誘惑
ふぅー。読み聞かせ終了……。
今日はみんな、いい子たちばかりでした。
さて。水分補給だけ、忘れずにしておきますかね……。
ん……?
……あ。勇者様。
見に来てたんですね。私の読み聞かせ。
はい。今の絵本は、あなたの英雄譚ですよ。私が描いたんです。
楽しんでいただけましたか?
ふふっ。そうですか。ありがとうございます。
本人から褒められると、すごく嬉しいです。
……ねぇ勇者様。
ここに来たと言うことは、今、お暇なんですか?
そうなんですね。
では少し、散歩しませんか?
私、読み聞かせのあとはこの中庭の外周を、歩くことにしてるんですよ。
……ん。ありがとうございます。
それじゃあ、行きましょう。
にしても、だいぶ最近は、暖かくなってきましたね。
ええ。道端にも、花が咲いているのをよく見るようになりましたし、
春の訪れって感じです。
ほら、この辺の道沿いにも、なんだか色々、咲いてますよ。
チューリップにマーガレット、シロツメクサにハルジオン。
……って、あれ?
この花、なんでしょうか?
黒色の、クチナシのような花……。初めて見ました。
きれい……ですね。
……。
えい。
はい。瓶に入れて、持ち帰ります。
丁度新しい栞が欲しかったので、
これを押し花にして加工しようかと、思いまして。
これでよし。
さ、散歩を続けましょう……って、
おわっ……
……っと。
すいません。勇者様。
少し、立ち眩みを起こしてしまいました。
……そうですね。
そこのベンチで、休ませてください。
ふぅー……。
ああ、いえ。大丈夫ですよ。
昨日徹夜で読書をしていたので、その揺り返しが来ただけでしょう。
ふふっ。そうですね。あんまり無理をするものではりませんね。
……。
……ん?
どうしたんですか?勇者様。
なんだかお顔、赤くないですか?
ええ。赤いです。トマトみたいですよ?
……ふむ。
あの、勇者様。もしかしてですけど……。
さっき私が勇者様にもたれかかったとき、
うっかり胸をもんでしまったから、
そんなに顔を赤らめていらっしゃるんですか?
その反応、図星ですか。
なるほど。
ねぇ、勇者様。
勇者様って、童貞。なんですか?
いや、別にいいじゃないですか。私がそういう質問をしたって。
そうですよ。
胸をもんだ反応があまりにもウブなので、聞いてみたんです。
で、どうなんですか?勇者様。
女性との経験、あるんですか?
……やはり、ですか。
いえ。馬鹿にしたりはしませんよ。
私も未だに性体験は無いですし、見下せるような立場では、ありませんから。
でも、少し不思議です。
富も名声もあって、黙っていても女が寄ってくる立場であろう勇者様が、
いまだに童貞だなんて。
……ん。事情……ですか。
……はい。
はい。
はぁ……。
……なるほど。昔、そんなことがあったんですね。
確かに、それほど悪質なハニートラップに引っかかった後だと、
寄ってくる女の子みんな、警戒しちゃいますよね。
ええ。勇者様が未だに童貞な理由、納得できました。
……あ。
でも勇者様って、私のことは警戒せずに、
仲良くしてくれてるじゃないですか。
私も一応、女の子なのに。
……そうですか。私のことは、信用してるんですか。
どうして、ですかね。
なんとなく……ねぇ。
ああ、いえ。十分な回答ですよ。
確かに人が人に抱く信頼なんて、
言葉で説明できるものではありませんよね。
はい。なんとなくで、かまいません。
……。
でも、勇者様。
それってつまり、さ。
私には、可能性があるってことですよね。
あなたの、恋人になれる可能性が。
ふむ……。
それなら。言い寄ってみましょうか。勇者様。
いまここで。
ぎゅーーーーーーう。
ふふっ。さっきあなたが揉んで下さった、私の柔らかいおっぱい。
それを密着して、勇者様の体に押し付けちゃいます。
ぎゅっ、ぎゅっ。ぎゅっ、ぎゅっ。
むに、むに。むに、むに。
むぎゅーーーーう。
何って、アプローチですよ。アプローチ。
勇者様に今、プレゼンしてるんです。
「図書館司書である私、アリシアを。あなたの恋人にしませんか」って。
実はね勇者様。
私、あなたのことがずっと好きだったんですよ。
あなたの英雄譚を絵本にしたのも、お金儲けのためなどではなく、全部あなたへの熱意からなんです。
ね。勇者様。
好き。好き。好き。
だ、い、す、き。
ふふっ。どうですか?勇者様。
信用している女の子から。ハニートラップじゃないこと確定の女の子から、
愛の言葉を投げられるのは。
うれしく、無いですか?頭、フワフワしてきますよね。
でも、まだまだ私のアプローチは続いちゃいます。
ほら、あなたに抱き着いていた私の片方の手が、
ここ。あなたのおちんちんの上に、移動しちゃいました。
このまま服の上から、すりすり、すりすりって。
おちんちんをなでちゃいますよ。
すりすり、すりすり。
さわさわ、さわさわ。
ふふっ。大きくなってきました。
興奮してくれてるんですね。嬉しいです。
敏感な裏筋を狙って、さらに強くこすってあげますね。
ずりずり。ずりずり。
ぎゅっ。ぎゅっ。ぐりぐり。
ふふっ。勇者様。
顔背けて、体も緊張しきって。されるがままって感じです。
まあ、童貞さんにはこんな展開、刺激が強すぎますし、
頭がショートしちゃうのも、致し方なしですよね。
ふふっ。それじゃあ……。
これで、お終いにしておきます。
はい。おっぱい押し付けるのも、服の上からおちんちんすりすりするのも、全部終了です。
だってもうここまでで、
恋人になるためのアプローチとしては、充分のようですから。
ね?勇者様。
さて。私は今から、図書館の方へ戻ります。
ええ。別に大した仕事はないんですけど、
一応司書なので、持ち場につこうと思いまして。
それで、勇者様。
もしも今のアプローチを受けて、
私を勇者様の恋人にしてくださる気になったのでしたら。
今日中に、図書館の受付へお越しください。
お越しいただければその場ですぐ、私はあなたの恋人になりますし、
この続きも……して差し上げます。
逆に私を恋人にする気が無いのでしたら、
今日は絶対に、図書館に来ないでください。
面と向かってフラれるの、嫌なので。
勇者様の行動で、お返事とさせていただきます。
では、そういうことで。
お待ちしてますね。勇者様。