Track 5

「舐めちゃうわよ!!」(飴舐め)

「……んあっ」 「……い、いふのまひふぁ(いつの間にか)……気を失っていたわ……」 「……せ、先生は……はぁ、やっぱり寝付けないみたいね」 「えっ!? わ、私と一緒だと楽しくて眠気が薄れちゃう、ですって!?」 「と、当然よ!! アウトローでハードボイルドな私と一緒にいるんだもの、今夜は寝かせてなんてあげないわ! 今の一言で私の目もすっかり覚めちゃったし!?」 「……って、寝かしつけなのに今夜は寝かせなかったら良くないわね……。今夜はたっぷり寝かせてあげるわ!」 「と、思ったんだけど……ここまで先生が寝付かないとなると、なかなか難しい――」 「……」 「ん? 先生? 何かしら?」 「あら? 頑張っているからご褒美を……? そ、それは……ありがとう」 「じゃあこれは先生を寝かし付けた後に――」 「えっ? 今、ここで飴を舐めてほしい、ですって? それは別に構わないけど……」 「先生がそういうなら……今頂いちゃおうかしら。甘いものは喉にも良いものね♪」 「それじゃあ……いただき――」 「……えっ? そのまま舐めるんじゃなくて、もっと近くで……ですって……?」 「せ、先生は何を言っているのか分からないけど……先生がそう言うなら……」 「こ、これくらい近くで良いかしら? 先生、私の顔を近くで見たかったのね。ちょっと顔が近すぎて少し恥ずかしいけど♪」 「えっ? 近くは近くだけど正面じゃなくて……耳元に、ですって?」 「……な、何を言っているのかちょっと分からないけど……先生がそう言うなら……」 「でも……耳元で飴なんて舐められたら煩いんじゃないかしら?」 「えっ? うるさくないし全然眠れる、ですって? せ、先生がそう言うなら……」 「それじゃあ……頂くわ」 「ふふっ、美食研の誰かさんが言っていたけど……先生に貰う飴、世界で一番おいしいわね」 「えっ? こっち側だけじゃなく、逆側も、ですって?」 「た、確かに……何事もバランスは大事な気がするわ」 「……こうして飴を舐めているだけの寝かし付けを知っているなんて……流石先生ね」 「ふぅ、ご馳走様。棒付きの飴なんて久しぶりに食べたわ」 「さて、言う通りに耳元で飴を舐めたけど……先生、やっぱり寝てないわね……」 「っていうか……何かちょっと目が冴えちゃってないかしら……気のせいかしら……」 「うーん、困ったわね。他の寝かし付けと言ったら……何があるかしら……うーん……」