「舐めちゃうわよ!!」(飴舐め)
「……んあっ」
「……い、いふのまひふぁ(いつの間にか)……気を失っていたわ……」
「……せ、先生は……はぁ、やっぱり寝付けないみたいね」
「えっ!? わ、私と一緒だと楽しくて眠気が薄れちゃう、ですって!?」
「と、当然よ!! アウトローでハードボイルドな私と一緒にいるんだもの、今夜は寝かせてなんてあげないわ! 今の一言で私の目もすっかり覚めちゃったし!?」
「……って、寝かしつけなのに今夜は寝かせなかったら良くないわね……。今夜はたっぷり寝かせてあげるわ!」
「と、思ったんだけど……ここまで先生が寝付かないとなると、なかなか難しい――」
「……」
「ん? 先生? 何かしら?」
「あら? 頑張っているからご褒美を……? そ、それは……ありがとう」
「じゃあこれは先生を寝かし付けた後に――」
「えっ? 今、ここで飴を舐めてほしい、ですって? それは別に構わないけど……」
「先生がそういうなら……今頂いちゃおうかしら。甘いものは喉にも良いものね♪」
「それじゃあ……いただき――」
「……えっ? そのまま舐めるんじゃなくて、もっと近くで……ですって……?」
「せ、先生は何を言っているのか分からないけど……先生がそう言うなら……」
「こ、これくらい近くで良いかしら? 先生、私の顔を近くで見たかったのね。ちょっと顔が近すぎて少し恥ずかしいけど♪」
「えっ? 近くは近くだけど正面じゃなくて……耳元に、ですって?」
「……な、何を言っているのかちょっと分からないけど……先生がそう言うなら……」
「でも……耳元で飴なんて舐められたら煩いんじゃないかしら?」
「えっ? うるさくないし全然眠れる、ですって? せ、先生がそう言うなら……」
「それじゃあ……頂くわ」
「ふふっ、美食研の誰かさんが言っていたけど……先生に貰う飴、世界で一番おいしいわね」
「えっ? こっち側だけじゃなく、逆側も、ですって?」
「た、確かに……何事もバランスは大事な気がするわ」
「……こうして飴を舐めているだけの寝かし付けを知っているなんて……流石先生ね」
「ふぅ、ご馳走様。棒付きの飴なんて久しぶりに食べたわ」
「さて、言う通りに耳元で飴を舐めたけど……先生、やっぱり寝てないわね……」
「っていうか……何かちょっと目が冴えちゃってないかしら……気のせいかしら……」
「うーん、困ったわね。他の寝かし付けと言ったら……何があるかしら……うーん……」