06-1.神域の里にて
【06-1】
これはこれは…
大神院の巫女様がた。
はるばるこのシラヌイヤマの麓、
「ヤツシロの里」へようこそお出で下さいました。
私はこの里を治めるミコトと申します。
〈●〉
初めまして、私は大神院の祭祀巫女、姉のアヤネです。
〈○〉
初めまして、同じく大神院の祭祀巫女、妹のスズミです。
〈△〉
お話は既に書状にて伺っております。
不幸にも妖魔がお二人を襲い、
討伐に成功したものの、身体が呪われてしまったと…。
〈●〉
ええ……。
現在も呪いは進行しており、私達の日々の生活に支障をきたしております。
〈○〉
赤子の掌程だった淫紋も、今や大人の拳程の大きさになりました…。
〈△〉
淫筒の呪い…いわゆる「オナホ化の呪い」…ですね。
確認されている中でも特に強力な呪い…。
〈●〉
ええ。低級の呪いであれば、私達の大神院でも解呪できますが
今回の呪いは、大神院でも厳しく……
〈○〉
大神院ではご信徒の方が、私達の力を必要としており、
私達の帰りを待っております。
〈●〉
皆さんの為にも、一刻も早く、解呪をお願いできればと思います。
〈△〉
どれほど強力な呪いも、
このシラヌイヤマの頂上でお祓いをする事で、きっと無くなるでしょう。
しかし、麓のこの里から、頂上までは丸一日掛かります。
本日はもう日が暮れ始めております故、
明朝ご出発されるのがよろしいかと。
〈○〉
はい。ではそうさせて頂きます。
〈△〉
そう思いまして、
お二方へ、この里一番の、特別なお部屋をご用意させて頂きました。
本日の疲れを癒やし、明日に備えて頂ければと存じます。
〈●〉
お気遣い頂き、誠にありがとうございます。
〈○〉
お言葉に甘えさせて頂きます。
〈△〉
あぁ…それと…
一つ気になっているのですが…
そこにいらっしゃる殿方は…?
〈○〉
あぁ、あちらは、護衛と荷物持ちをお願いしている方です。
〈△〉
ふむ。使用人の方だったのですね。
この里を含め、シラヌイヤマとその周辺は大変神聖な場所。
シラヌイの神の前では、人の優劣などはなく皆平等です。
しかし、下等な方は教養が無い故に、道徳心に欠ける傾向があるのも事実。
神の怒りを買うような、失礼な行いは避けて頂きたいのです。
この里も神域の一部。あまり厳しい事を申したくは無いのです……、
んんっ
ここでは、普段以上に礼節を弁え、
正しい行いをするようにと、お伝え頂けますでしょうか。
〈●〉
無論です。仰られる通り、あの方は大神院近くの小さな村出身の
しがない兵士。
〈○〉
身分ある生まれではなく、教養も少々足りません。
ですので、私達がしっかりと見張っております。
〈△〉
祭祀巫女のお二方が見張っているのであれば安心です。
宜しくお願いします。
神の御前ということを、くれぐれもお忘れなく。
〈○〉
んんっ
ここはシラヌイの神域の里です。
粗相の無いよう、礼節を弁え、品位を保ち、
里では普段以上に正しい行いをするよう心がけてくださいっ。