Track 2

誘惑

ふぅー。読み聞かせ終了……。 今日はみんな、いい子たちばかりでした。 さて。水分補給だけ、忘れずにしておきますかね……。 ん……? ……あ。勇者様。 見に来てたんですね。私の読み聞かせ。 はい。今の絵本は、あなたの英雄譚ですよ。私が描いたんです。 楽しんでいただけましたか? ふふっ。そうですか。ありがとうございます。 本人から褒められると、すごく嬉しいです。 ……ねぇ勇者様。 ここに来たと言うことは、今、お暇なんですか? そうなんですね。 では少し、散歩しませんか? 私、読み聞かせのあとはこの中庭の外周を、歩くことにしてるんですよ。 ……ん。ありがとうございます。 それじゃあ、行きましょう。 にしても、だいぶ最近は、暖かくなってきましたね。 ええ。道端にも、花が咲いているのをよく見るようになりましたし、 春の訪れって感じです。 ほら、この辺の道沿いにも、なんだか色々、咲いてますよ。 チューリップにマーガレット、シロツメクサにハルジオン。 ……って、あれ? この花、なんでしょうか? 黒色の、クチナシのような花……。初めて見ました。 きれい……ですね。 ……。 えい。 はい。瓶に入れて、持ち帰ります。 丁度新しい栞が欲しかったので、 これを押し花にして加工しようかと、思いまして。 これでよし。 さ、散歩を続けましょう……って、 おわっ…… ……っと。 すいません。勇者様。 少し、立ち眩みを起こしてしまいました。 ……そうですね。 そこのベンチで、休ませてください。 ふぅー……。 ああ、いえ。大丈夫ですよ。 昨日徹夜で読書をしていたので、その揺り返しが来ただけでしょう。 ふふっ。そうですね。あんまり無理をするものではりませんね。 ……。 ……ん? どうしたんですか?勇者様。 なんだかお顔、赤くないですか? ええ。赤いです。トマトみたいですよ? ……ふむ。 あの、勇者様。もしかしてですけど……。 さっき私が勇者様にもたれかかったとき、 うっかり胸をもんでしまったから、 そんなに顔を赤らめていらっしゃるんですか? その反応、図星ですか。 なるほど。 ねぇ、勇者様。 勇者様って、童貞。なんですか? いや、別にいいじゃないですか。私がそういう質問をしたって。 そうですよ。 胸をもんだ反応があまりにもウブなので、聞いてみたんです。 で、どうなんですか?勇者様。 女性との経験、あるんですか? ……やはり、ですか。 いえ。馬鹿にしたりはしませんよ。 私も未だに性体験は無いですし、見下せるような立場では、ありませんから。 でも、少し不思議です。 富も名声もあって、黙っていても女が寄ってくる立場であろう勇者様が、 いまだに童貞だなんて。 ……ん。事情……ですか。 ……はい。 はい。 はぁ……。 ……なるほど。昔、そんなことがあったんですね。 確かに、それほど悪質なハニートラップに引っかかった後だと、 寄ってくる女の子みんな、警戒しちゃいますよね。 ええ。勇者様が未だに童貞な理由、納得できました。 ……あ。 でも勇者様って、私のことは警戒せずに、 仲良くしてくれてるじゃないですか。 私も一応、女の子なのに。 ……そうですか。私のことは、信用してるんですか。 どうして、ですかね。 なんとなく……ねぇ。 ああ、いえ。十分な回答ですよ。 確かに人が人に抱く信頼なんて、 言葉で説明できるものではありませんよね。 はい。なんとなくで、かまいません。 ……。 でも、勇者様。 それってつまり、さ。 私には、可能性があるってことですよね。 あなたの、恋人になれる可能性が。 ふむ……。 それなら。言い寄ってみましょうか。勇者様。 いまここで。 ぎゅーーーーーーう。 ふふっ。さっきあなたが揉んで下さった、私の柔らかいおっぱい。 それを密着して、勇者様の体に押し付けちゃいます。 ぎゅっ、ぎゅっ。ぎゅっ、ぎゅっ。 むに、むに。むに、むに。 むぎゅーーーーう。 何って、アプローチですよ。アプローチ。 勇者様に今、プレゼンしてるんです。 「図書館司書である私、アリシアを。あなたの恋人にしませんか」って。 実はね勇者様。 私、あなたのことがずっと好きだったんですよ。 あなたの英雄譚を絵本にしたのも、お金儲けのためなどではなく、全部あなたへの熱意からなんです。 ね。勇者様。 好き。好き。好き。 だ、い、す、き。 ふふっ。どうですか?勇者様。 信用している女の子から。ハニートラップじゃないこと確定の女の子から、 愛の言葉を投げられるのは。 うれしく、無いですか?頭、フワフワしてきますよね。 でも、まだまだ私のアプローチは続いちゃいます。 ほら、あなたに抱き着いていた私の片方の手が、 ここ。あなたのおちんちんの上に、移動しちゃいました。 このまま服の上から、すりすり、すりすりって。 おちんちんをなでちゃいますよ。 すりすり、すりすり。 さわさわ、さわさわ。 ふふっ。大きくなってきました。 興奮してくれてるんですね。嬉しいです。 敏感な裏筋を狙って、さらに強くこすってあげますね。 ずりずり。ずりずり。 ぎゅっ。ぎゅっ。ぐりぐり。 ふふっ。勇者様。 顔背けて、体も緊張しきって。されるがままって感じです。 まあ、童貞さんにはこんな展開、刺激が強すぎますし、 頭がショートしちゃうのも、致し方なしですよね。 ふふっ。それじゃあ……。 これで、お終いにしておきます。 はい。おっぱい押し付けるのも、服の上からおちんちんすりすりするのも、全部終了です。 だってもうここまでで、 恋人になるためのアプローチとしては、充分のようですから。 ね?勇者様。 さて。私は今から、図書館の方へ戻ります。 ええ。別に大した仕事はないんですけど、 一応司書なので、持ち場につこうと思いまして。 それで、勇者様。 もしも今のアプローチを受けて、 私を勇者様の恋人にしてくださる気になったのでしたら。 今日中に、図書館の受付へお越しください。 お越しいただければその場ですぐ、私はあなたの恋人になりますし、 この続きも……して差し上げます。 逆に私を恋人にする気が無いのでしたら、 今日は絶対に、図書館に来ないでください。 面と向かってフラれるの、嫌なので。 勇者様の行動で、お返事とさせていただきます。 では、そういうことで。 お待ちしてますね。勇者様。