめて、見ないで~。)
「陽奈」: うふふっ、照れてる彩愛ちゃん、可愛い~。
「彩愛」: ん?なんか褒められてしまった。
「陽奈」: あっ、何でもないよ、うん、なんでも。 あ、もうこんな時間、そろそろ教室閉められちゃうね。
「彩愛」: よし、終わりか。
「陽奈」: じゃあ、図書室に行こうか。もうちょっと遅くまで空いてるし、静かだし。
「彩愛」: うぇっ?そんなバカだ?いや、バカはあたしなのか。
「陽奈」: 夏休み減っちゃでもいい?
「彩愛」: はい、頑張ります。
「陽奈」: 宜しい!
「彩愛」: あ~*しくしく*
「陽奈」: うふふっ、もうちょっと、一緒にいられるね。
「彩愛」: あっ、えへ~、そうだね。よし、行こう!
「陽奈」: うん!
「彩愛」: (どうよ。追試の問題、全部満点で解いたよ!
「陽奈」: すごい!さすが彩愛ちゃん!
「彩愛」: えへへ、まぁね!
「陽奈」: 素敵!大好き!
「彩愛」: いや~、ふぇへへ~。)
「陽奈」: 彩愛ちゃん?
「彩愛」: ん?あっ、夢?!
「陽奈」: だ、大丈夫?
「彩愛」: 今のは幻。。。
「陽奈」: 幻?
「彩愛」: じゃあ、この赤点は。。。
「陽奈」: それは現実だよ。
「彩愛」: うっ、いや、静かすぎてつい眠気がね。
「陽奈」: 図書室だから、静かにしないと。騒いだら、怒られちゃうと思うし。
「彩愛」: じゃあ、静かに話せるように、もうちょっとくっ付いて座ろうよ。ほら、こっちこっち。
「陽奈」: うぇ?もう、しょうがないだから。
「彩愛」: んっしょっと。は、すりすり~。
「陽奈」: う、うぇ?なんで擦り寄ってくるの?
「彩愛」: せっかく隣に座ってるだから、近い方がいいじゃん。ん~、うふふ~。
「陽奈」: ん~、くすぐったいことしないで。今はダメだよ。
「彩愛」: 相変わらずくすぐったがりだな~、このこの~、ひゃ~。
「陽奈」: ひゃっ、くっ、やめてよ、ふふふっ、笑っちゃうから。
「彩愛」: おっと危ない危ない。じゃあ、筆談にしよう。
「陽奈」: ん、問題解こうよ。
「彩愛」: (好き!)
「陽奈」: あ、もう。(私もだよ!)
「彩愛」: おっ!(のりのりだね。そういうとこも好き!)
「陽奈」: う~ん。(やらないと、彩愛ちゃん寂しいでしょう。)
「彩愛」: えへへ。(以心伝心じゃん!)
「陽奈」: ん。(次の英文の和訳は?)
「彩愛」: えっ。
「陽奈」: (I am happy to be with you!)
「彩愛」: (えー、あ、一緒にいて嬉しいってことかな。) Me too, me too!
「陽奈」: うふっ、次は?
「彩愛」: え?これ、課題の問題じゃん。
「陽奈」: うふふっ、そろそろ続き、やらないかなって。
「彩愛」: んっ、は~い。
「陽奈」: じゃあ、今まで解いたところ、一度採点するね。
「彩愛」: ネガイシャス。
「陽奈」: んっと。
「彩愛」: ジーー。 (なんか陽奈の横顔、つい見ちゃうよね、可愛い~。)
「陽奈」: んー、ん?なに?
「彩愛」: ねぇ、陽奈、やっぱ退屈じゃない、あたしの勉強だけでさ。
「陽奈」: うぇ?そんなことないよ、楽しいよ。彩愛と一緒だもん。
「彩愛」: あー、マジか。嬉しいやつ。
「陽奈」: うぇ?そんなにしみじみするところ?
「彩愛」: なんかさ、あたしなんかと一緒にいるだけで喜んでくれるとか、そんな幸せなことないなってふっと思ったわけ。
「陽奈」: へえ?いつもおおげさだよ。
「彩愛」: そして、課題はなかなか終わらないわけ。
「陽奈」: そ、そうだね。あ、でも、ほとんど当てるよ。いい女子!
「彩愛」: そうかな。ならいいんだけど。
「陽奈」: うん。。。(彩愛ちゃん、私の教え方でちゃんと分かってくれてるかな。私が誘ったから、仕方なく付き合ってくれてるとか、じゃないといいな。私にはこれくらいしかできないけど、ちゃんと彩愛ちゃんのためになってたらいいな。うん、二人でいられる時間が減っちゃうのは私もいやだし。) 私も夏休み楽しみにしてるんだからね。
「彩愛」: がはっ、あ、ダメだ、あー、プレッシャーでぐったりだ~。
「陽奈」: ふぇ~?
「彩愛」: じゃあ、ちょっと膝枕、お借りします。
「陽奈」: も、もう~。こんなところで。
「彩愛」: 大丈夫大丈夫。使いに隠れてて見えないって。そのまま座っててね~。
「陽奈」: あ、ほら、消しゴム床に落ちっちゃってよ。
「彩愛」: ん?拾っといて。
「陽奈」: うぇ?このままで?ちょっと、待ってね。手、届くかな、ん~。
「彩愛」: ん?*ぷに* (おっ、なんだ?顔面に押し付けられた、これは!ま、まさか、誘われている?)
「陽奈」: (えへへ、当ててるんだよ、彩愛ちゃん。)
「彩愛」: (柔らかい~) (それはそれでいい。。。アタシワバカカッ!無理無理、ないない!というか、こんな煩悩バレたらまずいよ。だってきっと、お願いって言ったら、陽奈は受け入れてくれちゃうだろうからな。それはめっちゃまずい。)
「陽奈」: うんっしょっ!取れた!あっ、てっ、どうしたの?
「彩愛」: ううん。なんでもない。
「陽奈」: ん、今日はもうお終いにする?あっ、放課後じゃなくて、朝早く来てやるとか。
「彩愛」: ん~、いや、もうちょい頑張る。心頭滅却とかして、心落ち着かせるから。
「陽奈」: 滅却じゃないかな。
「彩愛」: せっかく陽奈が手伝ってくれてるんだし、あたしもそれに答えないとね。
「陽奈」: 彩愛ちゃん!
「彩愛」: 一人じゃ絶対勉強しなかっただろうし。。。
「陽奈」: もう~、うふふっ、頑張って、彩愛ちゃん!
「彩愛」: うん!