いつだって、お姉ちゃんなんだから
「真優」: 真衣?何かして欲しいことない?
「真衣」: うぇ?あ、改まって言われるとな~。そんな大怪我わけじゃないし。
「真優」: いいから。
「真衣」: え?何で怒られてるの?
「真優」: す、好きな相手のために、何かしてあげたいってだけ。
「真衣」: おぁははっ、今日はもう、今まで満足だけど。
「真優」: 私はまだ出来てない。
「真衣」: んじゃ、部屋の片付けとか。
「真優」: んー、そういうのじゃなくて。
「真衣」: あ、うん、なんかごめん。でも、何かして欲しいとかじゃなくてさ。なんかこう、一緒にいてくれるだけでいいというか。んー、どう言ったらいいのかな。
「真優」: はっきりしなさいよ、らしくないわね。
「真衣」: いや、なんていうか、こういう感じ慣れなくて。
「真優」: 一緒にはいてあげるし。ほら、傍に座って、足見せて。取り敢えずは、絆創膏を替えてあげるから。
「真衣」: ん、んじゃ、お願い。
「真優」: 。。。んっ?
「真衣」: やっぱ、自分でやろうか?
「真優」: 不器用とか言わないでよね。
「真衣」: 言ってないよ。
「真優」: もうちょっと待って。
「真衣」: ん。 (いつも一生懸命で、決めたことが負けないっていうか、ちゃんと最後までやり通すって感じ。そういうところ、信じられるーって思うなぁ~。)
「真優」: ん。。。 (いつもこうやって私がやること、やりたいことの背中押してくれる、傍で支えてくれる。でも、たまには支え合う感じになったっていいんじゃない?) ん、ほら、できた!
「真衣」: ん、うん!ありがとう!バッチシだね。
「真優」: 変な感じしない?大丈夫?
「真衣」: 平気平気。ちょっと落ち着かないけど、普通に歩く分には、何も問題ないし。あっ、でも真優が甲斐甲斐しくしてるなら、たまには怪我するのも悪くないかな。
「真優」: 止めてよ、そういう不謹慎なこと言うの。
「真衣」: ほーい!気を付けます。
「真優」: まあ、こういう時ぐらい、大人しくしてなさいよ。ちゃんと付いててあげるから。
「真衣」: 何か張り切ってるね。
「真優」: だって真衣は、いつも私のこと考えてくれてるのに。
「真衣」: あたしがしたいだけだよ。真優だって、あたしのこと考えてくれてるし。
「真優」: そんなのは当然のことでしょう?
「真衣」: 優しい~。
「真優」: 茶化さないでよ。
「真衣」: 茶化してないよ。頼れるなって思ってるだけ。
「真優」: それなら、あんたの方が色々要領良く出来るじゃない。
「真衣」: 要領いいかな。自分では普通かなって思ってたけど。
「真優」: なにそれ?嫌味?
「真衣」: んー、なんていうかさ、皆が無駄だって思ってやらないことを、何も考えずにやってただけっ、みたいな。ほら、あたし能天気だから、気付かず全部やっちゃうっていうかさ。
「真優」: でもそういうの、結果的に無駄にならなかったでしょう?
「真衣」: えへっ、そうかも。真優のためになることだったら、嬉しいなって思うけど。
「真優」: そうね。真衣が見えててくれるから、勉強だって部活だって頑張れるし。そんな私を助かってくれる真衣だから、その。。。いいの、好きなの。だから、無駄とか意味がどうとか、難しく考えなくてもいいのよ。私たちはそれだけでいいの。
「真衣」: そう。。。かな。
「真優」: あんたは本当はちょっとアホなんだから、変に託けなくてもいいのっ。
「真衣」: ふぇ?ひどいな。
「真優」: ちょっとって言ってるじゃない。
「真衣」: そこは優しさ控え目なんだ。
「真優」: ワガママね。
「真衣」: 真優の妹だもので。
「真優」: ん、別にいいけど。
「真衣」: じゃあ、ワガママ序でに、しばらくこうしててもらおうかな~っと。
「真優」: んっ、あっ、ちょっ、ちょっと、ん、急に何を、何で覆い被さってくるのよ。
「真衣」: お体借りま~す。
「真優」: あ、ちょっとの間だけよ。
「真衣」: えへへ~っ。
「真優」: もう、緩んじゃって。いつものできる真衣はどこに行ったのよ?
「真衣」: えへへ~、今はお休み。あたしに甘えられるの、嫌じゃないでしょう。
「真優」: 別に、まあ、しょうがないからっていうだけで。これで可愛くなかったら、許さないんだからね。
「真衣」: えへへ~、やっぱこうでないとな~。
「真優」: こうって?
「真衣」: ほら、姉妹っていう事実だけで、何かもう勝った気にしない?
「真優」: 何に勝つのよ。
「真衣」: 絶対誰にも真似できないし、邪魔されないし。
「真優」: そんなこと気にしなくてもいいのに。
「真衣」: うぇ?んじゃ、もし姉妹じゃなかったら、どうするのさ。
「真優」: ん。。。
「真衣」: んっ、あっ、ちょっと、そんな真顔になるほどなの?大丈夫だよ?
「真優」: そんなの知らない、想像付かない、したくない。
「真衣」: うんうん、分かってる分かってる。ん、本当大丈夫だって、ずっと傍にいるし、あ、ほら、生まれ変わったりとかしても、絶対真優の次に生まれてくるから。
「真優」: なにそれ。
「真衣」: 何だろう。
「真優」: 何でもいいけど。絶対よ。
「真衣」: うん。ん、あー、何かお腹空いたね。
「真優」: うふっ、そうね。それじゃ、たまには私は作るわ、夕飯。
「真衣」: へっ?どうしちゃったの?
「真優」: 煩いわね。今日はお父さんもお母さんも遅いって言ってたし、ちょうどいいでしょう?
「真衣」: そ、そう?
「真優」: 部屋の片づけ手伝ってくれたお礼もあるし、私も何か、してあげたいし。
「真衣」: あ、なんだ。それが本音か。素直じゃないな、もうもう~。
「真優」: 別に素直じゃなくないし。
「真衣」: えへへ~っ、この勢いでたまにはもっと素直になってみるとか。
「真優」: だから、普段素直じゃないみたいに言わないでよ。
「真衣」: うぇ~?
「真優」: ちょ、ちょっとだけでしょう?むしろ、真衣が素直過ぎなのよ。
「真衣」: そうかな。
「真優」: そうよ。
「真衣」: じゃ、素直な感じでどうぞ!
「真優」: ええ? いっ、いつもありがとう、真衣!本当に助かってるわ!私も、嬉しい~!
「真衣」: おぅ!いいねいいね!素敵なお姉さまって感じだね!これはこれで可愛いよ~!
「真優」: うふふふ、ふふ、ダメ無理。。。
「真衣」: ふぇ?一笑?
「真優」: だってあんたの前で、急にこんな態度、変な感じがするから。
「真衣」: まあ、そうかもね。学校で猫被ってる時とはあんま変わらない感じもするし。
「真優」: もう、せっかくやったのに。
「真衣」: えへへっ、ごめんごめん。
「真優」: じゃ今度は、真衣が素直じゃない感じにやってみさいよ。
「真衣」: えっ?出来るかな。
「真優」: いいから、やるの。
「真衣」: うぇ、えっと、ま、真優のことなんか、そんなに取り立てて尊敬してないだからね~!
「真優」: 何ですって?
「真衣」: ふぇっ、ごめんっ、嘘だよっ!なんでなんでっ。
「真優」: ん、なんか、いやだったのよ。
「真衣」: あたしだって、いやだよ~。
「真優」: ごめん。
「真衣」: ううん。そんじゃ、ご飯一緒に作ろうか。
「真優」: いいわよ。私一人でできるから。
「真衣」: そう?まあ、最近お弁当作ったりしてるから、前よりは上達してるもんね。
「真優」: そういうこと。
「真衣」: じゃ、見守ってるだけにする。
「真優」: んもう。。。
「真衣」: んと、は~、真優がキッチンにいて、しかも包丁使ってる。
「真優」: んっ、何を、そんなに見られてるとやりづらいだけど。
「真衣」: でも心配だし。
「真優」: 子供じゃないだから大丈夫よ。
「真衣」: そう?じゃ、向こう行ってるね。
「真優」: そうしてちょうだい。まったく。。。 (私だってこれくらい出来るんだから、ちょっと信用しなさいって、もう。。。まぁっ、そういう私のこと大事に考えてくれるのがいいところっていうか。たまには、自分のことも考えなさいよっていうか、はぁもう。。。) あっ、痛っ。
「真衣」: あっ。ああ!ほらもう、大丈夫?はー、指切っちゃった。
「真優」: ん、ちょっとだけ。
「真衣」: もう、手は大事にしなきゃ。
「真優」: 利き手じゃないから大丈夫よ。大体、足怪我してるあんたに言われたくないし。
「真衣」: うぇ、おっしゃる通りで。
「真優」: は~、もう、こんなことで。。。
「真衣」: まあまあ、ちょっと失敗したくらい、気にしない気にしない。段々慣れていけばいいんだし。
「真優」: でも、これくらいは出来ないと。
「真衣」: 二人でいる時はポンコツな時があってもいいや。
「真優」: ポンコツ。。。
「真衣」: 最初から何でも出来た当たり前なんじゃなくてさ。真優がちゃんと頑張ってるの、いつも見てて知ってるから。まあ、皆だってきっとそうだと思うけどね。
「真優」: そう、かしら。
「真衣」: お姉ちゃんっぽくしてくれるのは嬉しいけど、頑張り過ぎは嫌だからね。
「真優」: うん。
「真衣」: えへへへっ、まぁでも、本当にちょっと切っただけだし、これなら消毒して絆創膏張って置けば大丈夫だね。 じょーん!今日は大活躍の絆創膏!
「真優」: 舐めたりしないね。
「真衣」: ふぇ、織部先輩じゃないんだし。
「真優」: べ、別に影響されていたんじゃないわよ。
「真衣」: いや、そこまでは言ってないよ。
「真優」: 分かってるし。
「真衣」: あっ、足、舐めてみる?
「真優」: ソ、ソンナコト、スルワケナイデショッ!
「真衣」: あははっ、あぁだよね~。
「真優」: マッタクッ。
「真衣」: ん、まあ、確かに織部先輩が卒業しちゃって寂しいのは分かるけど。
「真優」: そんなことないわよ。会う頻度が下がって助かってるわ。
「真衣」: 今でも出没するのは謎だけだね。
「真優」: そうなのよ、本当。
「真衣」: アリスちゃんの様子とかニャイン(LINE)で伝えてるからかな。
「真優」: あんたのせいじゃない。
「真衣」: でも大丈夫!あたしはどこにも行かないよ!行っても絶対戻ってくるし。
「真優」: そういうアピール別にいいから。分かってるから。
「真衣」: そう?
「真優」: そうよ。
「真衣」: そっか。あっ、指はこれで平気かな。
「真優」: うん。
「真衣」: それじゃ、続きは私がやるよ。
「真優」: いい。私がやるの。
「真衣」: ん。。。それなら、やっぱり一緒にやろうか。
「真優」: んでも。。。
「真衣」: いいからいいから。はい、じゃこうやって持って。左手は握り過ぎないでね。ゆっくりやってみよう。
「真優」: それくらい分かってる。ていうか、そんなにくっついたらやりにくいでしょう。なんか、ドキドキするし。
「真衣」: 大丈夫。そのドキドキは安心するやつだから。
「真優」: は?どういうことよ。
「真衣」: えへへ~、こうやって後ろから支えるみたいにやりそう感じ。ちょっとやってみたかったんだ~。ほら、手取り足取り的な。今なら自然な流れで出来ると思って。
「真優」: 意味分かんないわよ。 それより、ちょっと背、伸びた?
「真衣」: うぇ?そっかな。ん、そうかも。よくそんな微妙なの分かるね。
「真優」: 何か生意気。
「真衣」: へ~?そんなこと言われても。。。
「真優」: あ、よそ見しないでよ。
「真衣」: 大丈夫大丈夫。真優のこと見てる~。
「真優」: そういう意味じゃなくて。
「真衣」: うん!えへへ、ほら、上手く出来た。
「真優」: ん、ありがとう。
「真衣」: えへへ、織部先輩ほどじゃないかもだけど、あたしもなかなかでしょう。
「真優」: もう、だからなんで引き合いに出すのよ。
「真衣」: ふぇ?別に、嫉妬とかじゃないし。
「真優」: やめてよ、もう。全然そういうつもりじゃないから。
「真衣」: あっ、もしかして真優もお姉ちゃんが欲しいとか?
「真優」: は?
「真衣」: 何なら私と変わってみる?うんうん、入れ替えごっことか。
「真優」: 冗談。今のままでいいわよ。
「真衣」: あれ、そう?
「真優」: 今のままがいいのよ。私がお姉ちゃんで、真衣が妹、それがいいの。
「真衣」: そっか、今のままか。
「真優」: 今のままじゃ、いや?
「真衣」: 今も幸せだけど、それをもっと良く知って行きたいっていうかさ。んー、何て言ったらいいんだろう、んー。
「真優」: 何か不満でもある?
「真衣」: ううん、そういうわけじゃないよ。
「真優」: じゃ何?
「真衣」: 今のままでもいい感じだけど、もっと良くなったらもっといい感じになるなって思って。あぁほら、あたしは前に向かって走りたい派だしさ。
「真優」: なにそれ、あとなに派があるのよ。
「真衣」: ん、なんだろう。
「真優」: はー、ほら、いいから続き、やりましょう。くっついてるだけになっちゃう。
「真衣」: うん、そうだね、お腹減った!